第04話 マリーの家にて

「えっと、ヤマノ草2つに、素材用の青い宝石2つ。合わせて、千ゴールドで引き取らせてもらいますよ」
 アイテム屋の渋い顔をしているオヤジに、早速手に入れたアイテムを買い取ってもらう。アイテムは、マリーの予想通り、千ゴールドになった。
「それで、お願いします」
 俺の答えに、アイテム屋のオヤジが金庫から一枚のコインを取り出す。それを俺に向けて渡す。
「はい、じゃあ千ゴールド、コイン一枚ね。お間違いなく」
「どうも」
 俺は、アイテムと引き換えに、初めてこの「Make World Online」のゲーム世界でお金を手に入れた。
 「Make World Online」で初めての出来事があった場合は、ログアウトを試してみるという習慣が出来たのだが、今回もログアウトを試してみたが、ログアウトできず。結局ダメかと、ため息をついた俺。

 アイテム屋の外で待っていてくれた、マリーと合流する。
「アイテム換金は、どうでした?」
「マリーの言ったとおり、千ゴールドに成りました。コイン1枚ですが、どう分けますか?」
 俺は、アイテムと交換してもらった千ゴールド金貨を指に挟みながらマリーに見せて言った。どう分けるか、マリーが小銭を持っていればいいがと思いながら俺は聞いた。
「そうですか、お金は全額貴方のものです。取っておいて」
「しかし、狩りを手伝ってもらいましたが……」
 アドバイスを貰いながら、狩りをしたので、幾らかは分けないといけないと思っていたのだが、マリーは頑なにお金を受け取ろうとしない。
「いや、手伝ったと言っても見ていただけですし。それに、モンスターを倒したのは貴方ですしね」
「そうですか。それじゃあ、ありがたく頂いておきます。正直言うと、助かります」
 マリーにお礼を言って、ありがたくもらうことにした。言葉の通り、今はちょっとでもお金が欲しかった。
「と、ところでユウは今日、泊まるところは決まっているのですか?」
 そういえば、泊まるところを探さないと。マリーの言葉に宿屋を探さなければいけないことに、気づく。
「まだ、泊まるところは決まっていないのです。いい場所は有りますか?」
「そ、そうですか。お金はあるのですか?」
 マリーは何やら緊張しながら、そんなことを言う。お金があるかどうか、正直痛いところだった。
「いえ、お金はこの千ゴールドだけです」
 持っていた千ゴールド金貨をポケットに戻しながら、俺は言った。宿屋の料金は分からないが、千ゴールドだと泊まるのは厳しいかと考える。
「そ、それならば、ウチに泊まっていけば良いですよ」
「え? マリーさんのお家ですか? 宿屋なのですか?」
「いいえ、違うわ。普通の家です。この街の宿屋は高いから、ウチに泊まれば良いですよ。家は部屋が余っているし、タダで泊まらせてあげますよ」
 マリーの言葉が本当なら、すごく助かる。今は少しでも冒険者身分証明証を発行してもらうための25万ゴールドのために、お金を貯めたい。
「良いのですか? 泊まらせて貰っても?」
 狩りの手伝いをしてもらった上に、泊めてもらうなんて親切な人だなと思いながら俺は言った。
「いいですよ、ぜひ来て下さい。出会ったのも何かの縁です。案内します、ついて来て下さい」
 マリーがさっさと歩き出したので、俺は急いでマリーの後について行った。

 街の中、建物をかいくぐってマリーの後をついて歩いて着いた場所は、少し古ぼけた建物だった。
「どうぞ、入って」
 扉を開けて、招き入れてくれるマリー。
 家に招き入れてもらい、部屋へと案内される。ベッドも有り、休むには十分の部屋だった。
 食事も無料で頂いた。なぜこんなに親切にしてくれるか聞いてみると、どうやら俺が男だからというらしい。男だからといって親切にされるのは初めての事だった。

 食事の後、部屋へと行き、ベッドの上に寝転がる。そして、なぜ今こうしているのか考えてみた。

 もしかしたら、俺はいつの間にか「Make World Online」というゲームのプレイをキッカケにした、異世界トリップという物に巻き込まれたんじゃないかと考えは行き着いた。異世界トリップなんて小説の読み過ぎだろう、現実のことじゃないとも思ったが、あまりにも、リアルな世界に、NPCと思われる人間の挙動、会話の内容もしっかりとした応答をしてくれる。そしてログアウトが出来ないという状況。デスゲームとも考えたが、仕様と少し異なる点がある。
 そして、異世界トリップと考えるとおかしな点もいくつかある。一つは、ステータス表示がゲームの仕様通りにコールと共に表示されることだ。俺は、ステータスが表示されることを改めて見てみる。
——————
ユウ
Lv.16
STR:50
CON:49
POW:56
DEX:63
APP:32

職業:冒険初心者
EXP:300
SKILL:10

スキル:全力斬りLv.10
——————

 間違いなく、ゲームのような表示である。目の前に浮かび上がるステータス表示を見て、そう考える。そして、もう一つに頭のなかに流れるログだ。レベルアップをした時、パーティを組んだ時などに頭のなかに流れるのだが、どんな原理なのだろうか。異世界トリップなのに、ゲームの仕様を残しつつ、存在している不思議な世界。
 俺は、数々の疑問を頭に残しながら眠りについた。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext