第21話 家族でテレビを見てみよう

 学校取材の話は、いつの間にか香織さんにも伝わっており、今日夜の放送に向けて仕事を早くに切り上げてきたらしい香織さんは、先ほどから何度もビデオの録画チェックを繰り返している。

 そして、香織さんから家族全員に話は伝わり何故か全員で視聴する流れになり、みんな放送予定時間になってテレビ前へと集まっていた。

「本当にビデオにとるんですか?」
「家族がテレビに出るなんて、すごい一大事よ!必ずビデオに抑えますから」
 何度も指さし確認でチェックしながら答える香織さん。

「うちのクラブにもカメラマンは来てたけど、ろくに撮らずにすぐどっか行ったな~」
 沙希姉さんさんの言葉に、そういえばと思い返すと、料理部以外にも取材に行ったはずだったが。たしか、学校紹介の一環でクラブにも取材に来たというのが名目だろうがクラブごとに結構な贔屓があるようだった。

 紗綾姉さんと葵も居るが、二人ともつまらなそうにぼーっとテレビを眺めている。

「もう、始まった?」
 春姉さんが、やってきた。一応全員が集まった。

「まだだよー」
 寝転んで腕を組んだまま、沙希姉さんが答える。

 ニュースの男性キャスターが、学園の紹介をしている。いつの間にか伝え言われた、放送時間を過ぎていた。

 次にVTRに移り、学園の校門前で学校紹介を始めるレポーター。
「おっ、始まった始まった」
 寝転んでいた沙希姉さんが起き上がり、今度は胡坐をかいて座る。
「これでちゃんと撮れてるかな」
 まだ、録画に手間取って機器と説明書を何度も見比べて確認をする香織さん。

「あっ、校長先生」
 校長先生のインタビューが映るのを見て、咄嗟に声に出た。始業式の時にちょっとだけ見たとき、見た目が若かったから印象に残っていた。

 その後は、いくつかのクラブの部長らしき人のインタビューが1、2分次々に映し出されていった。

 と、レポーターの人がひときわテンション高く解説を始める。
「それでは皆さん、料理部を見学させていただきたいとおもいますよー。おっと、もうすでに何か料理を作ってるようですね?さっそくのぞいてみたいと思います」

 扉を開けて入っていくと、さっそく僕が映し出される。あんまり、映りは良くないよと思う。
「優だね」
 ぼそりと聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で春姉さんがつぶやく。

 その後、料理部でしたやり取りをほとんどノーカットで映し出される。どうも、自分をテレビで見ると緊張しているのか言葉がはっきりしてないのが気になって嫌になる。恥ずかしさに耐えるのも限界で、見るの辞めようとして部屋に帰ろうかとしたとき。

「このレポーターさっきから優に近いよ!もっと離れろ」
 沙希姉さんが文句を言い始める。
「ぜったい、このレポーター優に色目を使ってるよ。なぁ?優」
 と僕に同意を求める始末。

「う~ん、確かにあの時ちょっと距離近かったかも」
 と、思い出し言う。

 その後も、聞いてるこちらが恥ずかしくなるような言葉で料理部を褒めて褒めてで放送が終了。結局、学校紹介の取材だって聞いていたけれど放送の4分の3ぐらいの時間は料理部の取材の話だった。

 放送が終わると、経済のニュースに移りみんなの興味はテレビから僕へと変わった。
「ほんと、家族がテレビに出るなんて不思議だったなぁ」
 春姉さんの言葉に、

「なんだか有名人みたいだった…」
 と葵の言葉。

「ん~あんまりテレビとか好きくないんだけどなぁ」
 と僕が言うと、

「いいじゃん、いいじゃん。映してもらって。これでもしかしたら本当に有名人になるかもよ」
 と沙希姉さんが言った。香織さんは、再度機器をチェックして録画できているかどうかを確認していた。

 

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