キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

21.王都へ向かう

 4人で、泊まっていた部屋を出て、1階のカウンターがある出入口へと向かう。
「あら、今から出かけるのですか?」

 宿の女将が、俺達の気配に気づいたのか、ナイトガウンを羽織り、カウンターの向こうから出てくる。
「ちょっと用事が出来まして。もうこの宿には戻ってこないので、部屋の引き払いをお願いします。部屋ありがとうございました」
 俺は、言いながら、部屋を引き払ってもらう。あと一泊分の部屋代があったが、彼女にチップとして弾む。

「こちらこそ、ご利用いただきありがとうございました」
 女将は、深く礼をすると、カウンターの向こうの扉へ戻っていった。
 部屋は、チェックアウトを済ませたので、これで、旅立てる状態になった。
「じゃあ、行きましょうか」
 赤毛の女性が、率先して前を進む。馬車を用意しているようで、今停めている場所まで案内してくれるそうだ。

 馬車小屋まで来た時、建物の前に立派な馬車が止まっていた。
「馬車の見張り、ありがとうございまいした」
 建物の前にある立派な馬車、赤毛の女性達が、乗って来た馬車はこれか。
「いやいや、これぐらいの事でお礼はいらんわい」
 おじいちゃんが、馬車を見張っていてくれたようだ。持っていた手綱を、赤毛の女性に渡す。
「さぁ、ユウ様と、そっちの女性の方、荷台に乗ってくれますか」
 俺達は言われるとおり、馬車の引いている荷台の中に身体を押し込める。荷台の中は以外と広々していて、快適ではある。青毛の女性は、助手席に乗り込み、荷台には入ってこなかった。

「じゃぁ、早速出発しますね」
 赤毛の女性が、手綱を取り、2頭の馬を操作しながら、馬車を進める。馬車に乗りながら、マーリアンの街を出立する。

 それから、3日ほど王都に向かって走り続けることになるらしい。もしかしたら、お姫様の様態が悪くなるかもしれないのでと、王宮の兵士である、赤毛と青毛の女性達は、そればかり心配していた。

 途中、自己紹介もした。赤毛の女性はマリアと言って、王都出身だそうだ。青毛の女性は、クリスティーナと言い、彼女も王都出身らしい。親の代から、王都の兵士をしているので、中々重要な地位にも付いているらしい。今は、他国との戦争は無いので、結構楽して生活しているということも聞いた。
 パトリシアもマリアとクリスティーナに対して、自己紹介したんだが、なんと彼女も王都出身の人間だったらしい。冒険家として、各地を回っているために、王都にはあまり居なかったらしいが。

 馬車は荷台の広さは良い感じで、快適に過ごせるのだが、乗り心地があまり良くない。道の途中にある、小さな石、左右から押し寄せる雑草、木の根っ子など障害物がたくさんあり、その障害物を超えるごとに、荷台が揺れて、お尻に大きな振動が加わる。

 パトリシアは平気そうな顔で、座っているが、俺は結構早めに尻の限界が来ていた。気休めのために、マリアに後どのくらいか聞いてみる。

「マリア? 今日はあとどれ位進むの?」
「そうですね、3時間程で街がありますので、そこで一休憩しましょうか」

 3時間……。耐えられるだろうかと思いながら、ちょうど良い時間がとれたのでスキル取得に意識を集中させ、尻については考えないようにしようと思った。

 スキル取得。今から、病人を見るので、診察用などの、その辺りのスキルもとっておかなければならない。

診察Lv.1
視診Lv.1
聴診Lv.1
触診Lv.1
打診Lv.1

 基本的な、診察方法のスキルは取得できた。あとは、実際に診察してみてスキルレベルを上げながら、お姫様の原因不明の病について調べることにしよう。

 馬車を進めている時でも、時たま、森のなかからモンスターが飛び出してきて、進行の邪魔をしたり、馬車の荷台を壊したりしてくるので、一度馬車を止めては、モンスターを狩る必要があることもあった。

 しかし、ほとんどのモンスターをマリアとクリスティーナが倒していった。俺とパトリシアは、王宮のお客様だということで戦いに参加させてもらえなかったのだ。

 だが、二人の戦闘力はかなり高く、どんなモンスターでも対処できていたので、もし何かあったら助けようと思っていた俺の出番は、全くなかった。

 マリアは、2本の短いナイフのような剣を使って、スピードでモンスターを撹乱し、攻撃を加えていくスタイルだ。接近戦を得意としているようで、中々のスピードを出していた。
 逆に、クリスティーナは大剣を使い、一振りでモンスターを倒してしまうパワータイプだった。大剣の重さにも振り回されること無く、しっかりと振り切ることができているので、かなり高い身体能力を持っているのだろうと分かる。

 そんな二人に守られながら、一気に王都へと向かうのだった。

 

 

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