キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

閑話04 これが魔核か

 ドラゴンバスターのクラン拠点、その訓練場の中央で彼等ドラゴンバスターのクランメンバーは数十人で集まって、魔核を守っていた。

 「おい! 武器を下ろせば、まだ間に合うかもしれないぞ」
「これ以上抵抗すると、非常に重い罰が課せられます」

「グルルァア!」「ガウルゥゥ!」「キシャャアァ!」

 建物内を移動してきた時に急に襲ってきたような冒険者達と違って、コチラを伺いつつ、まだ止まったままの彼等。一応、レオノールやクラリスが呼びかけてみたけれど、奇声を上げるだけで言葉による返事はなかった。やはり正気を失っているようで彼等とは話が通じない。

「グルァァァッ!?」

 レオノール達が近付こうとすると、彼等は手に持っている武器を構えて威嚇してきた。話は通じないけれども、その場から離れようとせず近づいてくる人間に対して魔核を守っている様に見えた。

 どうやら、魔核には人の精神を狂わせるだけではなく、魔核に宿る意志のようなもので人をコントロールすることが出来るようだった。

 魔核を、意識が無いまま守らされている彼等。それから、この場にいる他にも正気を失わされた者達、ドラゴンバスター、フレーダーマウスのクランメンバーは外で騒動を起こしていた。

 外に出て行った彼等は、他のクラン拠点を襲ったり、王城に攻め込もうとしていた。襲撃先は適当ではなく、何らかの目標があって決められているようだった。

 状況を見て、正気を失った彼等は操られているようだと考えたレオノール。

「仕方ない、最初に指示した通り奴ら全員を気絶させよう。先に行く」

 そう言って、マスターというクランでも長である筈のレオノールが一番に飛び出していって、戦いに参加した。怪我でもしたら大事になる立場なのに、彼女はそんな事お構いなしに突っ込んでいく。


***


 そして意外とアッサリ決着がついた。というのも、正気を失っていた彼等は冒険者として能力はある程度あったけれども、正気を失っていたせいで普段の実力と比べて十分の一も発揮できていなかった。

 そんな者たちにレオノール達が負けるわけもなく、彼等は太刀打ち出来ないまま全員が気絶させられていた。

「全員、生かしたまま気絶させたか。目を覚ました時に暴れないよう、彼等も拘束しておこう」
「了解しました」

 殺してしまわないよう気をつけて気絶させた、ドラゴンバスターのクランメンバー達を、戦乙女クランのメンバーが縄に縛って拘束していく。そして、気絶した彼等、全員が身動きがとれないように繋ぎ止められていた。

「これが魔核か」

 彼等が守っていた地面の中央に転がる、こぶし大ぐらいのサイズの、見た目は禍々しい紫色の石ころに見える物体。レオノールは近づくと、体調を悪くさせるような気持ち悪さを感じていた。

 魔核が近くに有るだけで人に悪影響を与える、というのが実感できた。

「注意して下さい。私達には影響が少ないようですが、直接触ればもしかしたら何らかの影響が出るかも知れません」

 クラリスが近づいていくレオノールに忠告する。

 事前に聞いていた情報によると、魔核は特に男性の精神をおかしくさせるとうい悪い影響がある。そして、女性である自分たちには今の所は影響が少ないらしい、と聞いていた。だが、触ったらやはり危ないだろうと思って、クラリスは魔核に近づくレオノールに向かって忠告したのだった。

「わかった、さっさと砕いて潰しておこう」

 魔核は砕きさえすれば、その効力を失うという。レオノールが力いっぱいに棍棒を振って、地面に転がる魔核を強く打って砕いた。そうすると、先程まで感じていた気持ち悪さは霧散した。

「もしかしたら、この拠点の中に魔核が隠されているかもしれない。放置することは出来ないし、探さないといけないな」

 魔核が1つだとは限らないと考えたレオノールは、拠点の他の場所も入念に探しておこうと動き出した。

「クラリス、一旦私達の拠点に戻って捜索の為に助っ人を呼んできてくれ。探すのに人数が居ないと大変そうだ」
「了解しました」

 魔核を探すための人員を連れてくるようにクラリスへと指示を出して、拠点へと戻させようとしたが、レオノールは慌てて言葉を付け加えた。

「それと、もしもギルが任務から戻ってきていたら、私の代理として戦乙女クランの拠点を任せたと伝えておいてくれ。助っ人は、出入り口を守らせていたティナか他の誰かを連れてくるように」
(魔核が男性に影響するというのなら、ギルをココに近寄らせるのは危険だろうから来ないように言っておかないと)

 ギルの性別を知っているレオノールは、ギルの性別を知らないクラリスに配慮しながらも彼がこの場所に来ないように、伝えてくれと指示するのだった。

 

 

<< 前へ  次へ >>     目次

【スポンサーリンク】