キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

29.魔王の復活

 魔王城で待っている間、俺は、新しく手に入れた職業である勇者によって取得できるようになったスキルを眺めていた。その中から、使えそうなスキルを片っ端から手に入れていった。

 覚醒、ベルセルク、大撃断、グレートダッシュ、ジャンプ、集中、フォース、大防御、色々なスキルを習得した。

 日が沈み、当たりが暗くなり、夜になってやっと、ドラゴンは上空に見えなくなり、旧魔王城を出られるようになった。

「やっと、出られますね」
 マリアは、早くこの旧魔王城を出たそうにしていたので、やっとの思いでという感じだろう。パトリシアとクリスティーナも出たそうに頷いている。


「一応注意が必要だ。 俺が偵察してくる。3人は待っていてくれ」
「偵察は私が行きます!」
 マリアが、偵察を引き受けたいというが、これは、ステータスが一番高いと思われる俺が適任だろう。もしも、ドラゴンと遭遇すれば、撃退もしくは逃走が可能だからだ。
「いや、俺が行く。マリアたちは待っていてくれ」
 気が進まないようだったが、無理やり了解させて、俺は外へと偵察に出た。

 外に出て、先ず上空を見上げる。ドラゴンの影は無い。俺たちを諦めて去ったのだろうか。


 辺りに潜んでいないか、城の周りを一周して見まわるが、ドラゴンは見当たらない。
 よし、大丈夫そうだ。後は、王都に向けて旧魔王領を抜けるだけだ。俺は、3人の待つ魔王城へと戻っていった。

 

「どうでしたか?」
 マリアが、ドラゴンが居なかったか聞いてくる。
「大丈夫、ドラゴンは去った。早く、ここから出よ……っ!」
 俺は、マリアにドラゴンは居なかったから、出ようと言おうとした時、鈍い痛みのような感覚を、頭の奥に感じた。


(これは? 一体?)
 正体不明の、その痛みは、じわじわと増してきて、嫌な予感が増大する。
 その時、上階から不気味な声が聞こえてきた。


「フフフッ、やっと封印が解けたわ」

 声の主は、3階の王座に居る。直感的にそう感じた俺は、立ち上がった。
「ユウさん?」
 マリアが、立ち上がった俺に疑問を抱いたのだろう。名前を呼ぶ。


「皆は、ここで待機! 危なくなったら逃げるんだ!」
「しかし……、わかった!」
 パトリシアが何か言いたそうにしたが、すぐに飲み込み了承する。これで、ドラゴン戦とは違い一人で対処できる。俺は走りだした。パトリシアはもちろん、マリアとクリスティーナも付いては来ない。もし危なくなったら、自分一人なら戦闘から逃げ切ることが出来るだろうから、ついて来られては困るのだ。

 

 階段を駆け上り、2階、3階と上っていく。玉座へ続く扉を開いて中へと入る。すると、王座に先ほどは居なかった、何かが座っている。

 

「おぉ、人間よ。封印を解いてくれたのは貴様か?」
 王座に座っているのは、女だった。長い黒髪に、黒い肌、大きな瞳でパッチリとしている。瞳の色はルビーの宝石のように真っ赤で、印象的だった。大きなローブを着て、背中に大きな黒いマントを付けている。


(俺を人間と呼ぶ? 魔族か?)
「答えよ、人間よ」
「っ!」
 スキルの威圧が発動されるのがわかった。スキルレベルは低いのか、俺に対して効果はなかったが、敵意があることが分かる。


「あんたは、誰だ?」
「ふっ、ワシを知らんのか。この城の主、魔王だよ」
「何っ? 魔王?」
 驚く俺に、愉快そうに笑い出す魔王。


「そう、400年もの間、よくもワシを封印してくれたな人間よ」
 言葉は、俺に対してではなく、人間という人種に対してだった。しかし、封印が解けてしまったのか? 400年間無事に封印されていたのに。やはり俺達が来たことで刺激されて、封印が解けてしまったのだろうか。
 魔王と名乗る、女がこの先、何をしようとしているのか。目的を知ることが先決だと考えた俺は、質問を投げかけていた。


「封印が解けたあんたは、どうするつもりだ?」
「知れたこと。人間を滅ぼすのだ」
 このまま、野放しにすることは危険だ。過去にあった、魔王の所業を考えると、放って逃げる事は出来ない。しかし、対処の方法は分からない。かつて、勇者が魔王を封印したと伝えられているが、その封印方法については書かれていなかった。再び封印するにも、どうやればいいか……。


 仕方なく、俺は剣を抜く。今の俺では勝てる相手かどうか分からない。ドラゴン戦で勇者の職業を手に入れたことが、どう影響するか。先ほど取得したスキルが魔王に対して有効か。それは分からなかったが、とにかく、このまま逃げることは出来ない。

 

「まずは、貴様からだ! 人間!」
 魔王と名乗る女は、王座から飛び上がり、俺に対して攻撃を加えようと近づいてきた。

 

 

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