第05話 僕が先に仕掛ける

 今日の仕事は、厄介なモンスターの駆除。やって来たのは街の近くにある森の中。そこに、突然変異で巨大化したというグランドワームという名前の、ミミズがデカくなったようなモンスターが発生したという。

 通常では人間の大きさ程度のサイズだが、依頼を受けた今回の標的はその何十倍も大きくなっていると聞いていた。何組か冒険者パーティーにも依頼を投げたそうだが、標的は大きくなりすぎていて並の戦士では致命傷を与えられず結果は、討伐を失敗したそうだった。

 そして最終的に、戦乙女クランへと依頼が流れてきたそうで、僕たちが処理する事になった。

 戦乙女クランから何人かのメンバーを引き連れて、森の中を進んで行く。すると、早速標的のモンスターを発見することが出来た。

 事前に聞いていた情報の通り、突然変異と言える巨大化を果たしていたグランドワームを見つけるのは容易な事だった。

 森の景色から上、青い空との間にヒョコッと茶色い身が姿を見せていた。見上げるぐらいの大きさに、一面を覆うような身の長さがあるようだった。遠目で見ても、だいぶサイズが大きいだろうという事が分かった。

 発見することは出来たので、後はあの標的を討伐するだけ。

「エレーナ、僕が先に仕掛けるから追撃をお願い」
「わかりました」

 僕の身長と比べて、倍ぐらいはある背の高い女性であるエレーナに援護をお願いしてから僕が先に1人で突っ込んで、スピードでモンスターを手玉に取る。

「ハッ! っと、やっぱり硬いな」

 一足飛びで近づいた勢いのまま、手に持ったロングソード、騎士が使用するような剣で斬りつけて一撃を加える。だがグランドワームの硬い皮膚に阻まれて、刃が思うように入っていかない。これでは、致命傷を与えることは出来ない。

 巨大化しているグランドワームは、その見た目からは想像つかないが意外と動きが早かった。そして大きい身をちょっと動かすだけで、体の重さによって何十本もの木がバリバリと一斉に倒されて、大きな音を辺りに響かせていた。あの身の下敷きになれば、ひとたまりもない。

 だが当たるつもりはなく、動き回って何度も攻撃を繰り返しグランドワームを翻弄する。そうしている内に獲物となる奴の視線が、僕の方に注目している事が分かった。攻撃して注意を引く、という目的は達成。

「ウォォリャ!」

 エレーナが大斧を振り下ろす。僕に注目していたグランドワームの意識外から、致命傷となる一撃。

 巨大女として世間で有名になっているエレーナよりも、更に大きな斧を力に任せて振り下ろされると、流石の硬化したグランドワームの皮膚でも阻むことは出来なかったらしい。大斧の刃が食い込んで、破れた皮膚から血が流れ出ていた。

「一旦、離脱!」

 エレーナが指示に従って、グランドワームの側から離れる。僕は、エレーナの与えた傷跡から攻撃を重ねて傷口を広げてダメージを与えた。それから、獲物から離れる。

 攻撃を受けて血を流し、身をよじっている巨体に巻き込まれないように一旦離れて、様子を見るため。

「あれで大分弱ったから、後は簡単かな」
「お疲れ様です」

 今回の戦いで、標的に致命傷を与えるという一番の手柄を立てたエレーナが近寄ってきて挨拶をした。
 
「うん、エレーナもお疲れ様。援護ありがとう」

 遠くから観察してみて、もう討伐作業の大半が終わったと確信していた。あとは時間を掛けて、絶命するのを待つだけで終わり。少し早めに作業を終わせるために、攻撃を加えるのも良いかもしれない。

 連れてきた戦乙女クランに所属するメンバーの訓練に最適かもしれない、などと考えながら今後の予定を頭の中で組み立てていた。