2018-11-07から1日間の記事一覧
「これは……」
クラン会合が終わった後、フレーダーマウスのクランでマスターを務める男と、ドラゴンバスターのクランでマスターを務めている男、その2人は再び集まって、会話をしていた。周りには2人以外に誰も居ない部屋の中。
王国から派遣されて来た男性が、現在の王国内で多発しているというモンスター突然変異について、あらかたの情報を周知した後。
先程の報復という様に、当て付ける感じで手助けを立候補した2つのクラン。対して、戦乙女のクランマスターであるレオノールは何事もないように平然としていた。今回の王国からの手助け依頼に対して彼女は、何らチャンスとは思っていないよ、という感じだっ…
クラン同士での会議が始まる前から、室内の雰囲気は最悪と言っていい状況だった。突っ掛かってきた、他のクランマスターを挑発して黙らせたレオノール。その後、黙りこくった2人と同じ様な行動をとるように皆は黙って、室内が静まり返っていた。
レオノールが戦乙女というクランを立ち上げたのは、女性の地位を向上させる為にという目的があった。そして女性が男性の力を借りることなく、生活できるようにする手助けが出来るような組織を作ろう、という考えが彼女にあった。
私の名はアデーレ、冒険者になるのを夢見て王都にやって来たけれど現実を知らなかった私は、悪い男に騙されそうになり娼婦に落とされる寸前になって戦乙女クランのメンバーに助けてもらう、という過去があった。
モンスターの討伐依頼を遂行して目的が完了すれば、戦乙女クランの拠点に戻ってくる。
今日の仕事は、厄介なモンスターの駆除。やって来たのは街の近くにある森の中。そこに、突然変異で巨大化したというグランドワームという名前の、ミミズがデカくなったようなモンスターが発生したという。
「それでクラリスは、何を聞きたかったの?」
慰めてくれるティナに、色々と不満をぶちまけた後。ある程度、話をして気力が回復してきた僕は、本日も仕事を開始した。
「ギルー! どうだった?」
ここは男子禁制の冒険者クラン『戦乙女』が所有している、クランメンバーの女性だけが入ることの許された建物の中。しかも、そこはクランマスターが利用している執務室であった。つまりは、入室を許可されるのは限られた人間だけ。
『戦乙女』クランは、女性だけで構成された有名な冒険者集団です。冒険者らしく魔物を狩ったり、女性だけの組織という特性を活かした護衛任務、貴族の子女、公爵令嬢や王族のお嬢様を守る為の護衛として活躍していた。
「失敗は許されんぞ。心してかかれ」「はい」
ある日、異世界に召喚されたゾンビのような生物。