閑話10 懐かしのゲームプレイ編(あるゲーマー女の子)

 退屈な学校の授業が終わる。授業中はずっと、ゲームがやりたい、ゲームがやりたいと中毒みたいになっている体を落ち着かせていたが、やっと授業が終わったのだ。

 学校を出たら、お気に入りの帽子をカバンから取り出しかぶる。そして、いつものようにゲームセンターへと足を向ける。確か今日は新作の筐体が入荷されるって聞いているから、それが楽しみで歩いていた足が、いつの間にか早足になり、そして駆け足になる。

 商店街のアーケードを抜けて、お気に入りのゲームセンターに到着する。さて、新しい筐体はどれかなと物色していると、お目当てのゲームを見つける。既に先客がいるようで、プレイを後ろから覗く。

 びっくりした。真剣な目でプレイしているのは、男の子だった。しかもかなり綺麗な顔だちをしている男の子がゲームをしている。

 たぶん、このゲームセンターで初めて男の子がゲームをしているのを見たかもしれない。しかも、かなり上手い。

コマンド入力も慣れた手つきでミスがない。新しいゲームなのに、もうお手の物にしている。かなりのゲーマーだと思うが、それが男の子とは何ともギャップがある。

 ちょうど、クリアし終えたところを狙って声をかける。男の子と話すなんて久しぶりだから、心臓がバクバクする。
「スゴイな、兄ちゃん」
「えっ?」
 男の子はびっくりしたように声をあげる。しまった、驚かせてしまったかもしれないと思う。言葉があふれた。

「このゲーム出たばっかりなのに、もう攻略できてる」
 ゲームを指して言うが、まだびっくりしたままで硬直している。

「ゲーム好きなん?」
 質問を投げかけてみる。

「あっと、えっと……そうです」
 緊張して恥じ入るように、そう返事を返してくれる男の子。なんてかわいいんだろう。

「あっ、ゴメン、ナンパとかやないんやで。ただ気になっただけやから。そんなに緊張しんでもええよ」
 相手が緊張しているのを感じとり、何とか警戒を解いてもらおうと、言葉を重ねる。

 そして、気になっていたゲーム。男の子の会話も楽しいが、ゲームをプレイしたかった。

「それよりも、私もそのゲームやってもいい?」
「あっ、どうぞ、終わったところなんで」

 彼はすんなりと席を開けて譲ってくれる。しかも、どこにも行かずに、プレイを見てくれるようだ。

 よーし、いいところを見せようと力が入る。と、新作ゲームなので、どのキャラにしようか迷った。会話のきっかけによいかと、内心緊張しながらも、男の子に声をかける。

「どれかオススメのキャラクターはおる?」
「このキャラクターはオールラウンドで初心者向けです。このキャラクターは素早く動いて攻撃を繰り出すので、爽快感抜群です。このキャラクターは火力が高くて一気に勝負を決めるのに向いています。っと時間が無いですね」

 男の子はスラスラっと答えてくれる。やっぱりかなりのゲーマーだ。残り時間も少ないので男の子の助言の通り、キャラを決めてプレイを開始する。

「じゃあ、このキャラクターでいこか」

 しばらくプレイしていると、技の出し方は前作のゲームに似ていることに気付く。
「あ~なるほど、技はあのゲームと大体いっしょやな」

 それからは、ひたすらCPUの動きに合わせて、技を出したりして何とか負けないように頑張ったが結局ボス一歩手前で負けてしまった。力みすぎたのかと、少しショックと恥ずかしさを感じた。
 でも、初めてのゲームでこれはなかなかいいところまで行けたと、男の子にお礼を言う。

「ありがとうな、解説してくれたおかげでいいところまで行けたわ」
「いえ、どういたしまして」
 今までに出会った中で、一番と断言できるぐらいすごくかわいくて、すごく丁寧な男の子だ。

 思い切って、ゲームセンターで一緒に遊ぼうと誘う。

「よければ、この後・・・」
 あっ、と一言男の子が叫ぶと、急に右手の腕時計を確認した。それから、男の子は一言。

「ごめん、用事があるからもう行くね!」
 走って行った彼の後を見て、
「ヤバイ、かわいかったなぁ、彼」
 としみじみと感想を述べた。

 

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