キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第07話 女のくせに

 レオノールが戦乙女というクランを立ち上げたのは、女性の地位を向上させる為にという目的があった。そして女性が男性の力を借りることなく、生活できるようにする手助けが出来るような組織を作ろう、という考えが彼女にあった。

  昔から、女性だけで集まって組んでいた冒険者パーティーは存在してたらしいが、異端で珍しいと言われるぐらいに稀だった。そして珍しいから標的にされやすく、結局は自衛できずに周りからの悪意によってパーティー崩壊させられていたという。

 それが、レオノールというカリスマ性を持っている女性で、能力も飛び抜けていた彼女が先頭に立って冒険者クランを立ち上げた事によって、ドンドン女性冒険者達が集まってきて入団希望とクランを訪ねて来たのだった。

 そして今では、戦乙女というクランは名の知れた女性冒険者集団となっていて、数あるクランの中でも一番に実績を積んで良い成績を残している、有名で実力もあるクランの1つとなっていた。

 それなのに、凝り固まった思考で女性冒険者の集団だというだけで批判する連中は、まだまだ世の中には多く居るもので。

 

「また、この場に相応しくないクランが席についているぞ」
「女のくせに生意気そうに席に着きやがって、まったく恥を知れ」

 定期的に行われているクラン会合の場で、フレーダーマウスという名のクランマスターと、ドラゴンバスターという名のクランマスター、2人が小声で話し合っているのが僕の耳にも聞こえていた。

 彼らは、席に着いているレオノールに忌々しそうな視線を向けて、誹謗するような言葉を口にしていた。2人は既に50歳を超えている経験豊富なベテラン冒険者であるはずなのに、いまだ人を馬鹿にする態度をとっている彼らに呆れてしまう。そして、そんな人物をマスターに据えているクランも馬鹿じゃないだろうかと、内心で思っていた。

 彼らは、小声ではあるものの”女のくせに”と悪口を言っていた。この場には、レオノール以外に女性は居ない。つまりは、明らかに彼女を指して中傷している言葉だった。

 ……いや、周りから見れば僕も女性だと思われているのだから、僕を指した言葉なのかも。でも、今はレオノールのサブとして後ろに控えるよう立っているので、席に着きやがって、という言葉には当てはまらない。だから、やはり彼らの言葉はレオノールを指しているのだろう。

 僕は少しムッとして、誹謗中傷してくる彼らに目線を向けようとしたが、直前でレオノールに止められた。

「ギル、怒る必要はないぞ。駄犬が無駄吠えしているだけだ。我々はただ、結果を示せば良いだけだよ」

 不敵に笑みを浮かべて前を向いたまま、そう言い放ったレオノール。僕に向けた言葉ではあったものの、大きな声でその場にいる全員に聞こえるようなボリュームだった。それは、明らかな挑発行為だった。

「駄犬だと! き、貴様は我らを愚弄する気か?」
「愚弄? ならば、冒険者らしく腕くらべでもしましょうか? 生死を問わない、真剣勝負。周囲にしっかりと実力を示すことが出来るが、さぁどうする?」

 簡単な挑発に乗ってきた彼らを、心底バカにしたような口調で勝負まで挑んでいくレオノール。もちろん、彼女は少しも負けるつもりは無く、相手を返り討ちにして殺すつもりの真剣勝負を望んでいた。

 そんな彼女の本気度を悟ったのだろうか、そしてベテラン冒険者らしく危険察知能力はそれなりに備わっていたのだろう、口を閉じて彼らはもう何も言わなかった。

 

 

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