04 魔王討伐は順調に進みます

 事態は急を要するということで、王様との話もほどほどに早速旅立つことになった。目指すは魔王の居るという城。

 王国を出発する時になって、魔王討伐という旅のお供に三名の仲間と幾つかの武器、それから戦費として少額の資金を渡された。

 魔王を倒す目的ならば、もっと助っ人等を用意してくれないのかと文句を包み隠しつつ言ってみたけれど、魔王への恐怖で自分が死なないようにと身の回りを守らせる人材を少なくしたくないという理由を遠回りに語って拒否されてしまった。

 それ以上求めても状況は改善されそうになかったので、何も言わずに託された仲間を合わせて四人組となった俺たちは旅に出た。最悪、魔王討伐が叶わなかった時には逃げ出すのに同行者の数は少ないほうが良いという考えもあったから。

 それにしても、仲間として紹介され同行する三人共が女性なのは何かの狙いがあってのことだろうか。前線で戦う為の戦士の役割を担う人も女性であり、本当に戦えるのか不安に思ってたけれど、それは魔物との戦いの実践を見せられて不安に思う必要はなかったと考えを改めさせられた。そして、性別を見て軽んじていた事を謝ることになった。

 だがしかし三人全員が女性なのはやはり解せないので、彼女たちとは極力関係を深めないように意識しながら、ビジネスパートナーとして接することを徹底した。

 ちなみに、勇者となって授かったらしい能力は非常に有用だった。身体が以前と比べて信じられないぐらい思うように動き、パワーも上がった。そして、危険に対する勘も良くなって魔物との戦いに活用できた。

 更に勇者となって得た力だけでなく、父さんから異世界の危険に対処するために持っていくように準備されたモノ。見る人が見れば分かるような、ライダー的なビジュアルをした全身を覆うスーツ。身にまとえば人間を軽く超える能力を持った戦士になれる、そんな戦闘服。

 その二つを駆使して戦う俺は、戦いにおいては虫を退治する程度の感覚で魔物を殺すことが出来た。そんな調子だったので、戦いにおける成長を経ること無くバッタバッタと魔物を倒して、ドンドンと先へと進んでいった。

 

***

 

「勇者様、コチラに溢れていた魔物は倒し終えました」
「そうか、わかった。こっちも終わったよ」

 魔王城を目指して一直線に進む旅の道中には、街や村が襲われている場面に何度も遭遇することが有って、殺されそうになっている彼ら彼女らを救うために魔物を駆逐する事が何度かあった。

「それで、逃げ出した街の人達は無事か?」
「半数は魔物から逃げ切って生き延びましたが、半数は逃げ遅れてしまったようです。この街の住人の大半が死亡し、怪我人も多いです。仲間の僧侶が今、生き残った人達と協力して怪我人の治療をしています」

 後方を務めていた魔法使いの女性がやって来て、襲われた街の状況を知らせてくれた。魔王城に近づいていくにつれて、やはり街の被害が大きくなっていく。これから先に進めば、魔物に襲われ全滅したという街も多く有ると聞いている。

 先に進むのに躊躇してしまうが、先に進まないと魔王とは出会えない。だから、最短距離を一気に進んで一刻も早く任務を達成してしまいたいと思っていた。

「わかった。怪我人の治療は程々にして後は生き残った街の人達に任せたら、俺たちは先に進む。食料が少なくなっていただろう、今のうちに補給できるだけしておこう」
「……了解しました」
「……わかりました」

 女性二人が躊躇いながら俺の言葉に返事をする。怪我人を置いて先に進むという方針に不満そうな表情をする戦士と魔法使いの二人。だが、異議は唱えず飲み込んだという感じだった。

 俺も怪我人を放って先に進むというのは人道的にどうかと思うけれど、ココで足止めを食って時間を掛けるよりも、なるべく早く先に進んで魔王討伐を果たしたほうが人類全体の被害者数を抑えられると考えての行動だった。

 けれど、その考えについては仲間たちに説明せず先に進むことだけを伝えて行動していた。その結果、不審な視線を仲間から向けられることも多かった。

 こんな風に仲間との関係はギスギスしたものだったけれど、俺は特に気にすることは無かった。この世界に召喚された目的である魔王討伐という任務をクリアするために邁進し、異世界についての情報を集めるという父さんからお願いされた任務も果たす為、様々な果たすべき仕事が多くて気にならなかったと言ったほうが正確だろうか。

 異世界の調査については順調だった。未知の技術であり、今までは創作の中でしか存在していなかった筈の魔法を知ることが出来たのだ。父さんも、この魔法について知ることが出来れば喜ぶだろうと思いつつ、俺は情報集めを続けていた。

 ありがたいことに、仲間の中に魔法を扱い知識豊富な魔法使いと僧侶の二人が居たことで、道中では彼女たちへ聞き込みを行い魔法についての記録を取ることが出来ていた。この情報を元の世界へ持ち帰ることが出来れば、異世界へとやって来た目的が果たせるだろう。

 そしてもう一つ、存在していないという帰還の魔法について。魔王討伐が果たされるまでに帰還の魔法を探し出すと約束された王様の言葉を俺は信じられず、自分でどうにかする方法が無いか考えていた。そして魔法を知り学んでいく上で、自分の持っている科学知識を合わせることが出来ればと、期間に関して少しの希望が見えていた。

 もしかしたら、王様や他の人達の助けも借りずに元の世界へ帰還する方法が掴めそうだと。

 こうして旅は順調に進み、異世界についても調査も捗りながら、帰還する方法についても糸口が見つかっていたのだった。

 

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