第06話 今後の方針

 アロは、亡くなってしまった両親に代わって小さい頃から育ててくれた村長に奴隷として売られそうになったところを、逃げ出してきた。けれど、アロは村長に今まで育ててくれた恩を返したいとも思っているらしく、それならウチでお金を稼ぐ方法を身に付けるようにと俺が説得すると了承してくれた。

 俺が彼女にココに残ってもらうように話をしたのは、送信者の分からないメールの内容に従って”少女を育てる”事にしたからだった。今のよくわからない状態を打開するために、この世界について調べていくために、アロとの関係を途切れさせるわけにはいかなかった。

 そして、せっかくならアロという才能あふれた女の子を最高の戦士として育てようと考えた俺は、まず能力値の中で比較的低い値である体力を底上げする事から始めるのが良いだろうと計画を練り始めた。

 アロを戦士に育て上げると決めたのは、能力値をじっくりと見て筋力が非常に高いことに目をつけたからだった。この値ならば、今のままの能力値だけでも適当な武器を持たせて外にモンスターとの戦闘に向かわせても一定の活躍が出来るぐらいには筋力の値が高いからだ。
 と言ってもアロを”最高”の戦士に仕上げることを決めたからには、まずは施設で数ヶ月はじっくりと計画を立てて鍛える必要があると考えている。

 まず体力値を底上げするのは、体力値というステータスがキャラクター育成の中で一番最重要視されている値だからだった。
 体力値は、剣を振ったり、走ったり、敵の攻撃を防御したり等の戦闘に関する行動、動作を行うごとに消費されていく値で、先に上げたような行動を一切しなければ徐々に回復していく。けれど、体力の値が0になってしまえば強制的にキャラクターはしばらく行動不能になってしまい、戦闘中にそんな状態になったら防御も出来ずにダメージを食らう等、非常に危険で生存率が低くなってしまう。
 だから、体力値は最初のうちにできるだけ高くなるように鍛えあげることがキャラクターを育成し生き残らせるための基本的なコツである。

 しかも、この体力値は行動をするときに消費する値だけでなく、戦闘中に色々な効果を発揮する。
 例えば、残り体力値が多いほど物理攻撃回避値に少々プラスされて敵の攻撃を避けやすくなったり、敵の攻撃をうまく防御出来るようになって受けるダメージを軽減することが出来たり。他にも色々と体力値が高い状態で戦闘を続けられると、かなり有利に敵を倒すことが出来る。
 アロを戦士にしようと決めた俺は、まずは戦闘を視野に入れて体力値を鍛えることを決めた。
 
 それに、アロは育ててくれた村長にアロが稼いだお金で恩返ししようと考えているみたいなので、アロが冒険者の戦士として活躍できれば依頼内容次第では大金を手に入れるのは比較的簡単だろう。
 アロの能力値ならば、商人や支援系の技能を取得して活動させることも出来るだろうけれど、能力値をうまく活用できずに中途半端な活躍しか出来ないかもしれないから、筋力という長所を伸ばして冒険者として最大の働きを期待することにした。

 考えなければならないことがもう一つ。アロ以外のキャラクターを育てるかどうか。
アロ一人に一日を費やして育成に当たるのも一つの方法かもしれないが、現状を考えると他にも何人か平行して育成する方が良いかもしれないと思う。

 必須となる人材は二人。

 一人は、今居る世界の情勢について調べてもらう諜報員。アイティオピアというゲームに酷似した今の状況だけれど、俺の持つ知識と今の世界の状況がどれだけ違うのか。調べて比較して差異を無くさなければいけないだろう。
 もしもゲームと同じ世界状況ならば、急いで対策が必要となる事件は無いと思う。けれど、俺の知っている世界と異なるのならば、対応を考えなければいけない。
 何が脅威で、どんな対策が必要なのかを把握しなければならないために、その情報を揃えるために諜報員が必要だ。

 そして、もう一人必要になるのが商人。
 ココには食料が多く貯蓄されているからといっても、いつかは尽きてしまうだろう。砦から出られない俺に代わって、誰か近くの村か街へ食料の買い出しへ行ってもらう必要がある。アロに買い出しに行ってもらうのも良いかもしれないが、アロにはなるべく砦の中で鍛えることに集中してもらいたい。それに、先が見えなくて失敗の許されない今の状況で少しでも資産に無駄を無くすために商売の専門家を準備して置くのは必須だろう。

 必須と考えているのは二人だけど、その他にもアロと競争させるライバルとしてのキャラクターや砦を守るために配置するキャラクター、他にも色々と育成が必要かもしれないが、あまり人数を増やし過ぎると充てる時間が分散して、中途半端になってしまう。今のところ考えているのは3人。

 なので、アロ、諜報員、商人の3人。アロはもう砦にいるので、残り2人を情報ウィンドウを開いて、それぞれの条件に合うような能力値を設定し検索をかける。

 検索結果から良さそうな人材を見つけて、募集をかける。アロの時のような志願ではなく、募集なので多少能力的には劣るかもしれないが早さを重視することに。

 こうして、ゲーム内の知識を駆使してアロの他に二人の人材をこの場所へ招き入れることにした。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext