第29話 家庭裁判所での話し合い

 少しの時間が流れた。その間は、香織さんと日下さんと達は連絡を密に取り、親権を取られないように綿密に準備を進めているようだった。僕は日野原さんに会い、その後の経過を話し合った。

 期日通知書と呼ばれる、呼出状が届き、香織さんと僕とで家庭裁判所へと行くこととなった。

 待合室で待っている間は、香織さんと他愛のない話をしていた。もちろん、この待合室には僕と香織さんの二人しかおらず、都築 精児は居ない。

 香織さんが先に調停室へと呼ばれて、僕は待つ。

 待っている間はすることがなく、夜のご飯は何にしようか、買物にも行かないと、何を買っておかないとけないか、なんて事を考えていると、香織さんが戻ってくる。ニコニコとごきげんであるようだ。

「どうでした?」
 僕が聞くと、
「ん~話をするだけだからすぐに終わったわ。親権については詳しくは言ってくれなかったけれど、多分大丈夫だろうって」
 と、香織さんは安心したような顔で答えてくれる。

 次に、僕の話を聞くためにと調停室へと入る。

 中には、男一人、女一人がテーブルの向こう側に座っている。多分彼らが、調停委員なのだろう。
「どうぞ、座ってください」
 女の人が僕に席に座るように言う。僕は言われたとおりに、テーブルにある席の一つに座る。

「それでは幾つか質問をさせてください」
 質問の内容は、やはり倒れたときのことだった。正直に、倒れた前の事を話す。記憶があやふやだったり、記憶のない部分があることも説明する。それから、起きてからのことを話した。姉妹が増えて、嬉しかったこと。

 毎日誰かに料理を作って喜ばれるのが嬉しい事。調停委員には、その途中で何度か質問され、その質問にも答える。香織さんについて、姉妹との関係は良好か、学校での行動、今の生活には満足しているか、不満はないか。

 おおよその質問を聞き終わると調停委員の男の人のほうが、
「よっぽどの理由がないと親権は変えられないですし大丈夫でしょう。まして本人が希望していないので、やはり大丈夫でしょう。安心してください」
 と言ってくれた。

 ただ、相手側がゴネているようで、親権をどうしても取りたいと主張しているようだった。そのため、次回の調停期日が決められて話し合いは続くことになった。

 

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