キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

17.閑話01 校内男子人気ランキング

 午前中の授業が終わって昼食の時間も終わり、午後からの授業が始まるまで間のある昼休み。

  二人の女子学生が、校庭に出て遊んだり運動するでもなく花壇の前にある広場でダラっとしたポーズで地べたに座りながら、おしゃべりしていた。

「ねぇ、うちの学校って他校に比べて男子学生が多いよね」
「そうかな? 五人って普通じゃないっけ。多いところだと、十人も居るんだって聞いたことがあるよ」
「そうなの? ちなみに、アンタは五人の中で誰が好み?」
「あぁ、そういう話ね」

 彼女たち二人が話題にするのは、自分たちの学校に在籍している男子学生の中で誰が一番に好みかということだった。中学生で思春期という年頃の彼女らは、異性について顕著に気になっていた。だから男の子の事を話題に出しただけで、笑顔を浮かべて楽しそうに会話している。

「片平君は? 私たちよりも年上だけど、明るくて女性に対しても尊重して振る舞ってくれる」
「最初に名前を挙げたってことは、あんたは片平君が一番なの?」
「うーん、一番ではないかなぁ。他の人は一番に名前を挙げるし人気は有るみたいだけど、あの人って美人が好きみたいだし私たちじゃ相手にしてもらえないと思うよ」
「まぁ、そうだね。私もそう思う」

 話題を振った女子の方が男子学生の名前を挙げる。一つ学年が上である先輩学生の名前。しかし、相手にはしてくれないだろうという予想で一番ではないと、彼女たちはバッサリ切り捨てる。

「それじゃあ、片平君と仲良しの堀場君は?」
「あの人、女性嫌いじゃなかったっけ?」
「あー、そうらしいね。じゃあそっちも私たちじゃ、望み薄か」

 世の中には、女性よりも男性同士で仲良くしたいという人も居るんだという事を理解していた彼女たち。そして、堀場君はそういう人間で女性である自分たちには興味が無いだろうと分かると、すぐさま好みの一番から除外した。

「逆に年下は? 米田君」
「彼は、これといって特徴が無いからなぁ。まだ私たちが知らないだけかも知れないけれど」
「そうね」

 まだ情報が少なくて、普通の人という印象しかない彼に対しては、一番に挙げる程の持ち味はないと辛辣な意見。

「じゃあ、私たちの同学年の水本君はどう? 彼だったら、女子の皆とコミュニケーション取って良い子じゃん」
「アレだけ軽薄だと、尻軽男な感じがしてヤダなぁ」
「贅沢ね、アンタ」

 同級生であり、一番身近に居ると言える男子学生。そんな彼を、女子皆に愛想を振りまいて浮気性な男性であるからダメだと指摘する。

「そしたら、アンタの本命は北島君ってことね?」
「もちろん!」

 今まで気合の入っていない受け答えをしていた少女が、北島タケルの名を聞いた瞬間に今までとは打って変わって力強い応答。しかし、名前を挙げた方の女子生徒は納得していない、という表情を浮かべていた。

「えー、彼かぁ」
「絶対、彼が一番だって!」
「でも、付き合いにくい雰囲気が全開で敬遠する子も多いよ」
「馬鹿だなぁ、あの雰囲気が良いのに」
「そうなの? 理解できないなぁ」

 話しかけにくく、親近感が無いから苦手だと評価する子も実際に多い。そんな、北島タケルが一番だという肯定派と否定派に別れて、話し合い。

「見た目が良くって、成績優秀だし運動神経も凄いって。アレだけ完璧だとしたら私たち女としては、ちょっと恥ずかしくない?」
「それが良いんでしょ。男として完璧なのが」

 否定的な意見を述べてみるが、北島タケルを一番に挙げる少女は一蹴する。そこが良いんだと拳を握って力説していた。

「あとは、いつも無表情で時々ジーッと見られたりするから不思議で近寄り難いムードが苦手じゃない?」
「だから、あれが良いんでしょうよ。王子様っぽくて。それに、ジッと見られるのも楽しまないと」
「えぇ……」

 その考えは理解できないと少し引き気味になるが、そんなの関係ないと熱く語る肯定派の少女。

「もしも私がタケルくんと付き合うことになったら、あの無表情を笑顔にさせてあげたい、って考えるのが良いんだって」
「うんまぁ、それは分かる」

 北島タケルを一番に推す彼女の妄想が進む。そんな話を聞かされて、なるほどねと少し感化される、もうひとりの女子学生。

 だがそこで、肯定派であった少女の興奮した気持ちが落ち込んだ。

「っつっても、本人を目の前にしたら緊張して私なんか、何も言えなくなるだろうけどね」
「まぁね。はぁーあ、なんだかんだ言ってるけれど誰でもいいから、もっと男の子と仲良くなりたいなぁ」

 男子の好き嫌いを楽しく語っていた彼女たちだったが、結局のところ誰でも良いので男子学生と仲良くしたい、という切実な想い。そんな彼女たちの本音は全校の女子生徒が同意するような意見であった。

 

 

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