第20話 姉妹との別れ?

 一通り話し終えたソイントゥさんは、続けて何かを言おうとしていた。が、僕は彼女が言葉を発したところに、重ねるように声を出した。
「それで、エリオット様には」
「すみませんが、これから宿を取らないといけないので帰還報告とアイテムの換算をお願いできますか?」
 僕の言葉に虚を突かれた顔をするギルド長のソイントゥさん。しかし、すぐに表情を変えて僕の言葉に対応する。

「そう、ですね。先ほど1週間ぶりにダンジョンからお戻りになられたのなら、お疲れになられているようですし、アイテムの換算を済ませてしまいましょうか」
 ソイントゥさんは無理やり納得するような顔をしているが、僕は彼女の表情を特には意識しないように話を進める。

「申し訳ないです。宿を取らずに冒険者ギルドに直行したので、この後に宿を探さないといけないのですが時間が少々心もとないのでダンジョンで手に入れたアイテムの換算は今すぐお願いしたいのです」
 僕の強引な話の進め方に、ソイントゥさんに悪い心象を与えてしまったと思うが仕方ない。
「わかりました。誰か鑑定をする人を寄越しますので、すぐに手に入れたアイテムを金銭に換算させましょう。少々お待ちください」

 それから冒険者達やダンジョンで起きている問題は一旦置いて、僕達のダンジョンからの帰還報告とアイテムの換算が行われた。
 帰還報告と言っても、先ほど話した内容をもう一度簡潔に説明してすぐに終わった。そして、アイテムの金銭への換算はアンニーナさんとは別の事務をしているという女性がやって来て鑑定してもらった。
ただ、この1週間で僕達は戦闘をかなりの数こなしてきたのでドロップ品も非常に多く、魔空間を操れる魔法使いがいるのでアイテムも全て持ち帰ってきたので、持ち込まれたアイテムの数はかなりの物となった。そのために、鑑定する人が1人では足りず、後からアンニーナさんと更にもう一人の女性が加わって計3人でアイテムの鑑定に当たってもらった。

「コレが鑑定の結果となります、お確かめをお願いします。アイテムで受け取りたいものについては、申告して下さい」
 ダンジョン内部で拾ったアイテムは一度全部をギルドへ提出して、欲しいと思ったアイテムについては鑑定が終わった後に言って、金銭と引き換えに受け取ることが出来る。今回手に入れたアイテムの中には、金銭的には価値はあるけれど、僕には必要そうにないものだったのでフレデリカさんとシモーネさんと相談した結果2人も特に必要としているものは無くて、アイテムは全て提出し金銭で受け取ることに。

 報酬の分け前については、3等分することになった。クロッコ姉妹2人は、僕の魔法使いとしての活躍から考えて取り分をもっと多くするべきだと言って、僕に全額に近い金額を渡そうとしてきたが僕が固辞。
 本当は必要としていたお金だけ受け取って、後はダンジョンへ同行してもらった2人に残りの全部を渡そうと思っていたが、今その意見を2人に言うと、全額僕に受け取れと言われそうだったので、3等分とすることで全員が納得するように割った。

 冒険者ギルドでの用事を終えた僕達3人。まだ何か言いたそうなギルド長を視界に入れつつ冒険者ギルドを後にした。薄情な気もするが、今問題に踏み込むと再び何年も王国に滞在することになってしまいそうだったので、問題は避けて通る。

「それじゃあ、この辺でお別れですね」
 クロッコ姉妹は街に自宅があるそうなので、家へ帰宅するとのこと。僕は魔法研究所に戻るわけにもいかないので、今日は宿を取って休むことに。僕とクロッコ姉妹は、この場所で別れることになった。
 2人は一緒に宿を探してくれると申し出てくれたが、約一週間のダンジョン探索で流石に疲れているだろうし、元々はダンジョンを一緒に同行してくれるだけの人達だったので、そこまでお世話になるのも悪いのでやんわりと断らせてもらった。

「トラブルはあったけど、無事帰ってこれたし楽しかったよ」
 フレデリカさんが、やっぱり笑顔で僕に言う。

「エリオット君を手助けするつもりだったのに私達の方が助けてもらってばかりだったわね」
「いえ、僕の方は目的の金額を十分に稼がせてもらいましたし、ほとんど初めてのパーティを組んでのダンジョン探索、楽しかったですよ」
 申し訳無さそうな表情をするシモーネさんに、僕は問題ないことをアピールするように言葉をかける。

「えっと、ソレじゃあ、さようなら」
 これ以上話していると別れを惜しむ気持ちが募っていくので、僕はあっさりと挨拶の言葉を口にする。

「あぁ、お疲れ!」「さようなら、またね」
 フレデリカさんの豪快な労いの言葉に、シモーネさんの再び会おうねという言葉。こうして3人が別れようと、身体の向きを変えようとした。その時。

「エリオット様ぁ!」
 女性の声が聞こえて来たと思ったら、背中に大きな衝撃。一体何なんだ? と混乱している僅かな間に僕は背中から誰かに密着される。そして、首に手を回され思いっきり抱きつくように拘束された。

 目の前で2人が知らない女性に抱きつかれている僕を見ているフレデリカさんとシモーネさん。彼女たちは唖然とした表情をしていた。
どうやら、まだ王国での問題が残っていそうだった。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext