キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第26話 話すモンスター

 レオノールが出した答えは、勇者アランは僕に惚れている。だから、つきまとうんだという理由だった。

 「まぁ、その想像が当たっているんだと仮定したら、今は出来ることはないかな」
「そんな男、放っておけ」

 仮に、僕が好かれているという可能性を考える。だがしかし性別を隠して生活している今、僕は男だから貴方の想いに応えるのは無理です、と真実を告白して断るという訳にもいかない。

 そもそも、勇者が本当に惚れているかも定かではない。実は、本当は別の目的があるんだと僕は疑っている。

 ともかく、今はこれ以上考え込んだとしても答えは出なそうで、考えても仕方がない事のようだしレオノールの言う通り放っておくのが一番だろうか。

「コチラからも1つ、報告がある」
「ん?」

 僕の方で起こっていた件についての報告を終えた後、レオノールは何やら真剣に考え込んでいる表情を浮かべて、次に彼女の方から報告があると言った。魔核処理になにか問題が生じたのかと心配になる予想を思い浮かべていたら、どうやら少し予想からは違った内容。

「実は、魔核処理の遠征中に人語を話すモンスターと出会った」
「はなす、モンスター? それって鳴き声が人間の言葉に聞こえた、とかって意味じゃなくて、しっかりと人の話している言葉を使っていた、ってこと?」

 僕の疑問を確かめる質問に、そうだと頷いて答えるレオノールだった。しかし、モンスターが話をするなんて聞いたことがない。

「その場に居た、クランのメンバーも一緒にモンスターが喋った瞬間を聞いている」
「それで、その話をするってモンスターはどうしたの?」
「倒してしまった」
「え? 倒しちゃったのか」

 話をするモンスターなんて希少な存在だったんじゃないかと思って、その後の扱いについて聞いてみたら、もう既に倒してしまった後だという。

 もしかしたら生かしておいた方が良かったんじゃないかとも思ったけれど、どうやら話せると分かった瞬間の前にはもう、瀕死の状態だったらしい。

「見たこともない姿のモンスターだったから、先制攻撃で牽制しようとしたら意外とあっさり攻撃が入って、思ったよりも簡単に倒せてしまったんだ。その後、死にかけている時に奴は最期の言葉を残していったんだ」

 ”我らに害をなす人間どもよ、もうすぐ貴様らに絶望が訪れる”とその正体不明のモンスターは死ぬ間際に、レオノール達に言ったという。

「それでさっき、ギルから聞いたのが魔王が現れる可能性があるって話だったが、もしかしたら関係あるんじゃないか?」

 そう言えば、200年前に現れたという魔王も人間に対して宣戦布告をしたという記録は残っている。ということは、魔王も人語を操っていたのではないか、と考えられる。

 魔王が話せるのなら、その配下にいるモンスターたちも話せる可能性があるかもしれない。そしてレオノールが倒したモンスターが残した、”もうすぐ絶望が訪れる”という言葉の意味は世界に魔王が現れる事を意味しているのではないか、と僕には考えられた。

 

 

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