第01話 ログアウトできない

 結局あの後、色々な単語を頭に浮かべて試したり、叫んだりして見たが
一向にログアウトできない。

「くそ、どうしてログアウトできないんだろう」

「そうだ!運営へと連絡すればもしかしたら」
(コール運営へ連絡!)

 しかし、やはり何も反応が無いので、さらに続けて、思いつくままに単語を言ってみる。

(強制終了してください、運営に繋げて、運営お願い、……)

 ぐるぐるとベッドの周りを歩き回る。

 色々と試したが何の反応もない。考え付くことは試してみたがすべてダメだった。
 場所が悪いのかと、部屋を出て村のあらゆるところ、最初の家から離れた場所、村の外れ、更には街道まで出てログアウトを試したが何も変化はなかった。

 やはり、先ほど頭に浮かんだ”デスゲーム”という言葉が現実味を帯びてくる。そんなはずないと、頭の中で否定し、更に解決する方法を考える。

 次に俺はNPCに問いかけることにした。
 表へ出ていたNPCと思われるキャラに話しかける。朝少しだけお話したチュートリアのおじさんだ。
「すみません」
「どうしたんだい?」

「ログアウトできなくなったんですが、運営へ連絡できませんか?」
「は?ログアウト?運営?ギルドの事を言ってるのかい?
ギルドなら、この村には無いから町の方へ行かないと連絡はできないよ?」

 返ってきた答えは、求めるモノではかなった。運営との連絡もできない。
しかし、少しのヒントを手に入れた。ギルドに連絡? もしかしたら、町の方へ行ったり、何かイベッドをこなさないといけないのだろうか。
 モンスターを狩った後に、この村へと戻ってきたのは間違いだったかな。

「ありがとうございました、町へ行ってみます」
「町の行き方はわかるかい? あの道をずっと辿って行けば、一番近くの町へ到着するはずだよ。あっ、でも今日はもう日が暮れるから今からじゃ行くのは危ないよ」
 おじさんの指先を確認して、町への行き方を知る。
「ありがとうございます」
 もう一度お礼を言って、その場から離れた。
 今から道をたどって、町の方へ行こうかとも思ったが、おじさんの言葉の通り夜になるから、今から行くのは難しいだろう。夜になればモンスターが狂暴化して、危ないだろうと考えたからだ。

 最初の家へ戻ってベッドに体を放り出す。頭の後ろに手を組んで、寝転がる。あーでもない、こーでもないと考えていると、ある一つの可能性に気付く。
「そうだ、12時間制限!」
「Make World Online」をプレイするためのヘッドギア機器には
生存機能が付いていないために、12時間以上の連続プレイは禁止されていて、時間が経てば強制ログアウトになるはずだっ。
 ならば、12時間以上経つまでここで待てばもしかしたら! 他に方法が考え付かなかったので、12時間経って強制ログアウトになるのを待つことにした。

 待っている間、暇だったので初めてのスキルを取得してみることにした。情報ウィンドウを表示し、習得できるスキルを確認する。スキルは、スキルポイントを消費して特殊な技を覚える事ができる仕様である。覚えられるスキルは、職業のレベルに依存しているため、冒険初心者Lv.10の俺はまだ、覚えられるスキルについては少ない。そして、消費したスキルポイントは、戻すことが出来ないので、慎重に覚えるスキルを選ぶ。
 とりあえず、技系スキルである”全力斬り”を取得してみる。ポイントを5消費して、覚える。
(全力斬りを習得しました)
 頭のなかにアナウンスが流れるとともに、全力斬りの方法も頭の浮かんできた。技系スキルは、習得とともにスキルの発動方法も頭のなかに流れ込んでくるのだろう。
 他にスキルには、防御系スキル、ステータスアップ系スキル、専用スキル常時スキル、などがあるが、どれも取得必要ポイントが高いため、今は取得できない。ということで、今日のスキル取得は終わりにする。

 昼が夜になり、夜が朝になっても何も変化はなかった。
 途中眠気に襲われて、眠って見て意識を手放してみたが、眠気から覚めるとそのまま何も変わらず、ログアウトされずにそのままベッドのある部屋に居るだけだった。俺はベッドから降りて立ち上がり、決意する。

 やはり、町まで行こう。今のままベッドに居たままだと何も変化が無い。
町のギルドへ行けば何かイベントが起きて、そうすればログアウトに関する何かしらの変化があるかもしれない。俺は決意して、町へと向かう事にした。

 と、その前に腹が減ったのでどうにかしないと。「Make World Online」の前情報の仕様には無かった腹が減る機能。たしか、現実世界との差別化を図るために空腹は仕様になかったはずだが、今無性に腹が減っている。考えたら昨日から何も食べていない。

 ベッドから降り、腰に剣とアイテム袋がぶら下がっている事を確認して、外へと出る。
「あら、おはよう。今日は狩りに行くのかい?」
 昨日話しかけられた場所で、同じおじさんに同じ言葉を投げかけられる。
「いえ、ちょっと思うところがあって町の方へ行こうかと」
「そうかい、今日は天気もいいしちょうどいいかもしれないね。いってらっしゃい」
「ありがとうございます。あっ、それとこの村ってお店はありますか?」
「お店?お店なら、あそこに小さいけれど一応、物々交換してもらえるよ」
「何度も有難うございます」

 おじさんにお礼を言って、指さす方向へと進む。昨日モンスターからドロップしたアイテムと、林檎のような真っ赤な果物を交換してもらい食べた。

 改めて、村の外へと立つ。俺は町への道を歩き始めた。

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ユウ
Lv.10
STR:36
CON:31
POW:40
DEX:46
APP:25

職業:冒険初心者
EXP:190
SKILL:4

スキル:全力斬り Lv.1
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