第19話 作戦決行

 作戦会議から、1週間ちょっと経った。会議後は、三人で放課後集まって計画し準備を進めていった。

 部員の招集にはすべて部長が相手の教室へ赴き、「お菓子が食べられます」と言って日時だけ伝えたらしい。

 お出しする品目はアップルパイと紅茶で行くことに決定した。
 アップルパイは、部長と桜さんに試食として作ったものに高評価を頂き、紅茶は桜さんがさらに腕を磨きあげ、当日はストレートティーとレモンティー、ミルクティーを用意するとのこと。どれもアップルパイによく合う飲み物だ。

 作戦前日、アップルパイを作るために桜さん、部長と買い出しに行く。聞くと、部員は僕たち含めて全員で41人も居るらしく、食材費は部費があるので大丈夫だが、材料の量が結構な物となった。ただ、荷物はほとんど桜さんに持ってもらい、学校まで運んでもらったのでこれも大丈夫であった。

 学校到着後は、アップルパイのパイ生地作りとリンゴの準備をする。部長にはリンゴの芯のくり抜きの準備、桜さんにはパイ生地の準備のお手伝いをしてもらう。
 念のためと試食のために作ったときに、部長と桜さんにも手伝ってもらった経験があったので今回は、結構スムーズに準備ができた。料理室にはオーブンもあるので、これを使ってアップルパイを焼く。後は、明日部員たちの前に出せばいい部分まで用意を済ませた。
 1日置けばアップルパイのしっとりとした感じが出せるので、焼き立てを出そうか迷ったが今回は1日置く。

 作成は夜9時までかかり、外は真っ暗だったので桜さんが送ってくれることになった。部長の家は学園から歩いて15分のところにあるので三人で、部長の家まで歩く。

「送ってくれてありがとう桜。それじゃあ、明日は頼みます。桜、優さん」
 この1週間で、部長とはかなり仲良くなり名前で呼んでくれるようになった。
「はい、明日はよろしくお願いします部長」
 手を挙げて、別れを告げると部長が家へ入るのを見届ける。

 二人になったので、改めてお願い。
「あの、それじゃあ見送りよろしくお願いします」
「は、はい。精一杯務めさせていただきます!」
 えらく、硬い返事をされた。

 その後、お話をしながら家の前まで見送ってもらった。


***


 翌日の放課後、料理室には20人の部員が集まった。今は、2人や3人の仲がいいグループで固まって集まっているみたいだ。みんな僕と部長、桜が居るこちらを興味深く見ているが、話しかけられることはなかった。

「部長、全員は集まりませんでしたね」
「うん、何人かは参加できないと言われたんで39人全員は無理だろうと思っていたけれど、大体予想どおりの人数かな。これ以上は来ないかもしれないからもう始めましょうか」
 僕たちにそういって、進行を始める部長。20人の部員に対して、これから何をするか
説明を始める。

「桜さん、紅茶お願いします」
「はい、任せてください」
 いつになく頼もしい返事と表情を確認し、僕も昨日準備していたアップルパイを取り出していく。部員のみんなが、取り出したアップルパイを凝視する。取り出したアップルパイの半分をオーブンで加熱する。焼き立てではないが、これもおいしい。
 淹れたてのストレートティと冷蔵庫から取り出したひんやりとしたアップルパイと、オーブンで加熱されたアツアツのアップルパイがみんなの席の前に配られる。

「今回出された、佐藤さんが作ったアップルパイです。みなさん待ちきれないようなので
さっそくいただいてください」
 部長が言った瞬間、部員みんなが一斉に食べ始める。

「おいしい」、や「うまい」、や「ウマー」という言葉が辺りから沢山聞こえる。うれしさと恥ずかしさで顔が熱く感じる。
「みなさんのお口に合ったようですね、次はみなさんがこんなおいしいものを作りたいって思えるように解説お願いしますね」
 部長が、次の行動を促す。

「あっ、はい」
 お菓子を食べてもらいながら、作ったものの解説をして作るということに興味を持ってもらう。これが、話し合った作戦の第二段階だった。

 料理室にあるホワイトボードを使って、アップルパイのレシピを説明する。かなり興味津々な目。途中いろいろな質問があり、解説を加える。かなり、意欲的な姿勢に今回の作戦の成功を感じる。

 アップルパイは次々と消費されていき、とうとう41人分とちょっと余裕をもって準備されていたものは、すべてなくなってしまった。結構な量なはずだったけれど……。

 希望者にはストレートティーの他に、レモンティー、ミルクティーを桜さんが準備する。
これもかなり好評だった。
 次回の部活動日予定を告げると、部員たちは解散となった。

「どうやら本当に、大成功でしたね。さすが、優さんのアップルパイ」
「いえ、部長が準備をしてくれなかったら出来なかったことです。それに、桜さんの紅茶にも助けられました」
「あ、よ、よかったです」
 三人で成功した作戦を喜んだ。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext