キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第23話 多くの人の協力が必要だ

「魔核の出現が、もしかしたら魔王が現れる前兆かもしれない、という事は理解しました。けれど、何故それで戦乙女クランに勇者と呼ばれている彼を派遣するという話になったのですか?」

  魔核の特性と、過去の事象を照らし合わせて魔王という存在が現れるかもしれないという可能性は理解した。けれども、その話を聞いて勇者アランが戦乙女クランに派遣されることになった経緯が理解できない。一体どういう事なのかを、改めて尋ねてみた。

「それは、万が一魔王が現れた場合に被害を少しでも少なくする為。最悪の状況を想定し、魔王が現れた場合に対抗する為の前準備として勇者様と戦乙女クランには協力体制を築いておいてもらいたい、と考えたからです」
「つまり王国は、戦乙女クランの冒険者達を魔王に対抗するための戦力の1つにしようと考えているのですか」

 レオノールが言っていた嫌な予感というのは、コレの事だったのかもしれない。王国から魔核の処理を依頼を受けたその次は、魔王なんて存在と戦うために備えよと言われている。

「ありていに申しますと、その通りです。我が国の主要クランであったドラゴンバスターが今回の騒動で解体されて無くなり、フレーダーマウスも同様に解体された。あとに残っていて彼等の代わりになれるような大きなクランは戦乙女しか残っていない」

 嫌な信頼のされ方だった。まさか、2つのクランが無くなってしまった影響によって、こんな厄介事が回ってくるとは。

「魔王に関する情報を入手したら早めに共有するよう、知らせます。もしも世界が危機に瀕することがあれば、その時には協力もしましょう。しかし、勇者アランを我々の戦乙女クランに迎え入れることは出来ません」

 事情を聞いて不味そうな立場に立たされそうになっているという事を理解した僕は、キッパリと断っておく。

「そもそもの決まりとして、戦乙女というクランは女性だけで構成された男子禁制の組織です。勇者アランは、男性なので条件に反します」

 男性である事を隠してクランに所属している僕に言う資格があるのかどうか、引っかかりつつも今は気にしないで話を進めた。

「それに、先程も言った通り魔核処理の作業は順調です。今の順調な状況を乱してまで、彼のパーティーを戦乙女クランに迎え入れるメリットを感じません。だから今は我々のクランと協力体制を築くという事をする前に、魔王に負けないよう勇者としての力を高めるような修行をしたり、ドラゴンバスターの代わりになるような新しいクランを育てたりして、戦力を整えた方が良いかと思います」

 波風を立てないように言葉を選びながら一気にまくし立てて、遠まわしに僕たちのクランと関わり合いにならないような方法を提案する。

 すると、今まで黙って僕と臣下との話を静かに聞いていた、勇者アランが異議を唱えた。どうやら彼は、積極的に戦乙女クランに加わるつもりで居るようだった。

「魔王がこの世に現れた場合、魔王に対峙するためには皆が一致団結して置く必要があると僕は思う。だから、その為の一歩として僕が君たちのクランに加わることを認めてくれないか?」

「ですから、戦乙女は男子禁制の」
「決まりだというのは分かっている。けれども魔王との戦いは世界が滅びるような、危機になるかもしれない大きな問題なんだ。それを解決するためには、多くの人の協力が必要だ」

「それなら、いま魔核処理という仕事に追われている僕たちのクランではなく、他のクランと協力体制を築きつつ魔王との戦いに備えた人材を育てていったほうが」
「魔王が現れるのが、一体いつなのか分かっていないんだ。もしかしたら明日にも現れるかもしれない。だからこそ、いま戦って協力し合える人達を集めたほうが良いんだ」

「いつ現れるか分からないと言ったって、魔王が現れるというのは可能性の話でしょう?」
「しかし、対策しておかない訳にはいかない。それをしておかないと、多くの人が死ぬ事になるかもしれないんだ」

 それからしばらくの間、僕と勇者アランとの話し合いは続いていた。だがしかし、僕が何度も戦乙女のクランに迎え入れる事は無理だと主張するが、勇者はコチラの意見を一切聞き入れない。話は終わらず、平行線をたどっていた。

 

 

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