キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

プロローグ

 

(――ああ、痛い。腰を刺されたのか)

 現状を妙に冷静な精神状態で、そう判断する。通り魔は凶器を刺した相手である優が持っていたカバンをひったくり中身を漁った後、動かなくなった彼のズボンのポケットから財布を抜き取って、それで満足したのか何処かへ駆けて行った。

(財布には一万円しか入ってないのに。たったソレだけで、人生が終わってしまうなんて。、、、それでは、死にたくないなぁ)

 死を覚悟する。しかし、今まで人生の中で恋人も居なかったし、海外にも行ってみたかった、やりたいゲームもあったのに、まだまだ人生を楽しみたいと思える事が沢山あったのに。

 様々な無念を心に思い浮かべながら、彼は地面に横たわっていた。

(目が霞んできた。携帯があんな遠くに。体はもう動かない。もう自力で、助けも呼べないか。血がこんなに出てるや。血は苦手だな)

 カバンの近くに転がっている携帯電話に腕を伸ばしてみたが、その体勢からもう動くことはできなかった。刺された箇所からドクドクと真っ赤な血が流れだして、彼の視界いっぱいの血だまりを作っている。

(最後に食ったのが、屋台の焼き鳥かぁ。せっかくなら、ケーキが食いたかったなぁ。あぁ眠くなってきた、、、死にたく、、、ない)

 

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