第05話 ダンジョン入場

 ダンジョンへ探索に関しての相談を終えて、広場からダンジョン入口前へとやって来た僕たち3人。

 ダンジョン入り口の外壁は赤いレンガで覆われていて遠目からでも非常に目立つ。そして大きく開いた出入り口はまっすぐ奥へと続いていて、僕の昔の記憶によれば、100mぐらいまっすぐ進んだ所に下へと降りる階段が有ったはず。そこまでは一本道でモンスターも沸かない地点で、進んだ先にある階段から降りた先、そこから道が分かれていてダンジョン探索が始まる。
 ここにあるダンジョンの歴史は古くて、王国が建国された時には既にあった物らしいので少なくとも数百年は存在が確認されている。だけど、ダンジョンは何年かに一度は内部の構造が何故か変わってしまい、しかもここのダンジョンは内部が広く深くて、潜った先のモンスターも強力なために、このダンジョンを全攻略した者はまだ居ないと言われている。

 ダンジョンの出入り口には2人の王国兵士たちが左右に1人ずつ立っていて警備を続けている。プレートアーマーを身に着けていて、剣を腰にさしている。そして出入り口から少し離れた場所に木造で出来た小屋がある。兵士の交代要員があそこで休んでいるんだろう。
彼女たち兵士は、冒険者達のダンジョン入出管理、一般人や許可のない冒険者が立ち入らないように見張ること、そしてダンジョン内部からモンスターが出てきた場合は王都へ進ませないようにする警備等など、いくつかの仕事をもっている。

「こんにちは」
 ダンジョンの入場許可証を取り出してから、兵士の2人に近づいて声をかける。すると右に立つ女性兵士が鎧でくぐもった声で返事を返してくれた。
「こんにちは、ダンジョンかい?」
「そうです。コレをお願いします」
 すかさず手に持っていた入場証を彼女に渡して確認してもらう。

 入場許可証をチェックする兵士はすぐに顔を上げた。
「君は男性なのか、済まない気づかなかった」
「いえ、このローブに魔法がかかってまして。多分初見なら男性だって見破れないようになっているんですよ」
 このローブはエルフの村から出るときに託されたものを僕が少し魔法的に加工したもの。このローブを身に付ければ存在感を薄くできるので、副次的効果で男性であるこがバレにくくなるのである。
 このローブのおかげで、街を歩くのは問題がなくなった。男性が1人で買い物に出かけたら大変なことになる。例えばナンパ。時々、声をかけてくる女性が居るので大変。また、誘拐もかなり気をつけなければならない。男性というだけで、大金を出す人間がいるので、良い金稼ぎに利用されることもある。そんな事に巻き込まれないように念の為に魔法のローブを作った。
 入場許可証を確認し終えた兵士は、左に立っている兵士にも確認するよう言って渡す。ダブルチェックで間違いないようにする為だろう。

「どのくらい潜るつもりだ?」
 左の兵士が入場許可証をチェックしている間に会話するようだ。僕ばかり喋っているようだが、兵士の彼女は明らかに僕に向かって言っているようなので僕が返す。
「今日は1日だけ、夜になれば帰ってくるつもりです」
 先ほど相談した内容を兵士に伝える。

「ふむ、そうか。くれぐれもモンスターには気をつけてな。最近はモンスターが活発化しているようで、ここ2,3日の間にダンジョンに潜った冒険者が何人か死んだと聞いている。どうやら君は男性のようだから、何度も言うようだが気をつけるように。後ろの2人は彼に怪我がないように死ぬ気で守れ」
 兵士は後ろに立っていたクロッコ姉妹の2人にも言い含める。忠告を素直に聞き入れて注意するように気を引き締める僕。どうやらモンスターが活発化しているとのこと。だけど、逆に好都合でもあると考える。なぜなら、弱いモンスターよりも強いモンスターのほうが明らかに落とすアイテムのランクは高いから。

「チェック完了、問題有りません、どうぞ」
 左に居た兵士が入場証を確認し、右の兵士に返す。ソレを僕が受け取ってやっとダンジョンへ入ることが出来た。

 素早くダンジョン出入り口から階段目指して歩き出す。
「兵士とはお知り合いじゃなかったんですか?」
 先ほどクロッコ姉妹に何度かここのダンジョンに潜っているという話を聞いていたので、ダンジョン出入り口の兵士とは知っている仲だと思ったのだが、出入り口では一言も話さなかったので、気になった。
「いいや、なんだかあいつ嫉妬してるみたいだったから何も言わなかったんだよ」
「嫉妬?」
 どういうことだろうか? 疑問に思っていると、妹のシモーネさんが答えてくれた。

「私達ってほとんど男性と交流はなかったし、出入り口を守っていた彼女も同じ。だけど今日は私たちの方には男性が一緒に居た。逆の立場だったらイラッとすると思うわ」
 コレから向かう先はダンジョン探索だったので、僕にはそんな意識はまったく無かった。一緒にモンスターを狩るだけなのに、男性と一緒というのが恨まやしいと思うのだろうか。あまりピントはこないままに、下へと向かう階段へ到着。

「じゃあ張り切って行こう!」
 剣を背中から抜いて戦闘態勢に入るフレデリカさん。彼女に続いて、シモーネさんも弓を取り出し、僕も久しぶりの戦闘用の杖を魔力で作った異次元空間、魔空間から取り出す。
 3人が互いに武器を準備完了したのを見届けてから、階段を降りた。

 

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