キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第40話 アイドルグループ結成(仮)

 三喜田社長が会議室に入室してくる時に後ろに引き連れて現れた舞黒くんを目にした瞬間、俺は一瞬ヤバイと言う心境になった。

 というのも、先日の舞黒くんとの出会いとなる出来事について俺は三喜田社長に話していなかったから、もしかしたら怒られるかもしれないと思ったから。

 別にちょっとした揉め事で、俺も舞黒くんも怪我はなく無事であり、相手にも怪我をさせていない。(新道という男は失神させてしまったが)ちょっと不良達と会話をして、大事にせず事態を収めたから悪いこともしていない。何でもない事とは思うけれど、話を聞いた人がどう判断するか。

 赤井くんは不良達と揉め事を起こして、自分は人質として巻き込まれてしまった。

 と舞黒くんの口から言われてしまえば、聞いた人にどう判断されるかが怖くなった。そんな事を登場した彼らを目にして心配をしたが、どうやら全然別の事情で舞黒くんはこの場所に連れてこられたようだった。

「賢人くんは既に彼と知り合いのようだね。ここに居る舞黒優人くんは、アイオニス事務所に新しく所属することになった仲間だ」
「よろしくお願いします」

 三喜田社長から紹介された舞黒くんが、頭を下げて挨拶をしている。驚いたことに、舞黒くんは俺と同じ事務所に所属する事になった、新しいアイドル訓練生となっていたらしい。そして続く三喜田社長の言葉に、再び驚くことになる。

「ここに集めた3人は、以前から計画していたアイドルグループである”Chroma-Key(クロマキー)”のメンバーとしてデビューを予定している。もちろん、今すぐという訳じゃないが心の準備だけはしておいてくれ」

 そんな宣言をいきなりされて、俺は剛輝と顔を見合わせた。突然過ぎて理解が追いついていない。

「えっと……? それじゃあ、俺と剛輝と舞黒くんの三人組でデビューという事ですか?」

 話を整理するように、言葉にして理解し直しながら三喜田社長に確認するための質問を投げかける。

「いや、あと2人をメンバーとして考えているから5人組としてデビューする予定だ。1人は確定していて、すぐに合流することになると思う。ただもう1人が少し厄介で、時間が掛るかもしれない。だが、5人が集まって新しいアイドルグループとしてデビューするという計画は進行中だ」
「はぁ……?」

 どうやら、三喜田社長には明確なビジョンが既にあるようで何やら色々と考えているらしいが、話を初めて聞いた俺達は戸惑いを隠せないでいる。

「これは確定という訳じゃなくあくまでも予定だが、とにかくここに居る3人と後から合流する2人の計5人でグループとしてデビューするという予定だ。契約に関しては後で色々と話し合って決めることもあると思うが、とりあえず顔合わせということで3人で会話してみてくれ」

 三喜田社長に言われて、どうするのか困ってしまい黙ったまま見つめ合ってしまう3人。ちょっと気まずい。

「社長の私が居たんじゃ楽に会話も出来ないかもしれないから、先に出ていくよ、会議室はしばらく使えるようにしておくから。それじゃあ失礼」

 まるで、見合いのような感じで後はお若い人たちに任せて……、というような事を言って俺たち3人を残し会議室から出ていってしまった三喜田社長。

 確かに大人が近くに居て、見られたまま会話をしろと言われても緊張してしまって、素直に話は出来ないかもしれない。だが、突然アイドルグループのデビューするというような大きな話を持ってきて、持ってきたまま放置というのも無責任という感じがある。

 けれど、まぁ普通に舞黒くんと知り合いになって友達になるための自己紹介の場所として用意してくれたと考えればいいか。

「とりあえず、舞黒くんもコッチに来て座って」
「ありがとうございます、失礼します」

 扉の前で立ったままの舞黒くんを、俺と剛輝が座っている近くの椅子に呼んで腰を下ろしてもらう。すると、彼はすごく丁寧な口調で応答する。

 会議室の中で、俺たち3人は近くに集まって座っている。

「優人って名前やったっけ」
「あ、はい。そうです」
「俺は、青地剛輝。よろしく」
「よろしくお願いします」

 なんだか同年代とは思えない、剛輝くんの先輩っぽい対応に舞黒優人くんの後輩っぽい応答。2人が合わさって、2つに割ればちょうどいい塩梅なんだけれどなぁと思う。

「三喜田社長から呼び出しは一体なんだろうって思ってたけど、この3人と後2人が予定でアイドルデビューするって話だったね」

 俺が2人の顔を見渡しながら、先程の事を思い出して話を振る。

「そうやな。それにしても、なっだけか……、Chroma-Key(クロマキー)? どういう意味なん?」
「映像の加工に使われるクロマキー合成とかの、クロマキーでしょう。確かクローマが色とか色彩という意味の単語だったはずです」

 先程聞かされたアイドルグループ名のChroma-Key(クロマキー)に疑問を持った剛輝に答えたのは、舞黒くん。

「ほぉ、なるほどな。そういや、ここにおる3人も色が名前に付いとる。そういう意味で付けた名前なんか」
 剛輝の言う通り、彼には青、俺には赤、そして今日メンバーとなると紹介された舞黒くんには黒。色の名前が付いた3人が集められたということだ。

 多分偶然、ということは無いだろうから三喜田社長の考えで、意図的に色の付いた名前のメンバーを集めてきた、ということだろう。

「後から2人メンバーとして合流するって言っていたから、その人達にも色の付いた名前かもしれないね」

 こうして俺たちは突然集められて、アイドルグループとしてデビューするという計画が進行中であるという話を三喜田社長から聞かされた。

 後に、国民的なアイドルグループとして知られるようになる、Chroma-Key(クロマキー)というグループの始まりだった。

 

 

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