キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

27.対ドラゴン戦

 俺はパトリシアを、クリスティーナはマリアを背負い、走った。
 草原でドラゴン4匹の群れに遭遇し、1匹には弓で目を、もう一匹は口元に傷を負わせたが、パトリシアとマリアが反撃をくらい、気絶。ドラゴンを撃退することは絶対に無理だと感じた俺は、パトリシアを背負い、逃走した。

 走りながらも後ろにクリスティーナが付いてきていることを確認しながら、スキルの威圧を使い、ドラゴンをけん制する。しかし、空を飛んでいる4匹のドラゴン達は一定の距離を保ちながらも、俺達を空中から狙っている。

「クリスティーナ、早く!」
 俺の言葉に、クリスティーナは一度頷くが、肩で何度も息をしていて、限界のようだった。
(どうする……?)

 このまま走って逃げるにも限界がある。考えるが対処法は思いつかない。

「キャッ!」
 その時、後ろを走っていたクリスティーナがつまずき、転ぶ。
「クリスティーナ!」
 疲労のため、足がもつれたのか。クリスティーナは、再び立ち上がろうとしているが、息が荒く、立ち上がれない。クリスティーナは、これ以上進むことは無理そうだった。背負っていたマリアが、そばに横たわっている。

 俺は、もう逃げることは無理だと感じた。残る方法は、一つ。ドラゴンを撃退することのみ。
 背負っていたパトリシアを素早く地面に横たわらせると、覚悟を決めてドラゴンをひと睨みした。ドラゴンが、空中から降りてくる。

 剣を構えて、4匹のドラゴンと対峙する。

 その時、頭のなかにアナウンスが流れた。
(勇者の職業を取得しました)
「勇者?……ええいっ、役に立つのか?」
 文句を言いながらも、一か八か職業を勇者に付け替えてドラゴンに立ち向かう。Lv.1の職業ならば、レベルを上げながら戦える。
 一匹のドラゴンが、口から火を放つ。それを、剣で受け止め逸らす。後ろには、クリスティーナ、マリア、パトリシアが居る。熱気が肌に当たり、ヤケドをしたように、皮膚がヒリヒリとする。
 俺は、ドラゴンの息が止まり、火を吹くのをやめた瞬間、ドラゴンに向かって走り、大きな腹めがけて剣を振るう。3人の女性達から、ドラゴンの注意を逸らすように攻撃を繰り返す。

 すると、攻撃を加える度にレベルが上がっていった。剣を振るう。レベルが上がる。剣を振るうごとに、だんだんとドラゴンに対応できるようになってきた。
 更に、剣を振るう。レベルが上がる。剣を繰り返し、50回ほど振るった時、とうとうドラゴンの皮膚に傷をつけることが出来るようになった。

 傷を負ったドラゴンの咆哮が、大地を揺るがす。ビリビリと肌に振動が当たるが、俺は構わず攻撃を加えていく。
「いける!」
 勝利を確信した俺は、ドラゴンの足元、腹、首、顔に向かって容赦無い攻撃を繰り返した。とうとう、攻撃を受けすぎたドラゴンの一匹が絶叫を上げて、地面に横たわる。

(やっと一匹!)

 残り3匹のドラゴンは分が悪いと感じたのか、空へと飛び、逃げ出した。空に逃げられたので、攻撃が届かない。さらに、翼を羽ばたかせて上空へと飛んで行く。
(くそっ、何か方法はないか?)
 空へ逃げ出したドラゴン。この後、さらに仲間を呼ばれたら厄介だと思い、とどめを刺す方法を考える。
 俺は急いで、スキルメニューを開いた。勇者の職業を取得したことによって、新たなスキルが取得できるようになっていた。スキルメニューの中から、ドラゴンスラッシュというものを発見し、取得する。頭のなかに、技の方法が浮かび上がる。
(丁度いい! 遠距離攻撃も可能だ)
 ドラゴンスラッシュは、パワーを剣に貯めて、貯めたパワーを衝撃波として飛ばすことが出来る技だった。これならば、空中に居るドラゴンに対しても攻撃ができる。
 俺は、剣を地面に水平に構える。

「くらえっ!」
 剣を上へと、切り上げる。刃から、青白い光が放たれると、空を飛んでいる一匹のドラゴンの首辺りに命中した。ドラゴンの首が、ゴロンと落ちる。残り2匹のドラゴンは、更にスピードを上げて、俺との戦闘から逃げ出した。
 ドラゴンスラッシュの攻撃範囲外に飛びだった、2匹のドラゴン。攻撃は無理かと断念する。
 早く、この場から離れなければ。報復が怖い。
「大丈夫だったか? クリスティーナ」
 クリスティーナのそばに走り寄り、確認する。
「……何とか」
 先ほどに比べると、大分楽そうだが、まだ息を切らしている。しかし、無事なようなのでひと安心した。

「直ぐに、この場所を離れよう。さっきのドラゴンが仲間を呼ぶかもしれない」
 無理をさせてしまうが、直ぐに場所を離れたかった俺は、クリスティーナにマリアを背負わせる。
「……分かりました」
 そして、走って逃げた時と同じようにパトリシアを俺が背負い、戦闘を行った場所から一歩でも早く離れようと、歩き出した。

 

 

<< 前へ  次へ >>     目次

【スポンサーリンク】