キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

28.魔王城

 ドラゴンとの戦闘を行った場所から、2時間ほど歩き続けた。途中、パトリシアとマリアは気絶から覚醒して、ドラゴンの戦闘の詳細について説明を求めた。俺は、歩きながら二人が気絶した後どうなったか、を話した。逃げ切れなかったこと、覚悟を決めてドラゴンと対峙したこと、何とか撃退に成功して、今は戦闘した場所から離れるために歩いていること。

 ドラゴンと最初に出会った時、そして最初の逃走の時に、食料や防寒着を全て置いてきてしまったため、持ち物がない。あるのは、装備品の剣だけだった。
 特に食料がないのが問題だ。見渡す限り、草原しかないバーゼル。何かしら実のなる木があれば、食いつなぐことが出来るかもしれないが、それもない。
 今の状態では、ベベ草を探し出す事は出来ないだろう。一刻でも早く、王都に戻り、装備を整え直すしかない。

(旧魔王城を通るしか無いか……)
 アギー山脈を通って行けば、3日以上の日数がかかる。しかし、旧魔王城を通れば、1日で王都へと戻れるだろう。立入禁止とされているが、今のままだと餓死してしまう。

 俺達は、目標を旧魔王城に向けて歩を進めた。

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「これが、魔王城」
 さらに1時間ほどを歩いて、魔王城近くまで到着する。
「アギー山脈で見た時よりも近くで見ると、さらに禍々しいですね」
 マリアが、魔王城を見た感想を述べる。マリアの言うとおり、全体が黒の外壁に、緑色が無く、禍々しいオーラが漂っているように感じる。

「ユウ!」
 パトリシアの鋭い声に、何事かと振り向く。パトリシアは、空を指さしていたので、その先を見てみる。遠くの方へドラゴンの群れが何十匹も見えた。
(やばい、どうする?)
 再び戦闘になるのはマズイ。先ほどの何倍ものドラゴンの数に、女性達3人を守りきれることは出来ないだろう。

「魔王城に逃げ込もう!」
 言って、走りだす。魔王城には入るつもりはなく、そばを通って抜けるだけと予定していたが、ドラゴンの群れから隠れる為に仕方がない。

 4人が走り、魔王城の城門へと到着する。俺が大きな城門を力いっぱい開き、中へと駆け込む。
 多少走り疲れたが、何とか逃げ切れた。女性達3人は肩いっぱいで息をしている。
「少し休憩しよう」
 俺の言葉に、3人が頷いて了解した。
 俺は入った城の中を、目で見て確認してみた。城の住人であった魔人は、魔王が封印されるときに滅んだという。この城の中には既に誰も居ないだろうが、警戒は必要だろう。それに、先程から嫌な予感がする。この感覚はなんだろうか。

 城の中は窓があるのに、薄暗く、古ぼけている。しかし、埃っぽくはなく、意外に綺麗だ。
 階段を登り、窓から外を眺める。
(……まだ、空から見ているようだ)
 ドラゴンの群れは、旋回しながら城の上空を飛んでいる。階段から降りて、3人の居る場所へと戻る。

「まだ、外にでるのは無理そうです」
「そうか」
 回復したパトリシアが、頷いて返事する。マリアとクリスティーナも回復し終わったようだ。

 さて、どうするか。4人は動けるようになったが、ドラゴンの群れにより外へ行くことが出来ない。

「魔王城の中を捜索してみますか?」
 マリアの提案を考える。不用意に、魔王城の中を歩きまわって危険性はないだろうか。そして、体力を消耗させられないかを考えると、捜索することにメリットを感じない。
 しかし、何もしないというのも時間がもったいない。それに、上空を飛んでいるドラゴンに対して有効な何かが見つかるかもしれない。

「魔王城の中を探ってみよう」
 俺はそう決断して、魔王城の中を探ってみる事にした。
俺達は、4人連れ立って魔王城の中を歩きまわってみた。まずは、1階にある部屋から、大広間等を見て回った。400年もの年月が経っているはずだが、どうも綺麗すぎるような感じがする。しかし、なぜ綺麗なのかの理由は思いつかない。普通は、ホコリが積もっているものだろうが見当たらない。

 俺達は、1階の捜索を終えると、2階へと上がった。2階には、宝物庫があった。宝物庫の部屋の大きさは、小さかったが、中には、金貨や宝石などが床に散らばっていて、片付けられていなかった。

「何か無いかな?」
 4人で手分けして、ドラゴンの対抗手段を探す。

「ユウ! 来てくれ」
 パトリシアに呼ばれて、急いで近寄ると、何やら持っていた。

「もしかして、これはベベ草じゃないか?」
 パトリシアの差し出す箱の中を見てみる。特徴的な紫の花に、ギザギザの葉っぱ。確かにベベ草だった。
「パトリシア、これだよ! これで、姫様を助けられる」
 ベベ草が手に入り後は、ドラゴンをどうするかだけだった。

 その後、宝物庫を調べてみたが、肝心のドラゴンに対抗できるような武器などは見当たらなかったので、部屋を後にした。

 3階の王座になっている部屋や、4階の部屋を見て回ったが、めぼしい場所は見て回ったが、何も発見できなかった。

 その後、1階へと戻り、俺達はドラゴンが去るまで城の中でじっとしていることにした。

 

 

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