キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

14.ギルド試験・後編

 翌朝、アフェットに寄り、チェーナさんとアレンシア達に事情を説明して、今日も仕事を休ませてもらうようにした。


「大丈夫ですよ。先に、身分証明証を作らないと不便ですものね」
 チェーナさんは、快く休むことを許可してくれた。


「店の方は、任せて。試験頑張ってね」
 アレンシアも、厨房が大変なのに俺を気遣ってくれた。


「大丈夫、ユウなら試験なんて楽勝でしょ」
 下ごしらえの準備をしていたオデットが近づいて来て、勇気づけてくれる。
「……がんばって」
 その後ろでシモーナが控え気味に、応援してくれる。
4人の言葉を胸に、俺は試験を受けにギルドへと向かった。

 

 

「おはようございます」
 ギルドの男性受付に向かって、挨拶をしながら、ヤマノ草10個を取り出す。
「おはようございます。もう、10個集めることが出来たのですか。早かったですね」
 少し驚いた様子を見せる男性受付。期限は今日の昼頃だが、昨日のうちに集め終わっていたので、朝の時間に渡すことが出来た。男性受付にヤマノ草を渡すと、数を確認して10個あることを確かめる。


「確かに、10個受け取りました。実地試験の方は大丈夫ですね。それでは、報酬の2500ゴールドです」
「報酬があるのですね」
 報酬は無いものだと考えていたが、しっかりヤマノ草10個分の料金が支払われるようだ。


「この実地試験は、ギルドの依頼が完了できるか確認するための試験なので、報酬も依頼を受けた時と同じように支払わせてもらいます」
 つまり、俺はギルドの依頼を受けても大丈夫だと判断されたということだろう。


「実地試験は終了しましたので、次に技術試験に移らせてもらいたいと思います」
 いよいよ、技術試験と呼ばれる対人戦だ。技術試験と呼ばれるからには、何かしらの技術が見られるのだろうが、今の俺で合格できるだろうか。


「付いてきてください」
 対人戦を行うために場所を移るのだろう。男性受付は、カウンターから出て、初日に案内してくれたように、技術試験を行う場所へと案内してくれた。
 男性受付の後を付いて行くと、外に出た。広い空間が広がっている。ギルドの裏にこんな土地があったのか。


「試験官を呼んできますので、そのままでお待ちください」

 10分ほど待っただろうか。一人の女性が近づいてきた。
「おい、お前が技術試験を受けるという男性か?」
 ひどく、高圧的な態度を取ってくる女性だった。彼女が試験官だろうか。長髪で金髪のその女性は、不機嫌そうにまゆを潜めている。美人なのだが、どうも、その不機嫌そうな顔で魅力が半減している。


「ふん、男のくせに一人前のように背が高いが、剣は振り慣れていないみたいだな」
 確かに、この世界に来てから初めて剣を振るって、剣を振った回数もそんなに多くは無いが、見ただけで分かるものなのだろうか。しかし、男のくせにという言葉、どうやら大分舐められているようだ。


「そんなスキルで、技術試験に受けようとは、これだから男は」
 俺を見てそんな事を言う女性。スキルを見破られた?

 

「私の攻撃を受け切れたら、合格にしてやる。さぁ、構えろ」
 俺は彼女の言うとおり急かされながら、剣を構える。


「これぐらいは受けられるだろう」
 だいぶ力を抑えてくれては居るようで、余裕の表情で彼女は剣を振るった。しかし、そんな余裕の剣も初めての対人戦で緊張した俺は、受けるのに精一杯になった。
 だが、女性の剣を受ける度に、頭にアナウンスが鳴り響く。


(スキルレベルがアップしました)
(スキルレベルがアップしました)
(スキルレベルがアップしました)


 昨日取得した、威圧、剣術、回避それぞれのスキルレベルがアップしているのだろう。それが、彼女の剣を受けるごとにアップしている。その効果なのだろう、剣を受ける度に相手の繰り出す剣先が、見えるようになって、彼女の剣に対応できるようになった。

「どうした? もう無理か? 無理なら無理と早く言え」

 俺はスキルレベルが上がりきった頃に、思い切ってこちらから仕掛けてみることにした。威圧を発動させて、相手にプレッシャーを与える。そして、剣術のスキルを使ってある技を使う。女性の剣に合わせて、円を描くように回す。巻上げだ。そのまま、巻き上がった女の持つ剣が弾き飛ばされる。女性の手から離れた剣は、明後日の方向に飛び、地面に突き刺さる。


「……」
 呆然とする、女性。どうだ、参ったかという思いを込めて、女性をにらみ見つけると、意外な結果が待っていた。

「すごい」
「へっ?」

「私は、貴方のような男性を待っていたんだ!結婚してくれ」
 突然、彼女は豹変して結婚してくれと叫ぶ。事態についていけない俺は、多分アホ面を晒しているのだろうと思う。そんなのお構いなしに、女性は、自己紹介を始めた。

 

「私は、パトリシアという名前だ。貴方のような男性を求めていたんだ。男は弱いもの、なんて世間では言われているが、必ずこの大陸には、強い男が居る。そう考えて、ギルドで試験官をして強い男が現れるのを待っていたが、今日、貴方のような男性が訪れた。こんなに、幸運なことはない。さぁ、結婚してくれ」


 パトリシアと名乗った女性は、そうまくし立てると俺の手を握り、どこかへ歩き出そうとした。

 

 

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