キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

閑話07 仲間になってくれないかな

 戦乙女クランに勇者アランを派遣するという件は無かったことになって、無駄になった話し合いが終わって、ギルとクラリスの戦乙女クランのメンバー2人が部屋から出ていった後。

 「可愛い子だったな」
「またですか、アラン様」

 先程出会った少女を思い出しながら、表情を緩めているのは巷でも有名な勇者と呼ばれている人物であるアランだった。彼とパーティーを組んで一緒にいる女戦士タチアナは、呆れたような口調でアランを軽く責めた。

「あの娘も僕たちの仲間になってくれないかな」
「ダメです。もう既にパーティーには4人も女性が居るのにこれ以上増やすおつもりですか?」

 どう思うかと機嫌を気にしながら聞いたアランは、タチアナ、コラ、メラニー3人の女性達の様子を伺う。

 すると性格が硬いコラが断固として、新たな仲間を迎え入れるという事に拒否を示していた。もう既に、今現在の勇者パーティーにはこの場に居ないもう1人を含めて、4人も女性が居る。

 そして過去を辿れば増えすぎて、パーティーから出ていってもらった女性や、追い出してきた女性達も含めると、物凄く多い数となっていた。それなのに、懲りずに女性の仲間を増やそうと提案したアラン。

 もともとが女性に弱い性格で惚れっぽいのアランは、行く先々でだらし無く女性を捕まえてきた。

 その優れた美貌と、勇者としての実力が相まって恋に落とされる女性も多い。ここにいる3人の女性も、旅先で勇者が目をつけて落とされた女性たちである。

 そして、新たに今日出会った彼女に目をつけてしまったアランだった。

「これから魔王が現れるかもしれない、って時なんだ。備えるためには、やっぱり仲間はいっぱい居たほうが良いと思うんだ」

 それが常識だと言うように、新たな女性を仲間に迎えるのに問題はないと言い放つアラン。何かと理由をつけて仲間にしようと必死になる。

 こうなると、アランは夢中になって女性を追いかけることになるので、タチアナ達は諦めて新たに見初められた女性を、アランとどう引っ付けるのかを考え始める。

「マルクさん、ちょっとお聞きしたいのですがよろしいですか?」
「はい、なんでしょう?」

 メラニーは、先程の話し合いで間に入っていた王国に仕える男性に声を掛ける。見た目は弱々しい中年男性だが、その見た目とは裏腹に高い立場の役職に就いている人物でもある、マルクという名の男。

「先程の話をしていた人物について、お教え頂けますか?」
「ギル様ですね。彼女は、自己紹介でも仰っていた通り戦乙女クランの代表代理です」
「代表の代理?」

 質問してきたメラニーに、ギルという人物について答えるマルク。そして、夢中になっている女性の名を聞いて、興味を抱き会話に入ってきた勇者アランが続けて尋ねた。

「はい、彼女は戦乙女のクラン立ち上げ当初から所属している最古参のメンバーであり、クラン内ではNo.2の実力者だそうです。戦乙女の代表は、レオノール様という方です。そして今は、遠征に行っていて魔核処理の作業を行っているようで、今日の話し合いにはギル様が代表代理として出てきたのでしょう」
「なるほど、あんなに可愛らしい見た目なのに頑張り屋なのか」

 戦いが向いていなさそうな体の小ささに、必死で努力してクランの中で二番目の地位に駆け上がったのだろうと、勝手に想像し感動しているアラン。そしてギルに夢中になっているアランは、レオノールについての話は聞き流していた。

「あの娘、あんまり強そうには見えなかったけど実力は2番目なのか」
「戦乙女って有名なクランだって聞いていたけど、所詮は女達だけの集まりだから期待しないほうが良いのかもね」
「アラン様の加入を断るぐらいだから、じきに無くなるんじゃない」

 女性たち3人は、アランとマルクの男たち2人には聞こえないような小さな声で、ヒソヒソと話し合っていた。

 タチアナはギルの実力を値踏みし気落ちして、コラは戦乙女クランを期待ハズレだったと評して、メラニーは勇者アランが加入するという提案を断られた腹いせをするように、戦乙女クランを馬鹿にしていた。

 

 

<< 前へ  次へ >>     目次

【スポンサーリンク】