第24話 モテる原因

「優って、ブス専だろ?」
 お昼ご飯を食べ終わった後、いきなり圭一にそういわる?

「へ、ブス専?なんだよ、いきなり」
「昨日のテレビ見てたけどな……」
 そう言って、圭一は話し始める。
「部員の女の一人に、ちょっとひどいのがいるだろ?」
 誰の事か分からなかった。というか、部員の誰かを貶して言っているのが、少しイラっと来た。

「ひどいのって誰の事?」
「たしか、副部長の桜って女だよ」
「えっ?桜さん?ひどいって何がさ」
 副部長の桜さん、紅茶を入れるのが上手で、僕は毎回部活の終わりに入れてもらっている。

「男ってのはどこかで、女性たちに嫌悪感を覚える。僕もそうだし、ね。自分ではそんな風に感じなくても、女どもは意外にそういうのを察知する。鈍いのに、たまに鋭い時がある。ブスの女ほどそうだ。だから、女はあんまり我を出さない。たまにそんな女もいるけど、ほとんど空気を読んで自重する」
「うん、それで?」
 圭一の言わんとするところを感じとりながら、先を促す。

「だけど、優。お前は、その嫌悪感を出さない。もしかしたら、上手く隠しているのかもしれないけど、そういう嫌悪感を出さないのが女どもにウケるわけだ」
「つまり、その嫌悪感を出さない理由がブス専ってこと?ブスが良いから嫌悪感が出てないって」
 というか、価値観の違いでそんなにブスに見えない、むしろキレイに見えていることが嫌悪感を出さない理由なわけで……。

「学校の女どもに親切にするだろ?教科書忘れたからって、机引っ付けて一緒に見てたろ?男の子たちがざわついてたの気づかなかったのか?」
 気づく以前に、机を引っ付けて教科書を一緒に見たのなんて何時の事やらさっぱり思い出せない。

「弁当忘れた女がふざけておかず募った時に、一緒におかずを分けてたろ?」
 それは覚えてる、1週間前に弁当忘れたとおかずをちょっと分けてあげた。渾身の出来のだし巻玉子だったけど、食べてもらってすごく喜ばれた時の事だろう。

「そういう積み重ねがあって今は、学校中のブスがお前のファンだって、隠れてファンクラブなんてものも作っているらしい」

 ふぁ、ふぁんくらぶ……。漫画やアニメの世界だな、なんて思う。
「そして昨日のテレビ!」

「昨日のテレビ?」
 どこかまずい場面があったっけ。
「言っちゃなんだが、あれほどのブスを相手に、普通に接して、あまつさえ指導を熱心にやったら、ブスの自分でも、あんなふうに接してもらえるなんて思うだろ?」
「いや、熱心にって……たまたまだよ」
 今思い返してみると、料理部で最初に会った女性だったし、一緒に料理部を盛り上げる仲間だったから、料理部では一番気を許せる相手だったけど。

 それに桜さんは、かなりの美人だと思う。美人に親切にしてしまうのは男のサガだと思うのだが。それが相手から見たら、熱心に指導しているととらえられているなんて。客観的に見たらそういう風に感じるのかと、反論できずにいる。

「今日の朝の女だって、多分それが原因。運命の相手なんて、ちょっとおかしな空想に入り浸るのも女性特有の妄想癖だよ」
「いや、でも優しくしたからってモテるかどうか、むしろあんまり好まれる容姿じゃないよ、僕は」

 はぁと、重い溜息をつく圭一、どうやら”わかってないな”と言いたげな感じ。
「謙虚でいることは美徳だけど、行き過ぎると嫌味に聞こえるよ」
 謙虚なつもりなんて全くない。前の世界では女性というものに全く縁が無かった僕は、女性にモテるというのがどういうものかいまいち分からない。意味は分かるけど、相手が自分を好きでいてくれるという感覚がいまいちピンとこない。

「とにかく、今後また女性関係で問題が起きそうだね」

 圭一がまた重い溜息をついた。

 

 

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