キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

24.薬草をどうするか

「バーゼルですか……」
 女王様も、事態の深刻さに気づき顔を暗くさせる。女王様は知っているのだ。バーゼルへ行くという困難さが。

「旧魔王城の先に、土地があるのですか?」
 マリアが疑問を口にする。確かに、旧魔王城の先の土地についてはあまり知られていない情報である。


「旧魔王城の向こう側には、魔王によって人が滅ぼされた土地があるのです。それがバーゼルという土地です。昔の文献によく出てくる場所ですよ」
 旧魔王城の向こう側というのが問題なのだ。旧魔王城には、現在、魔王が封印されていると言われ、封印を刺激させないために近づくことも禁止されている土地なのだ。回りこむにも、旧魔王城の周りの土地は山岳地帯になっていて、しかも、凶暴なモンスターのすみかになっている。山を超えてバーゼルに行くにも、帰るにも大変な労力が掛かってくるのだ。

「他に方法はないのですか?」
 女王様が、俺に質問してくる。
「症状を軽くするのは、時間がかかりますが可能です。しかし、症状を完全に治すには、バーゼルで採取できるベベ草が必要になってきます。ベベ草は、バーゼル特有の薬草なので、現地に行って採取するしか方法はありません」

「そうですか……」
 お姫様が、がっくりと項垂れる。原因がわかったのに、治す方法に問題があると分かって、落ち込んでしまったようだ。

 

「大丈夫です。俺が何とかします」
 俺は、お姫様の落ち込む顔を見続けたくないために、何とかするなんて言ってしまった。
「もしかしたら、俺の知らない治療方法があるかもしれません。この城か城下町で、医学書など保存している場所はありますか?」
 何とかしようと考える。もしかしたら、本当に俺の思いついていない治療法が有るかもしれないと考え、医学書をチェックすることにした。

 

「このお城の中に、図書室があります。そこならば、全国の書物が集められているので、なにか手がかりになることが分かるかもしれません」
 女王様も、何か手がかりを見つけることを期待するように、図書室の事を教えてくれた。

「分かりました、早速調べてみます。マリアさん、案内頼めますか?」
「えぇ、すぐに案内します。付いてきてください」
 俺は、椅子から立ち上がり、お姫様に向かって宣言した。


「姫様。必ず治します。だから諦めないで、待っていてください」
「分かりました。お願いします。お医者様」
 お医者様と呼ばれることに、少し残念な気分になったので、自分の名前をお姫様に呼んでもらうために、遅まきながら自己紹介をする。
「遅くなりましたが、俺の名前は、ユウです」
「私は、ローレッタと申します」
 お姫様が、俺の自己紹介に返事を返してくれる。ローレッタ、すごくいい響きの名前だ。必ず助けたいという気持ちが、一気に高くなる。

「ユウ様、図書室はこちらです」
 マリアさんが、先行して案内してくれる。俺とパトリシアと、女王様が連れ立って歩き始める。ローレッタの部屋を後にした。

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「駄目だ、見つからない」
 図書室に到着するなり、数十冊もの医学書を調べてみたが、魔法中毒に関する記述は少なく、少ない記述を見つけても、治療法について書いてあることは、ベベ草によるものだけ。他に、治療法については書いていなかった。

「やはり、バーゼルに採取しに行くしか方法はありませんか……」
 女王様がため息とともに、残念がる。

「ユウ、バーゼルに行こう」
 今まで黙っていたパトリシアが、何故かやる気を出してバーゼルに行こうと言っている。

「しかし、パトリシア。バーゼルに行くには、とんでもなく難しいんだぞ。それに、ベベ草が今も生えているかどうか、分からない……」
「大丈夫だ」
 自信満々にパトリシアが断言する。なぜこんなに自信満々なのかは気になるが、確かにこれしか方法が無いのなら、ベベ草を取りに行くのが一番良いか。

「娘のために、バーゼルに行ってくれますか?」
「分かりました、これしか方法がないならば、俺達が行きましょう」

 もしかしたら、もっといい方法があるかも知れないが、ローレッタに必ず治すと断言したのだ。俺達がやらないで、誰がやるというのだろうか。

「ユウ、パトリシア、娘のためにここまでしてもらい、ご助力を感謝します」
 女王様が、頭を下げてお礼を言われる。女王様の為にも、お姫様のローレッタを助けてあげなければ。

「ユウ様、パトリシア様。私も同行させてください」
 マリアも、付いてくると言い出した。

「しかし、マリアさん。もしかしたら、とんでもなく大変な旅になるかもしれないですよ」
「私なら、大丈夫です。並大抵な鍛え方をしていないので、どんなことがあっても付いて行く自信があります」
 確かに、これまでの旅の途中でのモンスター戦での戦い方を見ていれば、かなりの使い手だと感じていたので、足手まといになることは無いだろう。それに、力添えはたくさんあった方がいい。
「わかりました、一緒に付いてきてください」

 その後、図書室から大陸図を取り出し、バーゼルまでの道のりを計画した後、旅の準備を進めた。その途中、どこかへ行っていたクリスティーナも合流して、彼女もいっしょにバーゼルへと行くことになった。

 俺、パトリシア、マリア、クリスティーナの4人でバーゼルへの旅が始まった。

 

 

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