キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第25話 まとわりつかれている

「という事があったんだ」

  場所は再び、戦乙女クランの拠点にあるレオノールの執務室。遠征から帰ってきた彼女に、先日あった勇者の派遣の話し合いについてを報告をしていた。

「それは確かに、ちょっと面倒になってきたな」
「これ以上、王国側が何かしら問題を持ってくるようだったら、面倒を避ける為にクランの拠点を他国に移す、ってことも考えたほうがいいと思う」
「今後どうするべきかを考えて、見定める必要があるな」

 レオノールは腕を組み難しい表情を浮かべて報告を聞いた後、王国との今の関係について、面倒な事だと批判的な意見を口にした。それから、僕の提案する拠点の移転という考えについても納得して、検討する必要があると感じてくれているようだった。

「それでアランとか言う勇者と呼ばれた人物と、彼の3人のパーティーメンバー達については、その後どうなった?」
「それなんだけど、実は」

 話し合いの後、ここ数日にあった事についての話をする。僕が勇者にまとわりつかれている、という出来事について。

「それは、一体どういう事だ?」
「実は外出すると、行った先で必ず勇者と出会ってしまって。どうやら、監視されているようなんだ」

 僕が拠点から外に出ていくと、必ず街の中で勇者と出会うという事が起きていた。他のクランとの話し合いに行ったり、王城に出向く用事があったりした時、買い物に行った時にも勇者と街の何処かで出会ってしまう。

 外に出ていく時間はバラバラで、行き先もその目的にあった場所。なのに、行く先々で勇者と必ず出会っている。事前に予定していなかった急な外出の時にも会うことがあったので、どうやら僕が外に出る瞬間を監視されているようだった。

 最近、街の中で殺気とは違う、観察するような妙な視線を感じる事が多々あったので、多分その視線がそうなのだろうと思う。

 しかし勇者アランとは会って挨拶をして、二言三言話すだけで別れる。たった、それだけだった。他に立ち話をしたり、クランへの派遣について話す事も無く、その後は監視を付けてくるという事も無く、会って挨拶をする、それだけ。

 実は勇者は、国賓として招かれている要人として一般市民にも存在が周知されて、王国にとって重要な人物だだと知られていた。更に、その優れた容姿から市民からの人気も高いらしい。

 街へ出ている時に、勇者アランが市民の女子達に騒がれている様子を僕は目にしていた。そんな彼に、名前を呼ばれて近寄ってくるのを逃げてしまうと、僕の方が何かしら問題があるように見えてしまう、という可能性もあって逃げられなかった。

 その出会った後には、挨拶を交わしただけで別れるので、実害というものも今の所無い。ただ、毎回外に出ると出会うという、その繰り返しに気味の悪さを感じていた。

 幸いと言うべきか、僕の他には戦乙女クランのメンバーが標的にはされていないようだったので、今は僕が面倒に思っているだけで他に被害が出ていないという事は安心していた。

「でも彼の目的は一体、何なんだろう。まさか僕に会いたいだけ、なんて事は無いだろうし」
「なるほど、それだな」
「え?」

 

 

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