第03話 やっぱりおかしい、レベルアップ

 「Make World Online」での、お金稼ぎ方法の一番簡単な方法は、アイテムドロップを狙うことだ。モンスターを狩り、モンスターがドロップしたアイテムを拾い、それを売る。これが、一番スタンダードなお金稼ぎの方法となる。
 冒険者身分証明証を発行してもらうためのお金が必要な俺はまず、ギルドの建物から出て、さらに街も出て、草原へと向かう事にした。

 と、街を出る所で先ほど出会った長身の女性と再開した。
「あら、どうでした? 証明証は貰えた?」
 またも話しかけてくる長身の女性。
「それが、色々と条件があるらしくって今すぐは貰えないらしいです」
 ギルドで提示された数々の条件によって、今すぐは発行してもらえないことを女性に伝えた。
「あら、おかしいわね。条件なんてあったかしら……ってもしかして貴方、男性なの?」
 かなりビックリして言う長身の女性。
「え? 俺は、男ですが……?」
 もしかして、俺の事を女性だと思っていたのか。NPCのくせに、間違いを起こすなんて。会話も流暢に行われているから、もしかしたら中に人がいるのかもしれない。
「嘘! だって、そんなに長身の男が居るなんて、それに、貴方冒険初心者って言ったじゃない。男性の冒険者なんて存在していたの?」
 言いながら、顔を覗きこんでくるその女性。そして、小声で何やらつぶやく。しかし、精巧にできているなぁと感心する俺。
「え、ホント……?……結構良い顔している……しかも私より長身で……」

「え? なんですって?」
 女性の声がうまく聞き取れず、聞き返すとびっくりして女性は俺からバッと離れる。
「な、なんでもないわ! それよりも、外に出る気?」
「モンスター狩りに行こうと思ったんですが、マズイですか?」
 女性は、顎に手を当てて悩みだす。
「ん~、貴方が男性ってことでマズイのはマズイけれど、冒険初心者なら大丈夫なのかしら……? 貴方、誰か連れは居ないの?」
「一人です」
「男性一人にするなんて、とんでもなく危険なのに……」

 結局、出たらマズイのかマズくないのか分からない。しかも、一人だと危険のようだ。もしかして、この近辺のモンスターは凶暴なのだろうか。

 と女性がポンと手を叩き、良いことを思いつきましたという顔をした。
「ちょっと、貴方待ってなさい。絶対にどこかに行ったりしないでね、すぐ戻ってくるから」
 言うと、長身の女性は街の中の方へと走って行ってしまった。一体どこに行ったのだろうか、せめて行き先や考えぐらい言って欲しかったと思いながら待つことにした。
 数分待っただろうか、やっと女性が戻ってきた。
「ごめんなさい、待たせました。外に行くなら私が付いていきますよ」
「え? わざわざ、付いてきてくれるんですか? ココを警備してるんじゃないんですか?」
「今、他の人に変わってもらったから警備は大丈夫。それに男性一人で外に行くなんて危険だからダメよ、私が付いて行くわ」
 わざわざ、一緒に行ってくれるなんて親切な人だなと思いながら、もしかしたらこれもイベントの一つかと思い、同行してもらうことした。

「私はマリー、よろしく」
「俺は、ユウです。よろしくお願いします」
 互いに、自己紹介して握手をする。すると、パーティメンバーが組まれましたというアナウンスが頭の中に流れた。こんな機能は正常に動いているのに、ログアウトが出来ない。一体どういった原因でログアウトが出来ないのか、本格的にわからなくなってきた。
「じゃあ、早速行きましょうか」
 俺は、マリーを仲間にして、早速草原へと足を向けた。

***

 1時間程をモンスター狩りに時間を費やした。時々、マリーから剣の振り方のアドバイスを受けながらモンスターを狩る。しかも、モンスターを倒すごとに文字通りレベルアップしていくので、剣が軽く感じるようになり、剣の鋭さも高まり、剣で与える攻撃力もアップ。モンスターを倒すごとに、モンスターを倒しやすくなるという現象が起きた。ついに、並みのモンスターなら一撃で仕留められるようになった。
 更にスキルの全力斬りを活用して、モンスターを狩る。スキルのレベルも上がる。
 普通ならば必要経験値は加速度的に増えていくのが普通だと思うのだが、何やらおかしい。さきほどから、レベルアップに必要な経験値は一定のようだ。そのため、レベルに関する数値は、全て上がりやすくなっているようだ。
 おかしいと思いながらも、モンスターを狩っているとやっとモンスターがアイテムをドロップ。
「凄い成長じゃない! 貴方、本当に男性なの?」
 マリーは事あるごとに、俺を褒めてくれる。そして、俺のことを本当に男性かどうか疑った。
 「Make World Online」の世界観設定には、男性が弱い存在だという話は無かったはずだが、どうやらマリーの常識では、男性は弱い存在なのだそうだ。そんな常識を持つマリーだから、剣を振るい、モンスターを一撃で倒していく俺が、本当に男性かどうか疑っている。
「今日は、もう暗くなってきたから、そろそろ街へ戻りましょうか」
 モンスターを何十匹か倒し、アイテムドロップは4回。ドロップで手に入れたアイテムは、街のアイテム屋で買い取ってもらえるようだが。
「これって、いくらぐらいに成りますかね?」
 4回でドロップされた、黄色い薬草2つに、青い宝石2つ。それらをマリーに見せながら、どれぐらいの金額になるか聞いてみる。
「うーん、良く見積もって1000ゴールドぐらいかな」
 ドロップされたアイテムを眺めて、マリーが答えてくれる。この調子で、25万ゴールドを稼ぐにはかなりの日数がかかるだろう。しかも、生活するためのお金も必要だし、アイテムドロップなんて不安定な収入を当てにするのは危険だろう。
 とにかく、今日は街へ帰ることにして早速アイテム屋へと換金へと向かう事にした。

 

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