キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

閑話06 こいつ喋るぞ

「レオノール様、前方に正体不明のモンスターを発見しました」
「正体不明?」

  斥候に出していたメンバーの1人が戻ってきて、正体不明のモンスターを発見したという報告を伝えてきた。その正体不明のモンスターを発見した地点へと案内してもらうと、レオノールも見たことのない種類のモンスターが徘徊しているのが見えた。

 全身が真っ黒な肌をしていて人間のような体の形に手足のある、体の大きさは人と同じぐらい。だがしかし、顔は犬のように人とは違った形をしていて人ではないことがひと目で分かる。そして、背中にも人間には無い大きな翼が生えていて羽ばたかせて空を飛んでいる。

 レオノールは自身のモンスターに関する記憶を探って、翼竜を思い出していたが、それに比べれば体は小さいし、翼の形も違う、それに尻尾も生えていない。確かに、正体不明であるモンスターだった。

 そして空を飛んでいる奴は、木が生い茂っている森の上空を何かを探しているかのように、視線をキョロキョロとさせてウロウロと飛び回っていて落ち着きがなかった。

「気付かれる前に私が飛び上がって、地面にモンスターを落とそう」
「分かりました。落とした後は、私に任せて下さい」

 コチラに気付かれて更に上空へと飛び上がって逃げられたら、仕留めるのが面倒になりそう。なのでレオノールは先制してモンスターの翼を斬り、飛べないようにしてから仕留める、という作戦を立てた。

 そして、地面で待機しているティナは落ちてきたモンスターを仕留めるために、姿を隠しつつ戦いに備えて待ち構える。

 他にレオノール達に同行している戦乙女クランのメンバーもその場に待機しているが、相手が正体不明のモンスターだった為に、どんな攻撃を仕掛けてくるのか不明なので危ないと判断されて、今回の戦いは観戦に徹するよう指示されていた。

「ふっ」

 レオノールは作戦に立てた通り、気付かれないよう注意しながら静かに木を駆け上がって、空を飛ぶモンスターにジャンプ。そのまま、正体不明のモンスターに生えている翼を切ろうと、飛び込んで攻撃する。

「グギァ!?」
「ん?」

 モンスターは予測していなかった攻撃に驚いて、防御する暇も無くレオノールにアッサリと翼を斬られた。体から切り離された翼は飛ぶ力を失ってそのまま、地面へと堕ちて激突。ティナが追撃する前にモンスターは、既に瀕死の状態となった。

「意外とあっけない。見た目は強そうだったのに」

 レオノールは地面へと音も立てずに静かに着地して、斬り落としたモンスターを見て一言そんな言葉を呟いた。

 不意打ちとはいえ、あまりにもアッサリと攻撃が通って相手は地面に激突した後は動けなくなるぐらいの瀕死状態。

 知らないモンスターとの戦いを楽しもうとしたのに、すぐに戦いが終わってしまったと、簡単に勝ててしまったことに不満顔を浮かべる彼女だった。

「レオノール様。倒したモンスターが、何か言っています!」

 ティナが声を上げたので、呼ばれたレオノールが急いで近づいて行ってみると、確かに人間の言葉で何かを言っているのが聞こえてきた。

「クソっ、まさか人間などに殺られるとは……無念」

 瀕死の状態で声は小さく掠れていて聞き取りにくかったが、確かにモンスターが人語を話しているのを耳にしたレオノール。

「ティナ、こいつ喋るぞ」
「私も、初めてモンスターが喋っているのを聞きました」

 モンスターが人語を話すなんて、レオノールとティナの2人は聞いたことのない事だった。しかも、意外とハッキリ分かる言葉。聞こえる声は聞き間違いや、偶然ではない。

 この珍しいモンスターの取り扱いをどうしようかと考えていたレオノールに、死ぬ間際になってモンスターは、攻撃を仕掛けてきた彼女を睨みつける視線を向けて言い放った。

「我らに害をなす人間どもよ、もうすぐ貴様らに絶望が訪れる」

 それだけ言って絶命したモンスターは、その後には死体が黒い煙のようになって風に吹かれると、その場にはもう何も残っていなかった。

 見たこと無いモンスター、しかも人語を話していた、そして最期は死体も消えて無くなってしまった。レオノールとティナは、今の出来事は一体何だったんだろうと思いながら顔を見合わせたが、どちらも答えは分からなかった。


***


 そんな事がありつつも、魔核処理の作業予定を全て完了させて王都にある拠点へと戻ってきたレオノール達。

 ギルから魔王が現れるかれしれない、という話を聞いて、もしかしたら関係あるんじゃないかと思い、人語を話すモンスターとの出来事についてレオノールは語ったのだった。

 

 

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