キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第28話 早くここから、逃げろ!

 駆けつけた場所には、見覚えのあるモンスターが沢山居た。ゴブリンにオーク、ウルフなど。

しかし、いつも目にするのは外に出た森の中など。こんな、街の中に居るのは不釣合いで、あってはならない状況だった。王国の兵士達が追い返そうと攻撃しているが、モンスターの数が多くて次々にやられていっている。

 街を守る防壁が壊されて、そこから中へと侵入を許してしまって容赦なくモンスターは入り込んで来ているのが見える。兵士を突破すれば、後は逃げ遅れた戦う力のない市民。

 モンスターに襲われた市民達は悲鳴を上げながら逃げ惑うが、混乱していて逃げ切れていない。モンスターに追われた所を逃げ切れずに地面に倒れたり、壁に追い詰められて危ない状況。

 そして、見たことのないモンスターが集団の中に混じって少数居るのが見える。空を飛び回っている人型で真っ黒い肌のアレが、おそらくレオノールが言っていた人語を話すモンスターという事だろう。

「市民を逃すために大通りの道の確保を頼む、残りは襲われている市民を助けるのと、王国兵士たちの援護に入って」
「はいッ!」

 後ろに付いてきていた後輩達に動きの指示を出して、指揮をしつつ僕も一緒になって戦闘に繰り出す。

「ひいいいいいい!?」
「ギャアウ!」

 一番に最初に目についた、手短な所から片付ける。ゴブリンと呼ばれているモンスターが、市民と思われる青年に木の棒を振り上げて叩きつけようとしている寸前に飛び込んで、間に割り込む。

「ウギャアワウ!」

 ゴブリンを、一撃に斬り捨てて倒す。うめき声を上げて地面に沈んだゴブリンは、もう終わりだと意識から外して、襲われていた青年の方に振り返った。

「は? え!」

 体を丸めて地面にうずくまっていた青年が顔を上げて助かったことを確認したが、状況がうまく認識できていないのか、呆然としている。そんな彼に向かって声を上げる。

「早くここから、逃げろ! あっちが安全だ」
「は、はいッ!」

 僕は地面に倒れている青年に言葉によって活を入れると、彼はヨロヨロと力弱く立ち上がって指示した方へと走り出していく。走り出した彼に襲いかかるゴブリン達や噛み付こうとするウルフも始末して逃げ道を確保。無事に避難するのを見届けてから、次に目についた危なそうになっている市民を助けに入る。それを、繰り返していく。

 襲われていて逃げ切れなくなった市民を助けて、避難の誘導をして次に危なそうな市民を探して助けに入る。

 助けて次に行く移動している間も、僕は襲いかかってくるモンスターを返り討ちにし、通り道で邪魔をするモンスターも一撃で斬って倒して、どんどん数を減らしていく。だが、一向にモンスターが視界から消えていかない。

「まったく、数が多いなぁ!」

 街の中に侵入しているモンスターは、かなりの数が居た。倒しても倒してもキリがなく、侵入を許した街の防衛壁が開いていてソコから次々にモンスターが援軍に来て、数は追加されていく。

 しかも統率のとれた連帯感のあるような動き。今までに見たことのないような、モンスターなのに知性を感じる行動だった。

「アイツか?」

 僕は空で飛び回っているモンスターを見上げて、そう呟いた。あちこちを飛び回って獣のような鳴き声を上げているモンスター。どうやら奴は、人間の言葉だけでなく、モンスターの言葉も操ってモンスター同士で意思疎通を行っている様だった。

 最優先ターゲットを空に飛び回るモンスターに変更して、僕は気配を薄めてから狙いを定めて近づいていく。

 空に飛んでいるのが攻撃するのに厄介。だが街の中にある建物を駆け上がって、ジャンプしたら何とか届くだろう。レオノールが話していた内容を思い出して、僕も彼女と同じ様に跳躍して奴に斬り込もうと考える。

 空を飛んでいる奴までの距離に目算を立てて、足に力を込めて一気に走り出す。街の建物の壁を走って駆け上がり、一気に屋根の上まで跳ねるように登る。そして、そのままの勢いで奴に飛びついた。

「ふっ」
「ッ!?」

 近づくまで息を潜めて気配を薄めていたので、容易に近づけた。奴がモンスターの指揮に夢中になっていた、という理由もあるだろう。とにかく接近できたので、斬る。

「グギャオァ!?」

 これも、レオノールが言っていた通り手応えはそんなに感じないのに簡単に斬り落とせた。空に飛んでいた真っ黒肌の奴は石畳の地面に落下したので、衝撃も大きく重症のダメージを負っただろう。僕も落ちないように注意しながら、建物の屋根の上に着地する。

 すると、付近に居たゴブリン達の動きが一気に乱れ始めた。森の中でゴブリンとと遭遇した時と同じ様な、単純な動きになっている。あれなら、統率がとれた連携した動きの時よりも幾分か対処が容易になっただろう。

 空を飛んで鳴き声を上げていたモンスターを僕が倒して、一匹居なくなった直後から引き起こった状況。やはり、空に飛んでいたアイツがモンスターの指揮を取っていた、という事だろう。

 なら優先して倒すべきは、空に居る奴らだ。僕はそう判断して、残りの空を飛ぶ真っ黒肌のモンスターに標的を移すと、同じ様に屋根から飛び上がって攻撃。残りの奴らを次々に始末していった。

 

 

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