キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

25.アギー山脈

「マリア! パトリシア! 中央突破を頼む。クリスティーナは弓で、中央部分に遠距離攻撃を!」

 俺の指示通りに動いてくれる、女性戦士たち。クリスティーナと一緒に俺は、弓を使ってマリアとパトリシアの合間に、攻撃を加えていく。今は、周りをモンスターの大群に囲まれながら、足場の悪い山間をバーゼル目指して進んでいる途中だ。

「突破したら、そのまま真っすぐ! クリスティーナ、後ろに注意!」
 モンスターの数が多く、全てを倒すのは無理だと感じて一点突破を図る。何とか、モンスターの輪の中から飛び出して、走る。後ろにも細心の注意を払いながら、走り抜ける。

 バーゼルを目指して旅した俺達は、アギー山脈という場所を進んでいた。アギー山脈は、旧魔王城を遠回りして、バーゼルへ向かうための一番近い道のりである。しかし、険しい山脈で登るだけでも一苦労だ。


 その道のりは、険しく、モンスターの襲撃も頻繁にあり、女性陣達は体力をかなり消耗させられている。しかし、足を止めることは出来ない。今は、山の中腹辺りなので、まだまだ先があり、立ち止まれば際限なくモンスターが集まってくるだろう。

「がんばれ! もうすぐ、頂上だ。頂上まで行けば、休めるぞ」
 マリア、パトリシア、クリスティーナの3人は頷いて、俺の言葉に答える。大丈夫、もうすぐ行けば頂上だ。頂上に行けば、今のように、木々に視界が隠されることもなく、モンスターの襲撃を、いち早く察知できるだろう。

 

「っ! 右前方から、モンスター! 戦闘準備! クリスティーナ、弓で先制!」
 木の間から絶え間なく襲い来るモンスターを倒し、あるいは逃走して道を進む。

 

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 やっとの思いで、俺達4人は頂上付近まで来た。女性陣3人は息も切れ切れに、肩で息をしている。それほどまでに、激しいモンスターの襲撃の数々だった。山頂には、雪がつもるほど気温が低い。登っている途中は、戦闘で体温が上がっていたが、頂上まで到着すると、さすがに寒くなってきた俺達は、寒さに耐えるために荷物から防寒着を取り出した。

 

「ユウ様は、医術の他にも、武術の才能もお有りなのですね」
 一息入れた所でマリアが、羨望の眼差しで俺を見てくる。王都へ向かう途中は、能力について見せていなかったが、今回の旅で十分能力を発揮したところをマリアに見せた。レベルアップの仕組みがおかしいために手に入れた力だったので、あまり自分の力によるものという感じはしなかったが、褒めてくれたお礼は言っておく。

 

「ありがとう、マリアさん。さぁ、頂上についたし少し休憩をしよう」
 俺達は、見晴らしの良い場所を見つけて、そこで休憩を始めた。

「ユウ、あっちがバーゼルか?」
 パトリシアが指差す方向には、大きな草原が広がっているのが見えた。
「あぁ、そうみたいだ」
 地図を見ながら、場所を照らし合わせてみたらパトリシアの指差す方向は、バーゼルで間違いなかった。魔王によって滅ぼされて荒廃した土地だと文献にあったが、400年も経てば緑豊かな土地に回復するものなのだと感じさせられた。

 

「ユウ様、あっちにあるのは魔王城ですか?」
 点にしか見えないような小ささだが、黒く禍々しいオーラを発している建物は魔王城だろう。


「そうみたいですね」
 山の間に、旧魔王城は立っていた。あの道を進めたら、どんなに早く進めたことかと思ったが、魔王が封印されている可能性がある場所だから不用意には近づけない。

 マリアとパトリシアが、風景を楽しんでいた頃。クリスティーナは、静かに目を閉じて回復に努めていた。

 

「しかし、本当にバーゼルまで行けそうですね。最初は無理そうだと感じていたんですが、戦闘するごとに身体の力が上昇していくように感じて、遂には山頂まで来ることが出来ました」
 マリアの言葉通り、想像していた以上に、アギー山脈のモンスターは手ごわかった。しかし、俺とパーティを組んでいるお陰で、マリア達のレベルが密かに、そして異常にアップしたことによって、本当に戦闘ごとに身体能力がアップして、ここまで来ることが出来たのだろう。後は、下山して、バーゼルでベベ草を見つけるだけだ。

 

「薬草、見つけることが出来ますかね?」
 マリアが不安そうに呟く。俺が大丈夫だろうと、言う前にパトリシアが口を開く。
「大丈夫だ。ユウなら見つけることが出来るさ」
 自信満々に言い切る。パトリシアの、旅立つ時から今までの、不思議な自信は何なのだろう。

 

「パトリシア、何でそんなに自信満々なの?」
「ユウだから、可能なのさ。大丈夫」
 それだけ言うと、先に歩き出してしまった。結局、理由がよくわからない。一体、何を根拠にあそこまで自信満々なのだろうか。


「クリスティーナ、行きましょう」
 歩き出したパトリシアに休憩は終わった。目を閉じて休んでいたクリスティーナをマリアが、促す。そのまま、アギー山脈をバーゼルの土地に向かって、降りていく。

 下山の時は、モンスターにも対応することが出来て、素早く下りることが出来た。そして、俺達はバーゼルへと無事到着したのだった。

 

 

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