キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

閑話01.旅立ちの準備

 王都へ向かう旅の準備を進めている途中、俺は資料室で調べ物をしていた。そんな中、何度かパトリシアが資料室へやって来ては、俺に何度も結婚しようとしつこく迫ってくる事があった。

「ユウ、本なんか見てないで、私と結婚しよう」
「結婚はしません」

 俺は、パトリシアの結婚しようという言葉を軽く拒否しながら、調べ物を進める。

「そういえば、パトリシアって、ギルドの職員なんですか?昼間っから、資料室に来て暇そうにしているし、俺の技術試験も行ってもらいましたし」
「本職は冒険者だ。ギルドから依頼されて、1年に1回か、2回、程技術試験を請け負っている」
 1年に1,2回試験をするのか。結構少ないなと感じながら、俺は調べ物に戻る。

「ユウは、何を調べているんだ?」
 今度は、パトリシアから質問が飛んでくる。
「勇者ハヤセナオトについてです。パトリシアは知っていますか?」
「おぉ、知っているぞ。とても強い男だったそうだ」
 そして、勇者の伝説をひと通り語りだすパトリシアの声を聞きながら、俺は本を読み進める。パトリシアの語る勇者の伝説は、この資料室で調べた内容とだいたい同じだった。

「――っと、そんな感じだ。ユウも勇者ハヤセナオトに興味が有るのか」
「えぇ、興味があります。彼について、調べるために王都へ向かおうと思っているんです」
 俺がそう言うと、パトリシアはいきなりガンと机を叩いて立ち上がった。
「何? いつだ? いつ王都へ行く?」
「え? 準備が整い次第ですから、1週間後位に旅立つ予定です」
 俺が今後の予定を話すと、パトリシアは驚いた顔をした。
「聞いてないぞ! 急すぎる、ユウ」
 そして、思案顔になり、突然こんなことを言い出した。
「ユウが旅立つのなら、私も一緒に行こう」

「え? 付いてくる気ですか?」
 一人で行くつもりで、予定していたのだが、パトリシアが付いてくると言い出した。
「あぁ、付いて行くぞ」
「でも、そんな簡単に街を離れても良いんですか? 試験とか請け負ってるんでしょ?」
 この街に住んでいるパトリシアが、急に旅だなんて。
「そんなもの、どうでも良い。ユウが居ない街なんて、住んでいても意味が無い。それに、私は旅が好きだ」
 そんな簡単に決めていいのだろうか。
「どうしても、付いてくる気ですか?」
「どうしても付いて行くぞ」
 これは、断っても勝手に付いてくるだろうことは簡単に予想できた。
「分かりました、一緒に王都へ行きましょう」
「っそうか。私も準備してくる」
 パトリシアはそう言うと、資料室を出て行った。

 こうして、パトリシアと一緒に、王都へと向かう旅になったのだ。

 

 

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