第17話 料理部の現状とこれから

 部活の廃部の危機。
 前の記憶では、社会人になった後に部活に所属しなかった事を少し後悔していたこともあり、今回は料理部という、興味のある分野があったので部活動がんばってみようという矢先に廃部の危機。

 それに、まだ所属していたという実感はないが、廃部になるのは後味が悪い。何とか部員の参加を促す手伝いはできないだろうかと考える。

「普段は、どんな活動をしているんですか?どんな料理を作ったり、お菓子を作ったりしてるんですか。すいません、記憶にまったくなくって覚えてないんですが教えてくれませんか」

 とりあえず、普段何をやっているのか聞いて、そこから部員が参加したいという気持ちになるような、アピールができないか考えてみる。と、なにやら困ったような苦笑いをする部長。
「えっと、どういった活動をしてるのですか?」
 答えがないので、もう一度質問する。この質問に部長がなんとなく答える。

「料理の研究をしたり、お菓子の研究をしたり……ですかね」
”研究”という言葉のニュアンスがあまり良いものに思えない。さらに突っ込んで聞いてみる。

「何か作ったりしないのですか?」
「…………料理ができないので」
 ボソッと呟く部長。よく聞こえないが不穏な言葉がよぎった気がした。
「へ?」
「部員全員料理できる人居ませんから!」

 開き直って声を大きくして言う。今度は聞こえた!
「えっ!?だって、あんな上等なキッチンがあるのに!もったいない。料理部って料理を作る練習をする部活じゃないんですか?」

「今は料理ができる人が居ませんから、教えられる人も居ないので……」
 それで”研究”だけしているって……部員が参加しない訳がわかったような気がする。

「昔は調理を教えられる顧問が居たので、その顧問や習った部員が他の部員に教えるって事が出来ていたそうですが。何年か前にその顧問が定年退職になったので教えることが出来る人が居なくなりました」
「今の顧問はどうなんですか?教えられないのですか?」
「料理が出来るって言ってる教師は、既に他の部活の顧問をしているか、仕事が忙しくて見きれないって断られました。今の顧問は料理は出来ないと言ってましたし、あまり積極的に参加される方でもないのでお名前だけお借りしているような状態です」

 う~んと内心で唸る。顧問を引き受けたのなら料理ぐらい勉強してほしいと思う反面、確か部活の顧問は基本ボランティアらしいと聞いたことがあるから、興味や情熱がなければそれも無理な話かと考える。

 ただ、今の話を聞いていると教える人が居ないから部員も参加する意味を見出せないので、参加しないという事だろう、とわかる。僕が基本的なことを教えて、一緒に調理を勉強できるような状態や環境に持っていければ、参加する部員は増えるかもしれない。

「あの、基本的なことなら僕が教えられるかもしれないですが、どうですか」
 言うと、部長はまた微妙な顔で隣に座っている桜という女性と顔を合わせた。そういえば、この人が居たな。ほとんど気配がなかったので忘れていた。

「あの、本当に料理できるんですか?」
「えっと、基本的なことなら教えることが出来ると思います」
 また部長は考え込みだした。

 感覚で1分ほど待った位に口を開いた。
「記憶喪失ということで、覚えてないかもしれないけれど」
 そう、話始める部長。

「佐藤さんが入部した当初も同じように”料理が出来る”と言っていました。私と桜は少し期待して料理部に料理が出来る部員が入ると喜びました」
 あれ?料理が出来ないから部活動に参加しなかったのじゃないのか。
「その後、料理を一品作ってもらったら、その、あまり良い出来ではなかったので、詳しく聞いてみると、カップ麺とか電子レンジにかけたものを”料理が出来る”と言っていたみたいで」
 う~ん、やっぱり佐藤優は料理が出来なかった。そして、今同じように”料理が出来る”と言った僕はあまり信用出来ないということか。

 でも、やっぱり信じてもらうには何か作ったものを食べてもらうしかないか。
「以前失敗したかもしれないですが、もう一度チャレンジさせてくれませんか」
「……それじゃあ、何か作ってもらえますか。私と桜で審査します。料理の研究はバッチリですから、評価も厳しいですよ」

 今日は、時間も遅くなっていしまい食材もないので解散となった。丁度明日学校が休みの日なので、再度集まって料理の審査をしてもらう事となった。

 

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