キョウキョウ NOVEL's

キョウキョウ著によるオリジナル小説を公開しています。

第03話 新たな目的

 突飛だが可能性があると思い提案した俺のアイデアを聞いて唖然としている皆に、詳しく説明する。

 

「高校野球の選手として甲子園に出場できれば、テレビやラジオで放映され知られて間違いなく有名になれるだろう」

 

 アイドルグループとしてデビューしている間に中学生から高校生になっていた俺達。(一つ年上の拓海は先に高校生になっていたが)高校生として有名になる方法の一つが、甲子園に出場する事だと思う。しかし、甲子園に出場するまでも非常に狭き門だろうけど。

 

 だが妨害されてアイドルとしてテレビやイベントに出るような活動が出来ないなら別の方法によって無理やりにでも表舞台に出るしかない。しかも、これ以上は押さえつけられないと思わすぐらい、通常では考えつかないような奇想天外な方法で。

 

「世間に知ってもらう為に大会とかで優勝を目指すんなら、アイドルらしくダンスや歌のコンテストで優勝を狙った方が良いんじゃないの?」

 拓海の当然のような疑問に俺は、ゆっくり首を振って否定する。確かに、その方がアイドルらしいしレッスンを受けトレーニングを積んで鍛えてきた腕前を駆使した方が優勝出来る可能性も高いかもしれない。でも。

 

「もしかしたら、デビューライブの時と同じようにコンテストで優勝できたとしても報道される手前で止められるかもしれない」
「じゃあ万が一にも甲子園に出られたとして、その報道を止められたとしたら?」

 なおも心配する拓海の考えを俺は、またもや否定する。

 

「注目度が違うから。もしも、報道を止めようとしたとしても大会の試合は必ず全国に中継されるだろうし、高校野球は特別番組とかも放映されるだろう。それら全部をストップさせるなんて事は大手芸能事務所の力を持ってしても不可能だろうね」

 高校野球をとりまくメディア状況は明らかに特別で、日本で行われているスポーツの中でも興味が向けられている度合いは頭一つ抜けている。サッカーやバスケ、国体とも違う大きな注目を集める大会が行われている。それが、全国高等学校野球選手権大会だった。

 

 それに芸能界とも分野が違う。芸能界と全く別ならば、大手の芸能事務所とはいえ影響も及ばないだろうから大丈夫、だと思う。

 甲子園に出場する為、いくつか勝算もあった。望みは薄いけれど、挑戦したならば目的を果たせるという前向きな予想。

 

「良いんじゃないか」

 俺の提案を皆が聞いて、それからしばらく沈黙の時間が続いた。そして、一番最初に立ち直って更に賛成する声を上げてくれたのは青地剛輝。しかも賛同の声だけじゃなくて、目をキラキラと輝かせるぐらいに彼のやる気は満ちていた。

 

「やってみようや。甲子園に出られたちゅーなら、今の状況は間違いなく変わるやろ」

 幼い頃から野球を見るのもやるのも好きだという剛毅の好みを知っていた俺。予想していた通り、彼は両手を挙げて賛成しながら甲子園出場を目指す気持ちをわき立たせている。

 

「うん。剛毅の言う通り実現したら本当に楽しそうだね。役者からアイドルになって、次は野球選手とは面白い」
 俺の場合は勇者からアイドルとなって、次は甲子園出場を目指して野球をする。拓海が驚く気持ちと同じよう、皆に提案しておいてなんだが、自分で言っていても信じられない。

 

「まさか、そんな方法思いつかなかったよ。でも、良いね!」
 龍二はしきりに感心して、俺の提案したアイデアを褒めてくれていた。

 

「赤井さんのアイデア、僕も賛成です」
 話を聞いた瞬間には驚いていたものの、その後すぐ素直に賛成してくれた優人。

 拓海、龍二、そして優人というメンバー皆も、剛毅のやる気にあてられてだろうか賛同の声が続く。

 

 リーダーらしく皆に新たな目標を掲げて進むべき道を示すことが出来たようだった。もしかしたら、アイドルグループの成功を目指して踏み出す方向としては大きく間違っているかもしれない。

 

 だが世間を驚かせアッと言わせて、知られるようになるだろうという予感はあった。

 

「ただひとつ、大きな問題があります赤井さん」

 ようやく、これから目指すべき目的というものが決まって皆のやる気が高まった頃そういえばと言って、やはり沈着冷静な優人が致命的な問題を口にする。

 

「うちの学校、堀越学園には野球部が無いですよ」

 そう。彼の言う通り、堀越学園は野球部のない高校だった。硬式はもちろん、軟式すら無い状況だったりする。

 

 

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