キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

閑話03 哀れだな

 ギルが討伐任務を終えて、戦乙女クランの拠点に戻ってくる少し前の出来事。

 「エレーナ、クラリス、奴らは殺さないように気をつけろ。殺さず、気絶に留めておけよ」
「ハイ、レオノール様」
「了解しました」

 レオノールが先頭に立って、エレーナやクラリス、他にも一緒に数十人の戦乙女クランに所属しているメンバーの女性冒険者達があとに従い、ドラゴンバスターのクラン拠点へと立ち入った。

 王都に数あるクランの中でも、長い歴史をもつドラゴンバスターが拠点としている建物。外からの見た目は立派だったが、内装は破壊され室内装飾も壊れ床に散らばり見るも無残な様子になっていた。

 まるで、建物の中でモンスターが暴れた後のような有様に、クランとして伝統があったはずの場所は台無しになっている。しかも、内部を荒らしたのはドラゴンバスターのクランメンバー。彼等の仕業である、と聞いていた。

「やはり、中に居る人間は既に正気を失っているらしい。念の為、気をつけて付いてこい。建物の影に注意しろ」

 建物内部の様子を見たレオノールが、後ろにいるメンバーに注意を促す。全員が注意を聞いて、ハイと元気よく返事をした後に、しっかりと注意する意識を強める。そして、警戒しながら建物の中へと進んでいった。

「グルルウウウゥゥアアッ!」

 建物の中を進んでいくと、途中に襲いかかってくる者たちも居た。そして今も、獣のような雄叫びを上げて斬りかかってくる、ドラゴンバスターのクランに所属している冒険者の男。

「ガァァァアアアゥゥ!」

「フンッ」
「ギァアウッ!?」

 彼は先頭に立って歩いていたレオノールを標的にして、手に装備していたロングソードを振り上げながら斬りかかってくる。だがしかし、刃がレオノールの身体に到達するずっと前に、襲った方の男は頭に一撃を受けて地面にうつ伏せで倒れ込み、失神した。

 レオノールが襲ってきた男に瞬時に反撃していたのだが、まるで虫を振り払うかのような簡単さで、彼女は手に持っていた木製で長めの棍棒を素早く振るって、男の頭に一撃を加えていたのだった。

「縛っておいて」
「ハイ」

 襲ってきた男を返り討ちにした後、レオノールは男を倒した事を誇りもせずに、何事もなかったような冷静さで倒した男を指差し、後ろに付いてきていたメンバーの1人に、地面に倒れ込んだ男を縛るよう指示する。そして、先を急いだ。

 建物の奥に進んでいくと、大きな部屋を発見する。ドラゴンバスターのクランに所属している者たちの為の訓練場だった。その大きな部屋の中心に、正気を失った冒険者たちが何十人か集まって輪を組みながら辺りを警戒している。

「どうやら、アイツらが魔核を守っている者達らしい。彼等は全員、この場で気絶させよう」
「「「了解」」」

 レオノールはクラン建物に侵入する前、正気を失わなかったドラゴンバスターの所属メンバーに話を聞いて、魔核のある場所を聞き出していた。その情報を活用し目指して到着したのが、この部屋だった。

 そして冒険者が集まっている中には、ドラゴンバスターのクランマスターが居るのも発見していた。どうやら彼も、正気を失っているらしいと言うことをレオノールは確認する。

「まさか、貴様も正気を失っているとは。愚かというよりも、いっそ哀れだな」

 

 

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