キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

15.冒険者身分証明証を貰う

「ちょ、ちょっと待ってください!」
 俺は歩き出そうとする彼女の手を払うと、少し待つように言った。


「どうした? もしかして、もう結婚して妻がいるのか? もしくは、恋人が居るとか?」
 先ほどの不機嫌そうな顔はどこにも無くなり、今度は不安げな顔をしている。


「妻も恋人も居ませんけど、って、いきなり何なんです?」
 聞かずには居られない。いきなり結婚だなんて、それに試験はどうなったのだろうか。


「何だとは、何だ?」
「試験はどうなんですか? 合格ですか?」
 まずは、そこを確認したい。剣を受けきるように言われたが、それに従わずに、こちらから攻撃を仕掛けてパトリシアと名乗った女性の剣を弾いてしまった。

 

「うむ、試験は合格だ。先ほどの剣の振り方。私よりも上手いじゃないか。初め見た時は、それほどの力を感じなかったが、今は凄い力を感じる。戦いの中でレベルが上がったのかな。とにかく、君は合格だ」
「そうですか。合格ですね。ありがとうございました」


俺は、お礼を言ってその場を去ろうとするが……。


「待て、試験は合格だが、まだ話は終わっていない。結婚はどうするのだ?」
「いきなり結婚と言われても。初めて出会ったばかりじゃないですか」
俺の言葉に、顎に手を当て考えだすパトリシア。


「ふむ、まだ出会って間もないから結婚はダメということか?」
「いえ、出会って間もないとか、そんな理由じゃなくて。結婚するのはもっとお互いを知ってからというか」
 現実世界でも、彼女いない歴イコール年齢の俺が、いきなり結婚を迫られるなんて、アタフタしてしまった。


「そうだな、私は君の名前をまだ知らないからな。君の名前はなんて言うんだ?」
「ユウ、ですけど」
 名前を聞かれたので答える。俺の答えに、ニコッと笑顔になるアレンシア。


「そうか、ユウと言うのか。いい名前だな。じゃあ、お互いの名前も知り合ったし結婚しよう」
「ちょっと、待ってくださいって」
 なぜ、急に結婚なのだろうか。
「いきなり結婚なんて。先程も言いましたが、今日初めて出会った人間と、急に結婚なんて出来ませんよ」
「そうか、私が急ぎ過ぎというわけか」
 何とか分かってくれたのだろうか。彼女は、肩を落としションボリとした表情で、次のように言った。


「はぁ、試験は無事終了だ。冒険者身分証明証を受付の男に発行してもらおう。付いて来い」
「分かりました。とにかく、ありがとうございました」
 彼女は諦めてくれたのだろうか、先を歩きギルドの建物の中へと戻る。やっと、冒険者身分証明証を手に入れられるのか。

 

「お疲れ様でした、試験は?」
 男性受付が、前の言葉を俺に向けて、後ろの言葉をパトリシアに向けて言う。
「合格だ」
 男性受付に向けてパトリシアが短く答える。そして、チラリとこちらを伺うと、カウンターを超えて、男性受付が居る側にある扉を開いて中へと入り、見えなくなった。
「合格おめでとうございます。それでは、この用紙に必要事項を記入してきてください」
 紙と羽ペンを渡される。カウンターに紙を敷き、記入していく。
 名前、年齢、身長、職業と様々な欄を埋めていく。職業の欄については、今ステータスにセットしている冒険初心者と書いておいた。


「書けました。確認をお願いします」
 男性受付に渡すと、上から下へと眺めて確認してもらう。
「はい、これで良いです。今、冒険者身分証明証を発行してきますので、少々お待ちください」

 5分ほど待っていると、男性受付が戻ってきた。


「こちらが証明証になります。無くさないでくださいね」
 男性受付から運転免許証ぐらいの大きさのカードを渡される。カードには、No.15973と番号が振られていて、それ以外には何も書かれていない。
「そちらの番号が、貴方に割り振られた管理番号になります」
 番号を眺めていた俺に気づいて、説明してくれる。
 裏面を見ると、先ほど用紙に書いた名前と年齢、職業が書かれている。

 

「それじゃあ、冒険者身分証明証を受けたあなたにできる、冒険者の仕事について説明しますね」
 男性受付は俺が、カードから目を離して、話を聞く態勢になったのを確認すると話し始めた。
「冒険者は、ギルドの振り出したクエストを受けることが出来ます。振り分けられる仕事は、冒険者のランクによって異なります。例えば、冒険者ランクが低いと、それ相応の仕事しか受けられません。冒険者ランクは、仕事を受けて評価されれば、上がっていきます」
 ギルドから受けられる仕事について、説明してくれる男性受付。つまり、ギルドからの仕事が受けられるようになって、ギルドから仕事をいっぱい受けたら、冒険者ランクを上がるよ、という事か。


「クエストの内容は、どういったものがありますか?」
 疑問に思ったことを聞いてみる。


「昨日、貴方に受けてもらった、指定するアイテムを集めてもらったり、特定のモンスターを狩ってもらったり、が初期の受けられる仕事の内容です。冒険者ランクが上がれば、要人護衛任務、遺跡調査、そして貴方が依頼を出した内容のような物もあり、様々な仕事があります」
 なるほど、仕事については様々な内容の物が沢山あるということか。


「ギルドの仕事については分かりました。ありがとうございます」
「えぇ、仕事は私に聞いてくれれば、貴方の冒険者ランクに合ったものを紹介させていただきますので、私にお申し付けください」

 こうして俺は、ギルドが発行する冒険者身分証明証を手に入れることが出来たのだった。

 

 

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