第27話 王国の城

 僕は今、行方が何処とも知れず馬車に乗せられ連行されている。馬車には僕の他に2人の王国兵である女性が乗り合わせていて、馬車の中には僕と合わせて計3人が居る状態だった。彼女たちは二人とも、僕の向かいの席に座って僕の監視を続けている。
 何処に向かっているのか、どんな目的で馬車に乗せられているのか、いつ開放してくれるのか、色々質問してみたが彼女たちは表情ひとつ変えずに僕の言葉を無視。なので、質問を諦めて考えに没頭することに。

 僕が今馬車に乗せられている理由、考えられるのは魔法研究所関連の問題だろうと思う。そして、僕が魔法研究所から去った事が関連しているだろうか。

 昨日のフィーネから聞いた話では、僕の方から“辞めます“という事になっていたらしいが、間違いなく僕は追い出された。辞めるつもりは無かったが、考えてみると既に魔法研究所に所属するという事に執着は持っていない。ちょうどいいから辞めて王国から出て旅でもしよう、故郷にでも帰ろうかと考えて歩き出した。
 その後は直ぐに王国を出るつもりだったが、なんだかんで1週間もダンジョンに篭もることになって、王国からの旅立ちが延びに延びた。

「着いたな……。降りろ」
 馬車が急に止まって、王国兵の1人が右にある扉にある小さな窓から外を確認してつぶやいた。その後、僕に向かって馬車を降りるように命令してくる。僕は特に反抗せずに、王国兵の指示に従って馬車を降りる。

 連れて行かれる先は魔法研究所だと思っていたけれど違っていたようだ。目の前には開かれた大きな門が見える。目線を上げると、石でできた非常に大きな建物が目に入る。王城だった。
 遠くから見ることはあるが、近くで見た経験があまりないために認識するのにしばらく時間がかかった。魔法研究所に所属してからも、両手の指で数えられるぐらいしか来ていないので本当に馴染みがない。

「ついて来い」
 僕は特に何も言わずに彼女の言葉にうなずいて反応を示すと、直ぐに彼女は歩き出した。そのまま王城へ入るのだろうと思ったら、城の側に立っている小屋へと連れてこられた。

 普段王城には来ない僕なので、この小屋が何なのか分からなかった。中から何人かの魔力を感じるので魔法使いが複数人いる気配を感じとれる。しかし、王城の近くという場所で一体何をしているのだろうか。

 王国兵が扉を叩いて数秒、小屋の中から女性が出てくる。王国兵とは違って、僕と同じようなローブを身に着けている。魔力の感じや操っている魔力のゆらぎも一般人に比べて少ないので、魔法使いだと判断する。しかし、一般人に比べればゆらぎは少ないが、魔法使いとしてはまだまだ未熟だと思う。そんな風に観察を続けていると、目の前で魔法使いと思われる女性が王国兵になにか渡す。
 そのまま魔法使いは扉を閉めて小屋の中へと戻っていった。どうやら小屋の人間に何かを受け取るために寄ったらしい。と思ったら、王国兵が受け取った何かを持って僕に近づいてくる。

「コレを付けろ」
 ボーッと様子を眺めていた僕に近づいて言う王国兵。彼女が差し出す手に持っているのは木の珠を数珠のようにつなげた腕輪。コレを小屋の女性から受け取ったのかと思いつつ、腕輪を引き取って見てみると、その腕輪にも先ほどの馬車に施されたものと同じように魔法を使用するのを阻害する効果を発生させる魔法陣が描かれている事が分かる。早く付けろと急かされた、特に問題はないかと左腕に付ける。

 しかし何故今更こんな古い技術を使った物を取り出してきて、僕に装備させるのだろうか。コレを付けさせた後に魔法を使える所を見て魔法制御の能力の確認? でもコレぐらいのものだったら、ある程度の魔力の制御を身につけた魔法使いなら楽に破れるし、今更破れたとしても自慢にはならない。わざとコレを付けさせて何かさせる気なのだろうか、阻害を破って城の中で魔法を使えという合図?

 考えながら左手を通した腕輪を確認していると、側に立っていた王国兵が僕の腕をグイッと掴んで引っ張った、どうやら僕が左腕に腕輪を付けた事をしっかり確認しているよう。見終えたら、バッと腕を離してそのまま身体をグルリと回して王城の方へと歩き出してしまった。
 えらく乱暴に扱われるなぁと思いつつ、再び先行した王国兵の後についていく。左右や後ろに数人王国兵が付いて来て、僕は囲まれたまま城の中へと入っていった。


 綺麗な廊下、途中に置かれた内装を飾る高そうな品々、時々壁で控えている使用人たち。
 使用人の多くは女性だけれど、中には男性の使用人も居る。彼らのような男性の使用人を雇うことはステータスシンボルとなるそうで、王城には何十人もの男性の使用人が居ると言われていて、彼らの待遇はかなり良いらしい。前世を知る僕としては逆のように感じてしまうが、この世界では男性を多く雇うほうが社会的地位が高いことを示せるとのこと。

 前後左右を5人の王国兵に囲まれた僕を、壁に控えた使用人たちが物珍しく見ている。

 しばらく王城の廊下を進んでいくと、ある扉の前で先に進んでいた王国兵が立ち止まり僕の方へ身体を向けた。

「今より女王様の御前へと案内する。失礼のないように」
 突然の王国兵の言葉に声を失う。いきなり王様の目の前に? 混乱しているうちに、扉が開かれて中へと押し入れられる。

 僕が入れられた部屋には、入って直ぐ目に入る大きなテーブルがあって、テーブルの向こう側に女性が座っている。そして、座っている女性の側にも1人の女性が立っていた。  
 座っている女性には見覚えがあった。確か彼女はこの国の女王様だったはずで、何かの機会で演説を聞いた覚えがあったが薄っすらとした記憶で定かではない。そして、こんなに接近したのは初めてだった。

 大きなテーブルの前に座っている女王様と思われる女性は何か書いている途中らしく、ペンを持って手を動かしていたが、僕がテーブルの前に立つと書くのを止めて脇に置かれたペン立てにペンを戻す。どうやら、この部屋は執務室のようだが何故こんな場所に連れてこられたんだろうと疑問に思う。
 ペンを戻した彼女は、僕の事を視界に捉えて言う。

「其奴が、エリオットか?」
 スッと耳に入ってくる声で、側に立っている女性に確認するような言葉。

「子どものように小さな身長、薄汚れた茶色のローブ、そして魔法によって隠された顔、間違いなく魔法研究所に所属していたエリオットのようです」

 なんだか酷い確認のされ方だと思いつつも沈黙を続ける。本当に何故僕は王様の目の前へと連れてこられたんだ。僕は混乱したまま話が始まった。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第07話 戦闘、帰り道、そして

 10階層でドロップ品を目的としたモンスターとの戦闘に関しては、初めて組んだパーティとは思えないくらい上手く、そして効率良く進めることが出来た。
 
 まず僕が魔法でモンスターの居る場所と、他の冒険者が居ない場所をいち早く探る。そして目的地を見つけたら2人に指示を出して素早く移動。モンスターの近くまで来たら僕が魔力を絞った魔法で牽制を仕掛けて先手を取ると、すかさずフレデリカさんが大剣で切り込む。フレデリカさんの攻撃がうまく決まったらシモーネさんが弓矢で援護攻撃を加える姉妹のコンビネーション。僕は2人の攻撃中は周囲を警戒しておいて、近寄ってくるモンスターをいち早く察知するようにしながら戦闘を見守る。そして、フレデリカさんとシモーネさんが仕留め損なったモンスターが居た場合は、僕が適宜攻撃を加えるなど臨機応変に動く役割を担った。
 最初のうちは3人で声を掛け合いながら動いていたが、途中からは声も必要にないくらいにスムーズにそれぞれの役割をこなして、最後は目で合図すれば察して動けるぐらいに洗練されていった。

 今も戦闘を終えて、倒したモンスターが光の粒子に分解されている途中。
「モンスターはいません、周囲は大丈夫です」
 僕の一言で、戦闘状態を解いて一段落する2人。

「なんだか何時もよりもモンスターの落とすアイテムの内容が良いなぁ」
 光の粒子が消えた場所にドロップ品が現れる。フレデリカさんは現れたアイテムを拾ってコチラに近づいてきた。
「お疲れ様、コレもお願いするよ」
 フレデリカさんが僕に近づいて拾ったアイテムを手渡してくる。ドロップしたアイテムは魔法使いの僕が魔空間に保管しておいて、ドロップ品は戦闘の時に邪魔にならないように僕が運ぶ荷物持ちとしての役割をしていた。

「だけど、戦闘が上手く行きすぎて物足りないなぁ。今日はこの剣も振り足りない」
 フレデリカさんが不満を言いつつ大剣を風切り音をさせながら上から下へ素振りをする。フレデリカさんの言うように、僕が牽制で放った魔法が上手く当たればモンスターを一撃で倒せてしまう時もあるので、フレデリカさんの普段に比べたら攻撃回数が少ないだろう。

「そうね、いつもに比べて後ろを気にしなくて良いのは本当に楽だわ」
 何故かクロッコ姉妹から非常に厚い信頼を寄せられている僕。即席で組んだパーティー仲間に対して、背中を預けて気にしないようにするなんて、かなりの度胸だと思う。勘違いかも知れないが、フレデリカさんは初めから、シモーネさんは3階層辺りから連携が更に上手く取れるようになって信頼されているように感じた。
 何故こんなに信頼されているのか分からないが、彼女たちに信じて頼りにされている分は彼女たちの為に頑張ろうと思った。

「そろそろ戻ろうか?」
 戦闘が計3桁回数に入る直前にフレデリカさんが地上への帰還を提案。かなりの戦闘を繰り返した結果、フレデリカさんの疲労が大分溜まってきたようだ。
「そうね、思っていた以上にドロップ品が手に入ったから収穫は十分そうね」
 ドロップ品が結構手に入ったので3人で分けたとしてもかなりの額になるだろう。これだけあれば、道具や生活用品を全部買い直せると思う。僕も2人の意見に賛成して地上へ戻ることになった。

 帰還ルートはなるべく敵が居ないような経路を探しながら帰る。
「いぁや、エリオットが居て大分楽だなぁ。帰りの道まで魔法を使って探してくれてありがとう」
「疲れてない?」
「まだ全然大丈夫ですよ」
 地上へ出る階段に向かって歩いている途中、色々と負担をかけて申し訳ないと姉妹には言われたがむしろパーティーを組んで僕は助かっていた。

 クロッコ姉妹の持つダンジョン知識、そして連携することで戦闘の負担が減って、しかも道中は他人が居ることでソロで行動する時に比べて安心感があった。
今までパーティーを組んで行動すると人間関係が煩わしいかもしれないと想像で心配していたが、実際に組んでダンジョンに来てみると思っていたよりは他人と一緒に居ることが苦痛ではなくて、むしろ安心感が得られるんだと実感した。
 まぁ、これはクロッコ姉妹と僕の相性が非常に良かったという理由もあるかもしれない。これらのメリットを考えると姉妹とパーティを組めた事は僕の方が助かっていた。

 そんな風に帰りの途で僕の思いについて姉妹に話していた時にソレは起こった。帰り道だから慢心していたんだろう。

 ソレは先行しているフレデリカさんがキッカケだった。8階層のあるフロアへと到着して、もうすぐ階段という場所まで来た時。フレデリカさんの足元が白い光で溢れた。

「な!」「姉さんっ!」
「危ない!」
 フレデリカさんの足元に魔法陣が現れた。彼女は何らかの罠を発動させてしまったようで、魔法陣が輝きを増していった。この魔方陣が白い光の正体だった。

 発動した罠は魔法陣が発現したことから、魔法によるものだと断定して考える。次の瞬間には、フロア全体に魔法陣が広がったために発動させた人間だけでなく、フロアに入った人全員を対象にした大きな罠のようだった。

 10階層に行く途中で通ったフロアだったはずで、その時は罠の存在に気づかなかった。運悪く、帰りの道中で発動させてしまったようだ。効果は一体何だ? 何を目的とした罠だろうか。目でシッカリと観察し、頭で考える。

(不味い! あれは転移系だ、このローブが無効化してしまうかもしれない)
 僕は魔法の範囲に入っているフレデリカさんを見て間に合わないと悟る。そして、シモーネさんに素早く近づき腕に掴みかかった。シモーネさんはビックリした顔で僕を見たが、説明している暇なんて無かった。

 既に魔法の効果が発動しかけていて、どこかに飛ばされそうという事がわかったので、一か八か賭けに出る。
 もしも、僕のローブが転移の魔法を無効化できたらシモーネさんも範囲に入るかどうか。逆に、シモーネさんの転移に巻き込まれて僕も転移し、3人とも一緒の場所に飛べるかどうか。

 魔法陣から放たれた光がフロア全体を照らす。僕の視界は真っ白に染まった。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第26話 船長たちの事情

 ブリッジから出された後は、医務室で気絶していたライラさんを横目に見ながら、ヨハンナさんによる腕の治療を受けつつ、状況が変わるのをしばらく待っていた。

 それから二時間ぐらいが経った頃。船長たちの話は終わったのか、再びブリッジへと集まるように艦内放送での呼び掛けがあったので、今も眠り続けているライラさんはベッドに寝かせたままにして、ヨハンナさんと二人でブリッジへと向かった。

 ブリッジには船長のミラさんと副船長のステインさんはもちろん既に待機していて、俺達二人が到着した後すぐにドミナさんもやって来て、俺の他に四人の船員がブリッジに集合することになった。そしてその場で、今後のジュペンス号の航路について説明がなされた。

 説明を要約すると、これから船長達の母星であるエムナという星に向かうらしい。

 ジュペンス号は先の逃走でエンジンに大きなダメージを負ってしまったために、これ以上の探査航海は困難だろうと判断されて、修理のために船長の故郷の星のエムナに行く事を決めたという。

 惑星エムナに向かうという予定については皆が納得したのか、誰からも反対意見は無かった。俺も、彼女たちの母星には興味があったので特に反対はしなかった。ただ、少し気になる事が有ったので、その事について聞いてみることにした。

「俺たちを襲ってきた船団から助けてくれた、あの真っ白な宇宙船は何なんですか?」

「……えっと、あの船は、これから向かうエムナの星の守護を担っている特別な船なんです」

 俺の質問に、言葉を選んで答えてくれるミラさん。俺達を助けてくれた白い船について、あの船はエムナ星船と呼ばれている見た目通りの特別な船らしくて、普段は同じ名前である惑星エムナに危機が迫っていないか常に周りを巡回していて、星の王や住人を守護している存在らしい。

 ただ、ミラさんの答えを聞いても疑問は解けることはなく、むしろ謎が深まってしまった。俺は更に突っ込んで聞いてみた。

「そんな重要な任務を担っている船が何故、星から離れた場所に居て僕達を助けてくれたんですか?」

「実は、ユウさんには説明していなかったのですが、私はこれから向かうエムナで星王をしている者の娘なのです。つまり、エムナの星王女というわけです。と言っても、継承順位の低い私は、次の星王になる可能性も低いですし関係ないと思って説明していませんでした」

 ごめんなさい、と言って説明不足だったことをミラさんから謝られる。つまり、星王女という高い立場のミラさんに危機が迫っている事を予測して、白い船はミラさんの危機に駆けつけてくれて俺たちは助かったと言うことらしい。

「頭を上げてください、ミラさん。むしろ立場を知らなかったから、ミラさん達と恐縮せずに付き合えたんだと思います。と言うか、僕のほうが無礼な振る舞いをして謝らないといけないんじゃないですか?」

「いえ、先ほど説明した通り私は継承順位が低いので、身を固くされるような立場でもありません。今まで通りに接してもらえると嬉しいです」

 ステインさんやドミナさんのミラさんへの立ち居振る舞いを見ていて、船長という立場以上にミラさんは結構偉い人かも知れないと予想していたけれど、その想像を遥かに超えて上の立場の人だったらしい。

 けれど、そんな事を気にしないで良いとミラさんは気さくに対応してくれて、俺はひと安心していた。



***



 こうしてミラさんの本当の姿を知った俺は、惑星エムナに向かう道中でステインさんとライラさん、ヨハンナさんにドミナさん四人、ジュペンス号に乗る他の船員たち皆の惑星エムナでの立場についても教えてもらっていた。

 副船長のステインさんは王の血を引く家系の貴族らしくて、小さな頃からミラさんと交流があり、二人はいわゆる幼なじみのような関係だったらしい。そして、このジュペンス号ではミラさんに次いで立場の高い人でもあるそうだ。

 メカニックをしながら俺に色々な現代技術について教えてくれているライラさんは、政府が経営する研究所で働いていた職員だったらしい。細胞に関する基礎研究に携わっていたけれど、ライラさんは別の研究をしたかったらしくてモチベーションが保てず、研究員を辞めたところでミラさんに拾われて、今はジュペンス号のメカニックをしながら好きな研究に没頭しているとのこと。

 船医のヨハンナさんは、ミラさんの専属医師として長年勤めていた関係で今回の宙域探索に同行してくれることになったそうだ。

 そして最後に護衛のドミナさん。彼女も長年ミラさんの護衛を務めている関係で、引き続き宇宙に出るミラさんを近くで守るために、今回の宙域探索に同行することになったそうだ。

 皆の本当の立場を知ることが出来て、より皆との距離が縮まっただろうと感じつつ惑星エムナへと向かっていった。

 

スポンサーリンク

 

backindex 

第25話 襲撃後の対話

「ミラ様、目の前の船から映像通信が入っています」

 ステインから目の前に居る白い船から通信が送られてきていると報告を受けて、通信を無視してしまいたいという考えが頭を過ぎり、ステインへの返事に迷ってしまい沈黙してしまう。

 けれど、船の動力はダメージを受けてスピードが出せないので航行も困難な状態であり、何よりも助けてもらったのは事実があるので、通信を無視することなんて出来なかった。

 ただ、この通信を受けてしまうと厄介なことになるだろうとも確信していたので、凄く嫌々ながらに行動することになった。多分、探索航海は中止になって母星には一度帰らざるを得ないだろう。そういう状況になるだろう事は、簡単に予測できた。




 向こうの船と通信するにあたって、ユウさんにブリッジから出てもらうようにお願いした。これから行う会話を、ユウさんには聞かれないようにするためだった。

 まだユウさんには、私達の母星についての説明をしていなかったからだ。つまり、星王をしている母上についてや、私が王族という立場に関係が有ること等を説明しきれていないからであった。

 これからの会話を聞かれると、多分話の内容で説明していなかった事が彼の耳に入ってしまうだろうし、途中で混乱されるだろうから彼を説得してブリッジから出てもらうことにしたのだった。

 なぜブリッジから出されたのか聞きたいだろうし、疑問も沢山有っただろうけれど文句も無く静かに出て行ってくれたユウさん。日を改めてしっかりと説明することを心に決めて、通信に挑む。

 何時でも通信を開始できるという準備万端のステインに向かって一度頷き、向こうとの回線を開くように指示をする。

 通信が開始されると同時に、目の前のモニタに見たくなかった連中が映しだされた。

「姫さま、ご無事のようで何よりです」

 正装をした女性がモニタの中央に座っているのが映り、私の顔を見て確認してから床に手をついて頭を下げた。その後ろにも、声を出さずに同じような格好をして控えている六人の女性が見える。

「面をあげなさい」

 私がそう言うとモニタに映っている七人の女性達が、ゆっくりと下げていた頭を上げて顔を見せる。

 モニタに映る七人の女性、その丁度中央に居る彼女たちの代表をしているのだろうと思われる最初に言葉を発した彼女。その彼女の微笑む表情を見てみると、一見すると丁寧な様子で心配している風な態度に見える。ただ、その様子の節々から彼女の嘲るような態度が見えている。

 彼女の慇懃無礼な態度に、私は思わず表情が厳しくなって不快感を表しているだろうと感じる。けれど、彼女には危機の状況で助けてもらった恩が有るので急いで取り繕うために言葉を発する。

「心配してくれてありがとう、私は無事です。そして、危ない所を助けてくれて重ねてありがとう」

「いえ、私たちは貴方様の臣です。危機となれば助けるのが必然。感謝の言葉など不要です」

 嫌々ながら口に出した言葉だけれど、モニタに映る彼女は変わらずニコニコと微笑を浮かべて返してくる。彼女の態度に、これ以上我慢できなさそうになっている内心を抑えるために話を変えて質問をする。

「ところで、あなた達はどうしてこんな場所に居るのですか? それも、十一隻ものエムナ星船を集めて来て」

 私の母星である惑星エムナ。そのエムナという星の中で最強の船と呼ばれているエムナ星船。船体は、一目で分かりやすいように白一色に統一されているという船だ。

 普段ならば、惑星エムナを守るために星付近で駐在しているハズ。それが、何故こんなにエムナ星から離れた場所にいるのだろうか、と純粋に理解できなくて質問していた。

「ミラ様に至急母星に帰ってきて頂きたいのです」

「星に帰る?」

 モニタに映る女性は、私の質問に答えずに要件を切り出した。やはり、予想した通りに母星への帰還命令だった。帰りたくないという気持ちを表すようにとぼけて見せるが、モニタの女性は気にした様子もなく話を続けた。

「そうです、星王が待って居られます。その船に積まれている男性についても、非常に心待ちにして居られました」

 そう言って、彼女は一瞬だけ嫌らしい笑みを浮かべる。私は、船の状態を鑑みて母星への帰還に了承するしかなかった。

 やはり彼女たちの、そして母上の目的は男性であるユウさんなのだろう。一体、ユウさんの情報は何処から漏れてしまったのか。

 私達が彼を偶然発見してしまい、死にかけていたという理由で本人の了承も得ずにジュペンス号に乗せてしまった。治療のためとはいえ、ジュペンス号に彼を乗せたのは間違だったのかもしれない。そのせいで、私の母上に目を付けられたのだから。

 こうして、私はユウさんに対して罪悪感を感じながら母星へと帰還することになった。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第24話 船長ミラの立場

 突然目の前に現れた船に対して,私たちはもう少し警戒心を持っておくべきだった。

 その宙域は、そこから一番近くにある惑星が管理している区間だったので、普段は許可が無いと通ることは禁止されている場所である。そして、無断で入った事がバレた場合には、当然罰せられるから誰もが細心の注意をして通る。

 私たちはその宙域に近づいた時点で手続きを済ませていて、正式に通る許可も取っていた。

 通行許可を貰うときには、色々と教えて貰った情報がある。その情報の中の一つに、手続きした通行許可期間ではジュペンス号以外に許可を取った船は無いという事実があった。

 つまり、今は宙域を通るときに他に宇宙船が存在していないし、遭遇することは無いはずであった。

 無断で宙域に入り込んだら重い罰を受けないといけないし、ましてや戦闘行動を起こしたら死刑に処される場合もある。最悪を想定したら、星同士の戦争にも発展しかねない。

 だから、無意識のうちに目の前に現れた船は間違って迷い込んでしまった宇宙船なのだろうと、思い込んでしまった。

 私は不用意にも、立ち入り禁止宙域だという事を通信で伝えてながら相手の所属を問い合わせた。その直後に、ジュペンス号に相手の砲口が向けられて、次の瞬間には砲撃されることになった。

「くっ,いきなり撃ってくるなんて滅茶苦茶なッ!一体、何処所属の船だ?」

「ミラ様、データベースにない船です。どうやら、海賊の一味だと思われます」

 まさかいきなり撃ってくるとは思わず、慌てて船を操作して避けようとしたが被弾。ジュペンス号に積んでいた唯一ダメージを与えられるであろう砲、普段は隕石群を散らすために使うためのソレを用いて反撃に移ろうとした時には、もう一隻が現れて相手は二隻になって襲ってきた。

「ミラ様,増援のようです! 積んでいる武器では対処できません!」

 絶え間なく攻撃を繰り返す二隻の船。すぐに逃亡することを選んだ。そして、一気に最大船速で相手の船から離れることに。

 ジュペンス号が出せる速度は、他の宇宙船に比べてみても上位に位置するぐらいには性能が良くて、追ってきている船なんてすぐに離して逃げきれるだろう、と判断した。

 速度を生かして相手をみるみるうちに離していって、撒いたと思って一瞬油断してしまった。



 ほっと落ち着けたのは、ごく僅かな時間だけ。

 

 いつの間にか二隻の船が、すぐ近くまで来ていた。そして、逃げ切れたと油断して速度を落としていたジュペンス号は、迫ってきた船から放たれる砲撃が直撃してしまい、動力にダメージを受けてしまった。

「くっ、いつの間に!」

「エンジン部分に深刻なダメージを受けました! 航行が困難ですっ!?」

 距離をだいぶ離していたはずなのに、気づいたらすぐ近くに居た。

 あるいは、短距離のワープを使えば離れていた距離を一気にゼロにして、近づく事も可能かもしれない。けれど、今居る宙域内でワープを行うことは、助走距離など実行するための条件が悪いために、失敗する可能性が高いだろうし自殺行為に近い。軽く見積もってみても、ほぼ0.001%ぐらいの成功率しか見込めないと思う。

 ただ、他に近づいた方法が思いつかない。あの船は、本当に短距離のワープを成功させて来たのだろうか。

 どうやって私達の船に接近したのか、という考え事に気を取られていた。いつの間にかブリッジへと来ていたユウさん、船の揺れで倒れそうになっていた。男性に抱きしめられたのは、初めての経験だったし普段なら大喜びする事だけれど、今はそんな余裕もない程に追い詰められていた。

 船の動力にダメージを受けていて、思うように速度が出ない。さらには、目の前には見知らぬ多数の船があらわれた。目の前の船の形を見ると、追ってきた奴らと似ている事から予想すると、追跡してきた船の仲間なのだろう。つまり、私たちは必死に逃げていたと思っているうちに、相手の包囲網に誘導されて囲まれてしまったということ。

 包囲され砲口を向けられて生死を握られた状態で、相手から要求が文字による通信で送られてきた。

 相手の要求は、やはり男性であるユウさんの身柄だった。

 どうするべきなのか考える。ジュペンス号の船長としては、ユウさん一人の身柄を渡して、四人の船員を守るべきだろうと判断している。だが、要求通りにしたとしても相手が見逃してくれる可能性は低いと思う。無抵抗でユウさんを明け渡して、私たちは無駄死にする可能性がある。

 それに、私個人としてはユウさんを相手に明け渡すことには絶対に反対だった。

 短い期間だったけれど、ジュペンス号で一緒に過ごした日々。先程も倒れてしまいそうになった私を、後ろから咄嗟に支えてくれて助けてくれた彼を、抵抗もしないで要求を受け入れユウさんの身柄を渡すことに納得できなかった。

 頭の中でグルグルと考えてみても、どうするべきなのか判断する事に躊躇ってしまう。ジュペンス動力にダメージを負った状態で、逃げ出すことも出来ない。そして、反撃できるような武器も積んでいないので、逃げ出すキッカケも作り出すことが出来ない。

 そんな時に、ユウさんが要求通りに従うべきだろうという意見を口に出した。私はその考えに、乗って残りの四人だけで生き残ろうとしてしまった直前。

 見覚えのある砲撃光、そして近づいてくるあまり見たくはなかった十一隻の船。形勢は一気に逆転して、私達を包囲していた船が次々に沈んでいく。

 そんな光景を見ながら、思ってしまった。救われた立場で何だけれど、あの連中だけには助けてもらいたくはなかった、と。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第23話 襲撃の結末

 突然現れて介入してきた十一隻の白い船。その船から放たれる容赦無い攻撃に巻き込まれないように、包囲網から静かに逃げ出す俺たち。と言っても、船の操作はミラさんが行い、その慎重な操作を俺は横で見ているだけだったけれど。

 そして、しばらく離れた場所にジュペンス号を移動させる。その離れた場所から、包囲網が敷かれていた場所を見る。先ほどジュペンス号を包囲していた船団のうち、白い船の攻撃から辛うじて残っていた二隻が、必死にこの宙域から逃げ出そうとしている様子が見て取れた。

 けれど十一隻居る中で先頭に立つ白い船から、慈悲もなく二回の砲撃が行われた。二隻の船は他愛もなく爆散した。

 先程まで俺たちを包囲していた船は、残らず全てが撃墜されていった。つまりは、俺達の目の前で数十隻有った船は全滅したという事。

 そんな様子を眺めているうちに、十一隻の中から一隻だけ離れて飛び出しジュペンス号の前にやって来た。

 超長距離からでも攻撃を当てられる命中率を誇り、一撃当てただけで他愛もなく撃沈させてしまうような攻撃力を持つ船。その船が目の前に出てきた。

 この距離ならば、白い船の砲撃だったら絶対に外さないし簡単にジュペンス号は撃沈してしまうだろう。唯でさえ、先ほどの逃走中にジュペンス号は攻撃を食らって損傷が発生しているために、いつも通りに動くことが出来なくなっているらしい。そう思うと、背中に冷や汗が浮かんできた。

 けれども、包囲網から静かに逃げ出している時に十一隻の白い船から攻撃されることも無くて、今も砲撃を再開する様子はない。どうやら、話し合う余地が有るのかもしれないと感じていた。

 そう俺が思っていた時に、ブリッジに通信を知らせる音が小さく鳴った。

「ミラ様、目の前の船から映像通信が入っています」

「……ユウさん、これからの話し合いは私達で行います。ユウさんは怪我をしている様子でしたから、ヨハンナの居る医務室へ行って治療を受けて下さい」

 ミラさんから少し遠回しに話し合いの場に参加しないように、ブリッジから出るように指示される。

 確かに、先程から右腕の痛みがキツくなってきていたのでヨハンナさんに早めに診てもらったほうが良いだろうと思う。

 それに、男性である俺があまり表に出ないほうが良いだろうとも判断する。先程まで、ジュペンス号が包囲されていた原因の多くは、俺の存在が関係しているだろうから。包囲していた相手の出した要求を考えると、男性を奪うためにジュペンス号を狙った、と言って間違いないと思う。

 これから行う通信の相手が一体誰なのか、目的は何か分からないけれど、先ほどのメッセージによる通信とは違って、映像を出す通信を行うらしい。だから、ブリッジに俺が居たら、俺の存在が相手に見られるかもしれないし、もしかしたらまた問題が起こってしまうかもしれない。

 ただ、相手が既に俺の存在を知っている場合も有るかもしれないが、俺が話し合いに参加する必要性も無いだろう。

 ミラさんの意見に頷いて了承する。

「分かりました。ヨハンナさんの所に行ってきます」

「お願いします。状況は後で必ず説明しますので。それと、先ほど倒れそうになった時に支えてくれて助かりました。ありがとう」

 ミラさんからお礼を言われて、偶然で小さなことだけれど彼女を助けることが出来てよかった、と感じながらブリッジを後にした。



***



 ブリッジから医務室へと向かう途中、廊下のいたるところに自動機械人形が居て、何か作業をしていた。どうやら、先ほどの逃走中に受けた船のダメージを修理しているのだろうと思う。

 思うというのは、見たところ廊下に目立ったダメージが無いから。廊下に大きな穴が開いていたり、壁の一部が欠けて、そこから漏電していたりと言うような様子は一切ない。

 元から船内部にはダメージが少なかったからなのか、自動機械人形が既に修理した後なのか判断はできないけれど、廊下の様子だけを見るとジュペンス号はいつもの調子と同じだった。

 医務室へ到着すると、ソコには白衣のヨハンナさんと、ベッドで横になって寝ているライラさんが居た。

 医務室の中も、逃走中の揺れによって家具が倒れてしまったようで乱雑な部屋になっていた。そして、ヨハンナさんは俺が入ってきたことに気づかず夢中になって、部屋の中を片付けている。

「あの、ヨハンナさん」

「あぁ、無事だったのね。……いや、ちょっと怪我をしたみたいね」

 声を掛けると、ヨハンナさんは片付けている手を止めて振り返り、俺の様子を伺った。そして、俺の右腕に目を向けて少しだけ顔を顰めて言う。

「直ぐに治療しましょう。その椅子に座って」

 ライラさんが寝ているベッドの近くに有った椅子に座らされて、治療を受ける。

 治療を受けている間に、ヨハンナさんと情報交換を行った。そして、襲撃されてから今までの間について、ブリッジには居なかったヨハンナさんが何をしていたのか知ることが出来た。

 彼女は襲撃を受けた時には医務室に居たそうで、船長から怪我人が出た場合の治療が出来るように準備を指示され、医務室で待機を命じられたそうだ。

 そして準備し待機している間に、自動機械人形の手によってライラさんが医務室へと運ばれてきて、彼女の手当をしていたという。

 ライラは、自分の研究室で機械を弄っている時に大きな揺れが起こってしまい、運悪く頭を打って、その場で気絶してしまったらしい。幸い、近くに居た自動機械人形の判断によって医務室へ運ばれて、大きな怪我もなく無事のようだった。

 横で寝ているライラさんが無事でよかったと胸をなでおろしつつ、俺の方もブリッジで起きたことを、ヨハンナさんに簡単に説明した。落ち着いた様子で聞いていたヨハンナさんも、十一隻の白い船という言葉に反応を見せた。

「知っている相手なんですか?」

「うん、よく知っている相手よ。だけど、説明すると時間が掛かるし船長が後で説明すると思うから、それまであの白い船の事を聞くのは少し待って。ただ、あの船の人達が私達を攻撃することは絶対ないと思うから大丈夫よ」

 ヨハンナさんの言葉から、敵では無いようだし一先ず安心といった所だろうか。けれど、説明に時間が掛かるからという不明瞭な言葉を聞いて、デリケートな関係であって単純な味方でもないのかもしれない、という考えが浮かぶ。

 判断しづらい状況だった。

 情報交換が終わる頃には、腕の治療も終わっていた。ヨハンナさんの診断では、やはり右腕の骨にヒビが入っていたらしい。けれど、完治するのに僅か三日しか掛からないから大丈夫と言われて、既に痛みも無くなっていたので医療技術の高さに改めて驚いた。




 そして襲撃から三日が経ち、腕のヒビが完治した頃。俺は、ミラさんの母星へと降り立っていた。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第22話 包囲外からの攻撃

「一体、何が起こった!?」

「わかりませんッ。突然、包囲していた船の一隻が爆散しました!」

 その爆発が起こったのは、ミラさんが相手から送られてきたメッセージの条件について決断し、答えを出そうとした瞬間だった。

 ミラさんが俺に身体を向けてから、出した答えを伝えようとしたその時。突然起こった出来事に言葉を途中で止められていた。そして、モニタに映る爆発の光を見て何が起こっているのか、状況を把握しようとステインさんに向かって声を震わせながら問いただしていた。

 ステインさんも突然起こった事に動揺しながらも、手元の端末機を駆使して何が起こったのか状況を理解しようとしている。そして掴んだ事実は、ジュペンス号が包囲されていた時に、その包囲の外から攻撃が飛んできた、という事。

「ミラ様。どうやら、ジュペンス号を包囲していたあの船は、超長距離から撃たれた光線が船体に当たり爆散したもようです。ただ、撃たれた方向に探知機を向けても光線を撃ったと思われるような宇宙船が確認できません」

 ステインさんの確認した状況では、かなり離れた距離から撃たれた光線がジュペンス号を包囲していた宇宙船に当たり、先ほどのモニタに映った爆発が起こったという。ジュペンス号に積んである探知機では見つけ出すことが出来ないぐらいに、離れた距離から撃たれたらしい。

「コチラから見えない場所から撃ったとなると狙ってやったのか、それとも偶然に撃たれた光線が当たってしまったのか、判断できません」

 冷静に状況を調べ上げていくステインさん。光線を撃った相手が故意なのか、それとも偶然なのか分からないと、詳しく確認しようとする。

 再び包囲した相手とは別の宇宙船、包囲の外から撃たれた光線が飛んできた。その水色の光線は、包囲していた別の宇宙船に的確に当たり、もう一つの爆発が起こった。

「アレは、狙って当てているようです。……どう対処しましょうか、ミラ様?」

「……」

 どう対処するべきか判断を仰ぐステインさんに対して、どうするべきか悩み迷っているのか、何も言葉が出ないミラさん。

 突然襲われて、逃げ出した先には包囲網が敷かれている状況。そして、次に起きたのは包囲網の外から飛んできた、敵か味方か分からない存在からの砲撃。次々に撃って、ジュペンス号の周りで威嚇しながら囲んでいた宇宙船が容赦なく撃ち落とされていく状況。

 突然の出来事に慌てているのは、ジュペンス号を包囲していた相手も同様のようだった。

 ジュペンス号の動きを封じようと、威嚇しようと砲口を向けていた何十隻もの宇宙船が一斉に、グルリと船を横回転して向きを変えようとしようとしていた。攻撃の飛んできた方向に急ぎ向くことで防御態勢に入るためか、それとも迎撃に入ろうとしたのか。

 しかし、宇宙船の向きを変えている途中でも、容赦なく外から攻撃が飛んできては宇宙船の横っ面に被弾していき、次々に包囲していた船は爆散していった。

 飛んでくる水色の光線は止む様子が無く、雨のような砲撃が長時間続く。

 そして気づいた。ジュペンス号は、攻撃目標から外されているようだった。次々に爆発していく船が目の前や周りに居るのに、ジュペンス号には一発も攻撃が当てられていない。

「今のうちに、船を動かして包囲網から抜けましょう」

「わかりました、ミラ様」

 状況をうまく利用して、周りの船の意識がジュペンス号から外れているうちに包囲網からゆっくりと逃げ出す提案をするミラさん。

 逃げ出そうとジュペンス号を動かしても、威嚇射撃をしてきた船が外からの攻撃に意識が持っていかれているようで、包囲網を抜けても気づかれる様子はなかった。

 包囲網を敷いていた宇宙船を狙って、外から飛んでくる攻撃は続いていた。しばらく経った頃、探知機に捉えられる所までやって来た宇宙船を見た時に、ミラさんとステインさんが呻くように苦い声を出して、近寄ってきた船に反応した。

「ッ、まさかそんな……」

「ミラ様、あの船団は……!」

 ブリッジに居る二人は、包囲網から抜け出すキッカケを作ってくれたあの宇宙船に見覚えが有るのだろうか。二人の驚いてしまい思わず漏れた、という声を聞いて思う。

 近づいてきた船団は、全部で十一隻あった。その船は全体が真っ白な色をしていて、暗い宇宙の中で特に目立っていた。そして、全てが同じ形をしているように見えた。あの十一隻の宇宙船は、同じグループに所属するものなのだろう。

 そして、超長距離から撃って当てる事が出来るぐらいに性能の良い照準器を持ち、船を爆散させる事が出来るぐらいに威力が大きい武器を搭載している。

 ミラさんの表情を見てみると、不愉快そうというか、不機嫌そうなか表情をして白い船を睨みつけていた。その様子を見て俺は、あまり良くない状況であるらしいことを察した。

 けれど、ジュペンス号が追い詰められ包囲されて、殺されてしまうかもしれないという危険な状況から、あの船団が現れたおかげで脱することが出来た。

 全滅させるために撃ち漏らしが無いようにしているのか、ジュペンス号を取り囲んでいた船に執拗に攻撃を続けては、次々と船が堕ちていく光景が作られていく。

 ついには、ジュペンス号を取り囲む何十隻もあった宇宙船は、外からの攻撃に避けることも出来ずに被弾していき、船は次々に爆発して残り二隻にまで減っていった。ジュペンス号の周りには、多くの宇宙船の残骸が漂う場所となっていた。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第21話 求められるモノ

「くそッ」

 ミラさんが沸き立つ怒りを抑えきれないのか、小声で呟いているのが聞こえる。その怒りの原因は、相手の思惑通りに事を進められ追い込められてしまったからなのか、それとも今の包囲された状態から手の打ちようが無くなってお手上げ状態になってしまったから、なのだろうか。

 短い間だったけれどミラさんと宇宙船という閉鎖された空間で一緒に過ごして、今までに見たことのないぐらい落ち着きが無くなっていて、我を失っている。けれど、絶体絶命の現状においては、しょうがないことだと思う。

 包囲された今、ミラさんがジュペンス号を動こうとすると、周りの船が威嚇射撃をしてくるため、動くに動けない状態になってしまい船は停止している。ブリッジが静寂に包まれる。

「ミラ様、相手からメッセージが来ました」

 静かになっていた空間に、ステインさんの声が響く。

 やはり相手は何かしらの目的が有って、ジュペンス号を追い掛け回していたのだろう。それも手間のかかるように長い距離を追い詰めて、一体何を要求してくるのだろうか。

 ステインさんが手渡す、薄くて白く見える紙のような材質の物にプリントアウトしてから折り畳まれたメッセージ、をミラさんは受け取って読み込む。

 ミラさんの目線が左右に三回行き来して、読んでいるのが分かる。読み込んでいくうちに、ミラさんの表情が段々と険しくなっていくのが見える。そして、全文を読み終えたのかチラリと俺の方を見て、再びメッセージに目を落とす。

 彼女の仕草から、何となく予想はついた。相手が苦労してでも、求めるようなもの。この船に載っているもので、俺が知っているとても価値のある存在について、ひとつ思い当たるものが有った。

「私にも見せてもらえますか?」

 ミラさんに向かって、左手を差し出してメッセージを見せてもらうようにお願いをする。予測が当たっているかどうかを、目で見て確認したかった。

「……どうぞ」

「ありがとうございます」

「待ってください! 彼に読ませるのはッ……」

「ステイン、彼に関係することです。いずれ知ることになるだろう」

 ミラさんが少しだけ迷い、スッとメッセージを俺に向けて差し出した。その様子を見て、ステインさんが引き止めるが俺は気にせずに、受け取ったメッセージを読む。

 そこには、こう書かれていた。

”その船に乗っている男性一名をコチラに明け渡せ。

 要求を受け入れるなら、貴様らを生かしてやる。

 要求を受け入れないなら、皆殺しだ。”

「やっぱり、か」

 単純明快な文で書かれた内容は、男性一名の引き渡しの要求。この男性とは、無論俺のことを指しているのだろう。

 タイムリミットは書かれていないけれど、迷っている時間は僅かしか無いだろう。迷っていたら、相手の攻撃が再開して敵がジュペンス号へ乗り込んでくるかもしれない。そうなってしまえば、船長達がメッセージに書かれた通り殺されてしまう。

 躊躇うこと無く、俺は自分のすべきことを自覚した。

「要求を受け入れましょう」

「無駄です! 敵はユウ様を手に入れたら、約束なんて守らないでしょうに!」

 相手の要求を飲んで、自分が向こうに行くべきだという事を述べると、ステインさんが強く反対した。

「向こうの目的は私です。男性がこの宇宙において貴重な存在であるならば、私はすぐに殺されることは無いでしょうし、向こうに行って私の命と引き換えに、皆さんを攻撃しないように交渉します」

「ですがッ! そんな……」

 俺の考えに反論しようとするステインさんだけれど、他に打つ手が考えつかないのか徐々に声は小さくなっていく。

 全員が助かる方法を考えたとしても、この短い時間で思いつくようなアイデアも、実行できるような時間も力もない。

 ならば、俺が向こうの要求通りに従ってジュペンス号の乗員全員が助かるかもしれないというのが、今の出来る限り良い解決策だと思う。俺は自分が殺されることは無いと思っているけれど、その保証も無い安易な考え方だろうとも思う。けれど、相手が今は殺さないだろうと言う事を、信じるしか無い。そして、向こうにとって貴重な存在である俺が、船員に危害を加えたりしたら自害すると伝えたら、ジュペンス号はこの包囲された場所から逃げられるのではないか。

 この包囲網の原因は、偶然発見してしまった性別が男である俺という存在が引き起こしたことだと思う。

 死にかけていた俺を船長達が保護してくれて、色々と宇宙を旅しながら未知の技術を体験させてくれて、そして地球以外の惑星にも降りて見学もさせてもらった。なのに、彼女たちは俺のせいで見知らぬ敵に狙われることになり追い掛け回されて、俺という存在のせいで皆が殺されかけている。

 ならば、原因である俺が解決のために努力しなければいけないのは必然だろう。

「……」

 俺の考えをステインさんに一所懸命に伝えたら、彼女は俯いて黙ってしまった。次に俺は、ミラさんの方へと目を向ける。彼女は目を閉じて静かに考え込んでいた。どうやら、俺を相手に引き渡すように提案した事に関して、どうするべきか迷っているのだろうか。

 刻一刻と時間は過ぎていき、向こうがいつ攻撃を再開するか分からない。ブリッジにいない他の三人に相談する時間も無いだろう。

 船長ひとりの考えによって、この後の俺がどうするのか決まる。

 ミラさんは決断したのか、スッと両目を開いて俺に向き直り言葉を発した。

「わかりました……。我々はユウさんの身柄を」

 その時だった。突然大きな音が聞こえて、モニタに目線を惹きつけられた。

 そのモニタには、包囲していた相手の船の一隻が何故か爆発を起こしている映像が映っていた。

 その爆発した船は、中心部分から真っ二つに割れてくの字に漂い、その中心から宇宙に火炎が渦巻いていた。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第20話 逃走の宇宙船

 ブリッジに設置されたモニタに映る現況に、呆然としてしまった。そして、今まで大きな問題もなく過ごしてきた日常が、大きく変わってしまった瞬間を感じた。

 その時、後ろの船から撃たれた赤い光線の当たりどころが悪かったのだろう。ひときわ大きくジュペンス号が揺れ、俺の身体は咄嗟に動いていた。

「うっ」

「ユウさん!?」

 ジュペンス号の揺れによって倒れかけたミラさんを見て、急いで近寄り後ろから支える。傍らに居るステインさんに指示を出しながら、モニタを睨んでブリッジ中央に立っていたミラさんが、姿勢を大きく崩したからだった。

 ミラさんは俺がブリッジへ入ってきたことに気づいていなかったのか、突然後ろから支えた俺に目を向けて、驚いた声を出した。

 そして、俺はミラさんを支えるときに身体に添えた右腕に鈍い痛みが奔り呻いてしまう。どうやら、先ほどブリッジへ向かう途中に壁にぶつけて腕にヒビが入ったのか、腕を動かした所で痛み出した。感じていなかった痛みを、自覚してしまい段々と痛みが強くなっていく。

「ありがとうございます。それよりも……」

「俺は大丈夫です。ところで、今どうなっているんですか?」

 右腕の痛みは続いているが、そんな事は気にしないようにしてミラさんに状況を聞く。

「突然、所属不明の宇宙船二隻に遭遇。この宙域には、本来我々以外に存在しないはずでした。その事を問い質そうと思い、通信しましたがこちらの呼びかけに応じず。接近してきて撃ってきました」

 聞いた所で俺に出来る対処は無いのだけれど、安心させるためなのか、それとも状況を整理するためなのか、支えていた俺の腕から離れて立ち直ったミラさんは、モニタに目を向けながら宇宙船を操作して簡潔に状況を教えてくれた。

「数は向こうの方が上、そしてジュペンス号には彼らに反撃出来るほどに強力な武器は搭載されていません。今のところ何とか致命的な攻撃は避けていますが、逃げることしか出来ていないのです」

 今もモニタに映る、後方から前方へと伸びる数々の赤い光線。モニタに映る二隻の船。確かに、二対一だと数では不利だろう。反撃できるような武器が無いのも理解した。そして、逃げることしか出来ない現状に何かできることはないかと考えてみたが、有効な手段は何も思いつかない。

 今の状況をどうにか打開できないか解決策を探るために必死で考えている間も、ミラさんとステインさんは二人で協力して、必死に逃げ道を探っていた。

 副船長のステインさんは、席についていて手元にあるモニタの前で色々と計算しているようだった。その計算を基にして、相手の攻撃してくる場所を予測しジュペンス号の進路を決めて、その進路をミラさんに伝えているようだった。

 それから、ステインさんから受け取った情報を忠実に守って、ミラさんはジュペンス号を操作し相手の攻撃を避けている。

 そんな時に、ブリッジに通信が入る。ドミナさんからだった。

「船長! 攻撃機は何時でも発進できます、出撃許可を下さいッ!」

「まだっ、許可は出来ない。その場で、待機」

 モニタの向こうで激昂するドミナさんの声。そんな態度に、努めて冷静な様子になって言葉を切りながら返事をするミラさん。

 ドミナさんがブリッジに居なかったのは、宇宙船ジュペンス号に積んであったらしい攻撃機に乗って、相手に打って出ようとしたからだったらしい。

「しかし、このままでは皆の命が危ない。船は保たないぞ」

「このまま出て行っても、無駄に命を散らすだけです」

「やってみなければ、分からない!」

「一機だけ出した所で、何も変わりません!」

 段々と二人はヒートアップしていく。そして、受け答えをしているミラさんの精彩を欠いてしまう宇宙船の操縦に対して、被弾が少しずつ増えてきてしまった。

「とにかく、出撃は許可しない。そのまま待機していろッ」

 そう言って、通信を強制的に切ってから再び操縦に集中するミラさん。



***



 それから、後ろについて攻撃してくる宇宙船からの逃走はどれぐらい続いただろうか。体感時間では、数時間も続いていた気がする。だけどジュペンス号はまだ飛び続けられているし、ブリッジに居る皆はなんとか無事に生きている。ただ、ブリッジに居ない他の三人はどうしているのか分からないけれど。

 そして、ミラさんとステインさんは相手の妙な様子に気づいた。

 それは、時々モニタの映像から消えて逃げ切れたと思った後ろの宇宙船は、しばらくすると再び現れて攻撃を再開してくる。そして、辛うじて避けていると思った敵の攻撃は手加減されているみたいだと、ステインさんは感じたという。

「コレは、後ろの二隻だけでなく他にも待ち伏せされているようです」

「そのようです、ミラ様。後ろの船は、先ほど逃げ切ったと思った船と微妙に違います」

 後ろを追って切る船は同じような形をした宇宙船だけれど、確実に違う船だと断言するステインさん。

 最悪なことに、二隻だけだと思った敵船が実はそれ以上の数が居て、交代しながらジュペンス号に攻撃を仕掛けているらしい。そして、何を目的にしているのか分からないけれど執拗に攻撃を仕掛けてきている。

 そして、事態は更に悪い方向へと展開していった。

「これは……」

 ミラさんの絶句した言葉。俺もモニタを見て、声が出せないぐらいに驚いて絶望してしまった。

 前方を映すモニタには、今まで後ろから追ってきた船と同じような形をした宇宙船が数十隻も表示されていた。どうやら必死に逃げていると思っていた逃走経路は、相手の想定した通りの道だったようだ。

 ジュペンス号はまんまと相手の思惑通りに導かれて、誘い込まれてしまった。そして、何処からも逃げられないように周囲を包囲されてしまった。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext

第19話 突然の攻撃

 地球以外では初めての惑星降下を終えて、しばらく経った頃。

「えっ!? わっ!」

 自室のベッドで休んでいる時に突然、宇宙船が大きく縦に揺れてベッドから振り落とされた。一体何が起こったのだろうか状況を確認しようと、立ち上がろうとしたけれど、再び大きな横揺れ。

 立ち上がっては危ないと判断した俺は、驚きながら腰を落として床に手をついて船の揺れに耐える。宇宙を航海中にも、惑星エテリへの降下の時にも、船がコレほど大きく揺れる事は無かったのに。一体、何が起こっているのか。

 揺れは断続的に続いて、大きな揺れが予兆なく起こっていた。そして大きな揺れだけではなく、いつもの宇宙船と違って小さな揺れがずっと続いていた。

 宇宙船に隕石にでもぶつかったのか、隕石群なんかに突っ込んでしまったのかと予想した。船は何度も揺れているし、遠くの方で爆発音のような物も聞こえた。

 そんな時になって、俺は何故か他の宇宙船に襲撃されたのではないかと感じた。

 大きな揺れが合計五回も起こったあと、先程までの揺れは収まって部屋の中は静かになった。

 部屋で待機して連絡を待つべきか、それともブリッジへ向かって状況を把握するべきか。これからどうするべきか考えいると、部屋に備え付けられている通信ウィンドウが起動して、向こうから連絡がやって来た。

「ユウさん、大丈夫ですか!?」

「はい、今のところ怪我は無いです」

 連絡を入れて来てくれたのはミラさん。彼女は、かなり慌てた様子で俺の安否を確認してきた。先ほどの揺れによって、寝ていたベッドは定位置から大きくズレて、部屋の調度品の多くも倒れていたけれど、幸いにも俺の身に怪我はなかった。

「分かりました。貴方は、部屋で待機を……ッ。いや、今すぐにブリッジまで来てもらえますか?」

「え? ブリッジに行けば良いのですか?」

 緊迫した表情で出された指示が、二転三転する。とにかく、ミラさんの指示はブリッジに来てくれという事。この宇宙船ジュペンス号のブリッジは、船の中心部分に設置されていて、宇宙船の中では一番安全な場所だと思う。すぐに避難しに来いという訳だろう。

 何が起こったのか詳細を聞きたかったけれど、先ずはブリッジに行ってから聞いたほうが良いだろうと考える。

「そうです、お願いします。次の攻撃までには、少し時間の余裕が出来ました。揺れが収まっている今のうちに、ブリッジへ移動して来て下さい!」

 そう言うと、ブツリと俺の返事も待たずに通信が急に切られた。ミラさんは、”攻撃”と言っていた。やはり、先ほどの直感通り宇宙船が襲撃されているのだろうか。

 ミラさんは少しの時間の猶予しかないと言ってた。だから、考えることは後にして言われた通り、すぐにブリッジへと向かう。




 廊下に出て、異変に気づく。いつも宇宙船に発生している重力が弱くなっていて、しかも船が左に傾いている気がする。そして、空気も心なしか薄い気がして、息苦しいという最悪な事態。

 宇宙船ジュペンス号には、重力発生装置というものが搭載されていて、宇宙にいる間でも船内に重力が発生していて、普通に地面に足をつけて生活出来ていた。その力が弱まっているとなると、先ほどの揺れで装置にダメージが入ってしまったのだろうか。

 空気が薄くなっているのは、船内にある酸素タンクが壊れてしまったのか。それとも、船に穴が空いてしまい、ソコから外へ漏れ出ているのか。どちらにしても、宇宙船内に空気が無くなってしまうかもしれないという怖い想像が頭をよぎる。

「うっ!」

 ブリッジまでの道の途中、船が大きく傾いて右の壁に身体が叩きつけられてしまい、思わず呻くような声が出た。

 船の傾きによって、落下するように壁に右肩を大きくぶつけてしまい、痛みを感じていた。けれどブリッジまでもうすぐだと自分を鼓舞して、痛む右腕を動かして壁に手をついて、姿勢を立て直す。

 そして、ブリッジを目指して歩き出す。



***



「攻撃予測、もっと早く!」

「これ以上は無理です、ミラ様!」

 ブリッジにたどり着くと、ミラさんとステインさんの二人が声を出し合って端末機を使い宇宙船を操作しているようだった。そして二人の何時もと違う落ち着きを失った様子に、俺は圧倒される。

 ブリッジには、ヨハンナさん、ライラさん、そしてドミナさんの三人は居なかった。彼女たち三人はまだブリッジへと辿り着いてないだけなのか、それとも別の所で対処しようとしているのか。

 宇宙船の前面を映すモニタに目を向ける。その画面の映像が見たこともない早さ流れていて、宇宙船がものすごく速いスピードを出していることが分かる。その画面にチラチラと映る、赤い光の跡。

 どうやら、赤いアレが船に当てられて爆発し、船が揺れているんだろう。

 視線を宇宙船の後面を映すモニタへ向ける。そこには、二隻の船が並んで居て赤い光線を撃ってきているのが見えた。宇宙船ジュペンス号は今、モニタに映って見える二隻の船に、攻撃されている途中らしいということが分かった。

 

スポンサーリンク

 

backindexnext